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ベルギー伝統 酸っぱいビール

2012-11-23 07:34:35 | 海外ネットワーク


  11月17日 NHK海外ネットワーク


  ビールの本場ベルギーではビールの種類が1、000を超える。
  赤、白、黒と色はさまざま。
  キイチゴやサクランボといった果実の風味が加えられたものも人気である。
  今あらためて注目されているのがランビックというビール。
  中世以来受け継がれる伝統の方法を用い自然の力で作られるこのビールは
  ワインのように何年も熟成させる。
  自然食や健康ブームの広がりで人気を集めるようになった。
  ブリュッセル郊外にあるランビックの醸造所。
  「1999年につくられたランビックです。」
  100年以上続く醸造所のオーナー ファンロイさんは
  ランビックの味を広く知ってもらおうと観光客に醸造所を公開している。
  (観光客)
  「すっきりしていいね。」
  「ビールとワインとサイダーの中間みたいな味。」
  (醸造所オーナー ファンロイさん)
  「ここにきているのは味がわかり酸っぱさを楽しめる人。
   うれしいですね。」

  冬が間近の11月のブリュッセル。
  冷え込みが厳しくなるこの時期にランビックの仕込が始まる。
  ランビックをつくる天然の酵母は醸造所の屋根裏に住みついている。
  寒さで雑菌が減るこの時期が仕込には最も適している。
  クモは雑菌を運んでくる虫を駆除する大事なガードマン。
  仕込で最も重要な作業は夜行われる。
  麦から作った麦汁を沸騰させ
  たてよこ5mの金属の容器にうすく広く行きわたらせる。
  屋根裏の酵母がここに降ってきて発酵が始まる。
  実はランビック特有の酸っぱさを生み出すのはこの酵母の働きなのである。
  酵母はわかっているだけで86種類にものぼる。
  どの酵母がどのくらい根付くかによって味わいが変わる。
  (醸造所オーナー ファンロイさん)
  「どの酵母が根づくか分からないので同じものは二度と作れない。
   自然が私たちにランビックを提案してくれるんです。」

  ランビックにの起源は16世紀にさかのぼる。
  伝染病の蔓延で生水が飲めなかった時代に
  沸騰させて造ったランビックは安全な飲み物として普及していった。
  ところが大量生産の技術の確立でランビックは現在のビールに押されてくる。
  ファンロイさんも一度はランビック造りをあきらめかけた。
  そこへ一人の日本人が救いの手を差し伸べた。
  老舗酒造メーカーの社長 小西新太郎さんである。
  小西さんは姉妹都市交友を通じてファンロイさんの醸造所を訪れ
  深く感銘を受けたという。
  (小西新太郎さん)
  「手間のかかる古い設備で物をつくる気に普通はならないと思う。
   ものづくり ビール造りへの思いに対し共感をおぼえる。」
  小西さんは生産中止の危機に瀕したファンロイさんのランビックの輸入を決意。
  酸っぱくて売れないという社員の反対を押し切った。
  (小西新太郎さん)
  「いつの日かこういうタイプのビールを面白いと思っていただける日が来る。」
  小西さんの手元にはファンロイさんから贈られた1本の特別なランビックがある。
  最高の出来栄えに仕上がった最高の1本である。
  (醸造所オーナー ファンロイさん)
  「日本からの大口の注文は私にとって希望だった。
   感謝の念に堪えない。
   この仕事は私たちの生きる喜びです。」

  かつては水代わりとして
  そしていまでは市民の誇りとして
  次の世代に受け継がれていく。
   

  
  
  
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