日暮しの種 

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情けに触れ、涙で毎日を生きる

2011-03-19 18:59:43 | 編集手帳
  3月17日 読売新聞編集手帳


  同じ心を、昔の人は歌に詠んでいる。
  〈うらぶれて袖に涙のかかるとき人の心の奥ぞ知らるる〉。
  さして昵懇(じっこん)の間柄でもなかったあの人が、
  憎まれ口を叩き合ったこの人も…。

  失意と逆境のときに触れる他人の情けほど、
  骨身にしみてありがたいものはない。
  米国はもとより、
  中国やロシアを含む十数か国から救助隊が来日し、
  東日本巨大地震の被災地で困難な救援活動に加わってくれている。

  外電という形で届く“情け”もある。
  英紙インデペンデントは1面全面を使って「日の丸」のイラストを掲げ、
  日本語で
  〈がんばれ、日本。がんばれ、東北〉
  と書いた。

  デイリー・ミラー紙は宮城県南三陸町の被災地ルポを載せ、
  〈泣き叫ぶ声もヒステリーも怒りもない。
   日本人は、黙って威厳をもち、
   なすべき事をしている〉
  と感嘆をもって伝えている。

  イタリアでプレーしているサッカーの長友佑都選手がピッチで掲げた「日の丸」には
  〈一人じゃない みんながいる!〉とあった…。
  いま、こうして書いていて、文字がにじんでくる。
  あの地震が起きてからというもの、
  涙を燃料に毎日を生きている。
  そんな気がする。
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千夜一夜の世界

2011-03-19 09:27:07 | 報道/ニュース



  2月27日 サンデーモーニング


  なぜ中東に長期独裁政権が生まれ、
  今相次いで揺らぐ事態に発展したのか。
  背景には数千年にわたる中東の歴史がある。
  馴染み深い千夜一夜物語・アラビアンナイトの、
  魔法のランプや空飛ぶじゅうたんなどを収めた物語の中に
  栄耀栄華を誇った中東の繁栄ぶりを見てとる事が出来る。
  
  紀元前、エジプト文明、メソポタミア文明が栄えた中東。
  川沿いの肥沃な土地で農耕が始まると、
  それを束ねる王が現れ、砂漠の遊牧民など多くの部族を次々と従えた。
  中東は、アジア、ヨーロッパ、アフリカを結ぶ交通の要衝である。
  点在するオアシスを結ぶ交易が盛んに行なわれ、
  国は富み栄え、
  古代ペルシャのような王を頂点とする専制的な古代帝国が誕生する。
  この文明の十字路で、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教といった世界宗教が生まれた。
  中でも中東に圧倒的影響を及ぼしたのが、
  7世紀、預言者ムハンマドによって始まったイスラムである。
  イスラムの教えは中東全土に広がり、
  その教えに基づく帝国が築かれ、長く繁栄の時代が続いたのである。

  しかし20世紀にヨーロッパの帝国主義により植民地争奪が始まると、
  第1次世界大戦後、イスラム国家オスマン帝国が解体。
  中東は、英・仏により植民地化された。
  定規で引かれたような国境線がそれを物語る。

  第二次世界大戦後には冷戦と石油が中東に歪みをもたらした。
  1948年、イギリスが統治していたパレスチナの地にイスラエル建国。
  世界中からユダヤ人が移り住んだ。
  しかし、アラブ人が追い出される形となり、
  イスラエルと周辺アラブ諸国との対立が激化し中東戦争へと発展する。
  当時、冷戦の最中で、アメリカはイスラエルを支援、
  ソ連はアラブ諸国に兵器を供給するなど、
  米ソ代理戦争の様相を呈し紛争は泥沼化した。
  冷戦終結後、今に至るまでアラブとイスラエルの対立の構図は続いている。

  また、石油の利権が産油国がひしめく中東にさらなる歪みをもたらす。
  アメリカの支援を受けた一部の王族や軍部のリーダーなどが独裁政権を築き、
  巨額のオイルマネーをばらまくことで支持を得、
  軍隊の増強で政権の長期化を図った。
  冷戦後、イランイラク戦争で支援したサダム・フセインや、
  ソ連のアフガン侵攻の際支援したビン・ラディンが反米に転じるなど
  アメリカの中東戦略はおもわぬ誤算を招く。

  そして今立て続けに起きている中東の民主化ドミノ。
  大国の利害に翻弄され続けた中東は、
  今ようやくそのくびきを脱し、
  新たな歩みを始めようとしているかに見える。
  







  






  










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