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北朝鮮 対外姿勢に変化

2014-09-07 08:45:00 | 海外ネットワーク

 8月31日 NHK海外ネットワーク

 

北朝鮮は日本との関係改善に前向きな姿勢を強調しているが
一方で日本海に向けて弾道ミサイルなどの発射を繰り返している。
相矛盾するような行動の背景には日本以外との関係国との外交が行き詰っている現状がある。

(朝鮮中央テレビ)
アメリカ侵略者をこの地から追い出す怒らしく頼もしい朝鮮人民軍のロケット
こうした報道がいま北朝鮮の国営メディアで増えている。
北朝鮮は“日本海へのミサイルなどの発射は日本ではなくアメリカへの対抗措置”だと説明している。
アメリカと韓国が合同軍事演習を繰り返すことが緊張を高めているというのである。
(朝鮮中央テレビ)
アメリカと南当局(韓国)が敵対行為を続ければ我々の報復に直面することになるだろう
合同軍事演習の中止を訴えようと国連の安全保障理事会に緊急会合の開催を求めたが認められなかった。
(北朝鮮 リ・ドンイル国連次席大使)
「国連の安全保障理事官が黙認しているからアメリカは挑発的な軍事演習を続けるのだ。」
北朝鮮の強硬姿勢は後ろ盾となってきた中国との関係をも冷え込ませている。
中朝関係はかつては“血の同盟”とまで呼ばれそれぞれの最高指導者が相手の国を訪問した。
(北朝鮮 キム・ジョンイル総書記)
「中国ですべてのことがうまくいき中国の人民に繁栄があることを願う。」
しかし中国の意向に反して核実験を続けてきた結果
中国から金融制裁を受ける事態にまでなった。
北朝鮮と距離を置きつつある中国はそのぶん韓国に接近している。
習近平国家主席は7月 中国の最高指導者として初めて就任後に北朝鮮より先に韓国を訪問。
中国と韓国の蜜月は中朝関係の冷え込みを際立たせている。
北朝鮮が急速に日本への接近を図っているのはこうした厳しい外交情勢を打開する意図もあるとみられる。
解決済みとしてきた拉致問題でも改めて調査を行うことを受け入れた。
(朝鮮中央テレビ)
特別調査委員会ですべての日本人に関する包括的な調査を始める
日本との合意内容を国営テレビで詳しく伝えるという過去にはなかった対応も見せた。
日本との関係改善にかじを切ったことを国民に理解させるためとみられる。
(北朝鮮 ソン・イルホ日朝国交正常化担当大使)
「私たちが前例のない強力なチームで委員会を設置したのは
 すべての日本人問題を最終的に調査して明白にしようという目的があるからだ。」

日本との国交を正常化し
過去の清算として本格的な経済協力を引き出すことは北朝鮮にとってかねてからの重要な対日政策である。
このため現在進めている拉致被害者らの調査についても
以前の調査のように日本側の失望や反発を招く内容では経済協力が遠のくどころか
経済制裁が再び強化されることにもなりかねないと認識しているとみられる。
北朝鮮にとって日本との関係改善は単なる友好ではなく
経済的な利益や外交面の打開策にも結び付け
最終的には体制の維持につなげること
それが北朝鮮指導部の狙いだという印象が強い。

関係国との関係が重要というのは日本側も同じである。
アメリカ、韓国は日本が制裁を解除していくことで “核・ミサイル開発に対する日・米・韓の連携が乱れる”という根強い懸念がある。
8月9日に行われた日米解消会談でケリー国務長官は
安倍首相の北朝鮮訪問の可能性に懸念を示したということも明らかになっている。
米・韓の懸念がある中でなぜ政府は北朝鮮との交渉を進めているのか。
安倍首相は北朝鮮に対して一貫して強い姿勢で臨んできた政治家である。
安倍首相が今回北朝鮮と対話で向き合うことにしたのは
国際的に孤立している北朝鮮の置かれた状況をうまく利用できると判断したことがひとつである。
そして何よりも拉致被害者の家族の方々の高齢化が背景にある。
政府が認定している拉致被害者で安否がわかっていない12人のうち現在も両親がともに健在なのは2家族のみで
拉致問題の解決は時間との戦いという側面がある。
安倍首相としては交渉の扉を開いて制裁を一部解除することと引き換えに
早期解決向けて北朝鮮側から具体的な行動を引き出す必要があると判断した。
今回どのような情報を出してくるかで再調査に対する北朝鮮 キム・ジョンウン第一書記の本気度、誠意を図るかまえである。

 

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“融和アピール”北朝鮮の狙いを探る

2014-09-07 08:30:00 | 海外ネットワーク

8月31日 NHK海外ネットワーク


北朝鮮のキム・ジョンウン第一書記の体制は3年目に入る。
北朝鮮は弾道ミサイルの発射など挑発的な行動を続ける一方で
日本に対しては拉致問題など全面的な調査を約束している。
そうした日朝の関係改善に向けた動きの中で北朝鮮が共同での開催を受け入れたのが8月30日から始まったプロレス大会である。
国際プロレス大会が開かれたピョンヤン市内の体育館。
2万人が収容できるこの体育館には満員の観客が詰めかけた。
大会を呼びかけたのは長年北朝鮮とのスポーツ交流に取り組んできたアントニオ猪木参院議員。
(アントニオ猪木参院議員)
「日朝両国が“近くて遠い国”ではなく“近くて近い国”になるよう期待している。」
日本やアメリカ、フランスなどから約20人の選手が参加。
ピョンヤンの市民たちはめったに見られない大がかりなイベントに盛んな拍手と歓声を送っていた。
ピョンヤンを訪れた各国の選手たちは地元の子どもたちとも交流し打ち解けた雰囲気を作り出した。
核やミサイルの開発に対する国際的な非難が続くなか
融和的な姿勢を印象付けようとする北朝鮮の狙いがうかがえた。
大会に先立って北朝鮮側は外交に深くかかわってきた北朝鮮労働党のカン・ソクジュ書記と猪木氏との懇談を設定した。
カン書記は北朝鮮が拉致を認めた12年前の日朝首脳会談にも同席した幹部で
猪木氏とも拉致被害者の調査などについて意見を交わした。
キム・ジョンウン第一書記のもと北朝鮮の社会は今どうなっているのか。
最高指導者への忠誠心をはぐくむ思想教育は変わらない。
キム・ジョンウン第一書記の祖父キム・イルソン主席が生まれた家には
子どもたちが地方から訪れてキム第一書記につながる歴史を学ぶ。
「敬愛するキム・イルソン元師様の生い立ちがわかりました。」
思想教育に変化はない一方 キム・ジョンウン体制になってからの新しい動きは新しい娯楽施設の建設である。
去年の10月にオープンした大型のプールは連日大勢の市民でにぎわっている。
娯楽施設に資金を投入するのは
キム第一書記は親しみやすい指導者だというイメージを定着させ体制の求心力を高めたい思惑があるとみられる。
「毎日のように娯楽施設が増えているのでとてもうれしい。」 
市内のあちこちで高層アパートの建設が進められている。
キム第一書記が自ら指示しているとされ目に見える形での経済再建を意識しているように見える。
ただ急速な開発はひずみももたらしている。
今年5月 北朝鮮は“住宅建設現場で手抜き工事で重大な事故が発生した”と発表。
死傷者が出て担当の幹部らが住民たちに異例の謝罪を行ったことを明らかにした。
建設現場は多くの作業が人の手で行われインフラの整備も遅れているようである。
北朝鮮が日本との関係改善に動き出したのは
巨額の費用が必要な開発を進めるうえで日本からの経済協力が欠かせないためとみられる。
北朝鮮が日本に関心を寄せているのは開発の分野だけではない。
“キム・ジョンウン第一書記が指導した店”と書かれた看板の店には日本の食料品が置かれている。
制裁によって日本からの輸入が出来ないためこれらの品物は第三国経由で国内に入っているとみられる。
質の高い日本製の商品は市民に人気があるということで執行部は日本との貿易再開に期待を示している。
ピョンヤンの人たちは日本との関係改善に向けた動きをどう受け止めているのか。
「日朝関係改善の努力が行われていることは新聞でみてよく知っている。」
「国民は日本にあまりいい感情を持っていない。
 新しい時代に見合うように関係を改善してほしい。」

閉ざされた体質は変わっていないが
日本の一定の取材を認めたうえで日朝関係の親展の機運をたかめるねらいがあった。
日本との関係強化のねらいを読み解くキーワードがある。
挑戦速度という言葉である。
経済開発の加速化を呼びかける際に使われるスローガンである。
この挑戦速度について北朝鮮国営メディアはキム第一書記の指導のもと
火薬に火がついたように爆風のように電撃的に事業を進めること
と表現している。
そこまで経済開発を急ごうとしている背景には
今のキム・ジョンウン体制の求心力を盤石なものにするためには疲弊している経済の立て直しが欠かせないという事情もあるとみられる。
そして日朝関係の改善を通じて日本からの経済協力に道を開くことが大きなてこになりうると考えているようである。

 

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