日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

民主党 「天動説」から「コペルニクス的転回」へ

2011-08-23 08:44:21 | 編集手帳



  8月22日付 読売新聞編集手帳


  一昨年の政権交代前、
  ある外務省幹部が民主党の外交政策を「天動説」と皮肉っていた。
  「インド洋での海上自衛隊の給油活動は中止」
  「在日米軍予算は削減し、普天間飛行場の沖縄県内移設にも反対」

  確かに、
  民主党の主張は、
  自分が世界の中心であるかのようで、
  国際協調の視点が弱かった。
  政権公約(マニフェスト)でも
  「予算の組み替えで16・8兆円を捻出する」などと訴えていた。

  野党とはいえ、
  なぜ、
  あんな大風呂敷に自信たっぷりになれるのか、
  不思議だった。
  まさか
  「政権さえ取れば、財源は何とでもなる」
  という小沢一郎氏の言葉を本気で信じていたのではあるまいが……

  多くの公約が予想通り破綻した今、
  ようやく公約見直しが「ポスト菅」の民主党代表選の焦点に浮上してきた。
  財源捻出に何の指導力も発揮しなかった鳩山前首相らが、
  見直しに反対を唱えているのには、
  あきれるほかない。

  「公約を破った」と批判され、
  次の選挙で落選することを恐れているだけでは、
  路線を軌道修正する機会は失われる。
  民主党に求められているのは、
  非現実的な天動説の「コペルニクス的転回」だ。
コメント

“暴力”問うオスカー映画

2011-08-23 08:41:35 | 海外ネットワーク



  8月13日 NHK海外ネットワーク


  アメリカで暴力の連鎖をテーマにした映画が注目を集めた。
  「未来を生きる君たちへ」 IN A BETTER WORLD
  今年のアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の最優秀外国語映画賞を相次いで受賞。
  デンマーク人のスサンネ・ビア監督。
  暴力の連鎖にどう歯止めをかけられるのかを問いかけている。

  映画は遠く離れたふたつの場所を舞台に展開する。
  そのひとつがアフリカの紛争地帯にある難民キャンプ。
  現地では武装勢力が女性ばかりを傷つける事件が多発していた。
  デンマークから訪れた医師のアントンは、  
  夫や家族のやるせない怒りを目の当たりにする。
  一方、デンマークで暮らす息子のエリアス。
  学校で友人のクリスチャンとともに日々いじめにあっていた。
  物語はこの親子を軸に展開を始める。

  スサンネ・ビア監督は紛争地域の暴力と学校のいじめを
  なぜ並べて描こうとしたのか。
  スサンネ・ビア監督
  「生活環境が違っても人間の本質は変わらないことを描こうとした。
   被害を受けるとなぜ報復に駆られるか突き詰めて考えようとした。」

  ある日、いじめを受けているエリアスを助け友人のクリスチャンが仕返しをする。
  迎えに行ったクリスチャンの父親が仕返しには意味がないとさとす。
  クリスチャン 「やり返さなかったらみんなに殴られる。」
  父親     「殴られてやり返したらきりがない。戦争はそうやって始まる。」

  別の日、アントンは子どもの諍いを止めようとして相手の親にいきなり殴られる。
  しかしあえて殴り返さない姿を子どもたちに示した。
  アントン 「やたらに人を殴るなんてよくない。それでは世界はおかしくなる。
        ヤツはバカだ。殴り返せば私もバカ。」

  再びアフリカに戻った医師のアントン。
  ある日、女性たちを傷つけた武装勢力のリーダーが大怪我をして運ばれてきた。
  回りの非難を受けながらもアントンは医者として治療に当たる。
  ところがアントンが命を救おうとしたひとりの女性がなくなったあと、
  リーダーが女性を侮辱する発言をした。
  アントンは怒りを爆発させる。
  これを見ていた被害者の家族たちがいっせいにリーダーに襲いかかる。
  結果として人々の暴力に加担してしまったアントン。
  暴力の無意味さを息子に諭した父親もまた憎しみの連鎖に陥る危うさを
  ビア監督は表現した。
  スサンネ・ビア監督
  「人間は完璧ではない。
   アントンもまた一人の人間。
   暴力や復習の連鎖をとめるのはそれだけ難しいこと。」

  さらに息子のエリアスはともだちのクリスチャンとともに、
  父親を殴った相手をこらしめようとする。
  家の倉庫にあった火薬を見つけ、二人は爆弾を作って男の車に仕掛けようとする。
  
  暴力の連鎖を食い止める大切さと難しさを描こうとするビア監督。
  先月ノルウェーで起きた爆弾テロと銃乱射事件のあと、首相の会見が心に残ったと言う。
  ノルウェー ストルテンベルグ首相
  「私たちは互いに支えあい語り合いともに立ち上がる。
   暴力ではなく話し合いや思いやりで事件を乗り越えなければならない。」

  映画でもビア監督はひとつのメッセージを投げかけている。
  それは、相手をゆるす気持ち。
  暴力の連鎖を断ち切るための手がかりになるのではないか。
  スサンネ・ビア監督
  「“9・11”(同時多発テロ事件)以降『復讐』という言葉が
   当たり前のように使われるようになっている。
   しかしそれは決していいことではない。
   復讐に駆られても満足は出来ない。
   私は映画監督として暴力の連鎖をとめられると希望を持ち続けている。」 
 
















  
コメント