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外務省と防衛省は<近うて遠きもの>

2011-03-01 21:55:59 | 編集手帳
  2月24日 読売新聞編集手帳


  清少納言は『枕草子』のなかで、
  〈近うて遠きもの〉をいくつか挙げている。
  「兄弟や親類の仲」
  「幾重にも曲がりくねったつづら折りの道」
  「大みそかと元日の間」…
  どれも、うなずけよう。

  現代版〈近うて遠きもの〉を一般から募れば、
  「外務省と防衛省の間」も上位に顔を出すかも知れない。
  同じ政府部内の役所でありながら、
  電話一本で済むような相談や調整ができないというのはいかがなものだろう。

  地震で被災したニュージーランドに派遣した政府専用機に、
  被災者の家族は同乗できなかった。
  同乗させる意向を前原誠司外相が表明し、
  被災者家族が多く住む富山市に希望を募っておきながら、
  結局は市側に「家族は乗せられない」旨を通告している。

  「もっと確度の高い情報を出して」と、市長が不満を述べたのも当然だろう。
  専用機を所管する北沢俊美防衛相が、
  同乗させる、させぬの話を「聞いていない」ところを見れば、
  両省間の調整がないまま立ち消えになったらしい。
  つらい旅を政府の手で守ってもらえる、
  そんな心境でいた家族もあっただろうに。

  電話の一本や二本、
  仇(かたき)同士だってかける。
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