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東電と政府の手際しだい

2011-03-15 20:09:07 | 編集手帳


  3月15日 読売新聞編集手帳


  ボクシングなどで、
  タイミングをはずして相手を惑わす動作を「フェイント」という。
  パンチが来ると思って備えを固めると、来ない。
  来ないと思えば、来る。

  東京電力のフェイントには惑わされた方が多かろう。
  地域ごとに電力の供給を停止する「計画停電」である。
  前夜に公表された計画に従い、
  停電を覚悟していると、
  当日朝になって
  「実施しない」「いや、実施するかも…」と、
  説明は二転三転した。

  節電に協力する鉄道各社が列車の運行本数を減らし、
  電力需給の見通しが狂ったための混乱というが、
  鉄道各社と事前に十分な調整をしていれば避けられたことである。

  停電するのか、しないのか、
  直前までテレビにかじりついていないと分からないというのでは「計画」の名に値しない。
  連日の悲惨な映像でずたずたの神経を、
  つまらないフェイントでいじめないでほしいものである。

  家を失い、
  肉親の安否も知れぬまま避難所生活を送る被災者を思えば、
  日に数時間の停電がもたらす不便など、
  何ほどのパンチでもない。
  従容と受け入れる人がほとんどだろう。
  要は東電の、
  政府の、手際しだいである。
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