週刊文春9月23日号
林真理子「夜更けのなわとび『意地っ張り』」より抜粋
ー略ー
このところワイドショーは、
押尾被告のこと一色に彩られている。
息もたえだえの人間を前にして、自分の保身のために逃げ出すなんて最低の男だ。
ちょっと外見がいいからといって、今まで散々ちやほやされてきた結果が、
こんな下劣な男を作りだしたのだろう。
-略ー
そう昔のことではない。
あの頃、日本中の多くの人たちが、矢田さんに対して、
「あーあ、あの男はやめときなよ。絶対に後悔するよ。」
という親切心といおうか、老婆心を抱いたものである。が、矢田さんは結婚に踏み切った。
1回や2回の浮気は覚悟していたかもしれないが、
彼の人間性の低さはそんなもんじゃなかったのである。
まさに意地になっていたに違いない。
-略ー
ここのところ、DVだ、子供虐待だのというニュースが流れるたび、
夫の顔が映し出される。ハンサムもいるし醜男もいる。
一概にどうということも言えないのであるが、
ま、犯罪者だと思ってみるせいか、みんなろくでもなさそう。知性のカケラもない。
想像するに、こういう男を家に連れてきた時、
たいていの女性の親は反対したのではないだろうか。
「あの男だけはやめておきなさい。」と、
娘にこんこんと言って聞かせたような気がする。
ワイドショーによると、男はバツ2だったり、逮捕歴があったりする。
大人の目から見ると、どういうランクの男かわかるだろう。
が、娘のほうはまるっきり親の言うことなど聞かず、結婚へ、
そして不幸へと突っ走ったに違いない。
-略ー