11月1日 おはよう日本
企業の運動部の休部や廃部は業績が悪化するたびにおき
日本のスポーツを支える屋台骨を揺るがしている。
パナソニックは2期連続で7,000億円を超える巨額の赤字の見通しを示したが
これに合わせて2つの運動部の休部を発表した。
オグシオのペアが人気を集めたバドミントン。
2人がプレーし日本の女子リーグをリードしてきたバドミントン部と
日本リーグで優勝13回を誇るバスケットボール部が休部の対象となった。
(パナソニック 鍛治舎巧専務)
「当面 復活は考えていない。」
この20年余りで休部や廃部になった運動部は350以上。
このうち229が団体競技である。
大阪に本社がある子供服のメーカー ミキハウスも団体競技の支援をやめた。
平成16年には日本一の経験もあるソフトボール部を廃部
翌年には都市対抗野球にも出場した野球部を廃部にした。
いま支援するのはすべて個人競技である。
少ない予算で支援でき運営費はピークの半分ほどの数億円に減った。
(ミキハウス 沢井英光執行役員)
「無尽蔵に費用をかけられないのでこの競技だったら支援するという方を選ぶ。
力のある選手たちなのできちんとサポートすると力を発揮する。」
ロンドンオリンピックでは支援するアーチェリーの蟹江美貴選手が銅メダルを獲得。
卓球の平野早矢香選手も銀メダルに輝いた。
今所属するのは10種目20人余り。
知名度の比較的低い競技への支援が成果を生み出している。
(平野早矢香選手)
「メジャーではなくても
普通の企業ではなかなかサポ―トしていこうとは考えにくい競技を
いちばん大切にサポートしてくれる。
本当にありがたいの一言。」
団体競技は生き残る道はあるのか。
保険会社のアメリカンフットボール部は建設会社のチームと合併し
抱える選手やスタッフは100人近くにのぼる。
多くのメンバーが必要なこの競技は
社会人チームは20年近くで30チームが姿を消した。
チームの運営を統括するゼネラルマネージャーは
相次ぐ休部や廃部に危機感を強めている。
運営費も7年前の合併時に比べ20%削減され考え方を変えたと言う。
(明治安田生命保険アメリカンフットボール部 宮本幸司GM)
「勝つことプラスアルファの何かがないとチームは存続できない。」
宮本さんが考えたプラスアルファは地域や会社への貢献。
地域の子どもたちには競技の指導
社員に対してはチーム専属のチアリーダーたちが
子どもを対象にした教室をシーズン中でも開く。
保険会社が重視する“地域と子ども”というテーマに運動部も貢献することが
存続には不可欠だと宮本さんは感じている。
宮本さんは地域貢献の新たな提案をしようと会社の役員を訪ねた。
今は一部の支社だけで行っているチアリーディングの教室を
もっと多く開きたいと伝えた。
提案の結論はこの日は出なかった。
(明治安田生命保険アメリカンフットボール部 宮本幸司GM)
「まずはチームを無くさないのが使命。
知恵を絞りながら頑張っていきたい。」
瀬戸際に立つ企業の運動部。
企業の経営方針を踏まえた活動がどれだけできるかが
生き残りのカギを握る。
(筑波大学 高橋義雄准教授)
「企業としてはスポーツをどう使うかという視点で経営戦略から見ている。
選手側からすると支援してくれる企業が何を求めているかを
具体的に理解し行動すべき。」