9月2日 キャッチ!
中国経済はこのところGDPの伸びが鈍化するなど減速傾向を見せている。
その大きな要因の一つとされているのが不動産市況の伸び悩みである。
中国統計局による全国70の都市の新築住宅価格の変動を見ると
4月までは大半の都市で価格が上昇していたのが
5月には下落している都市が急増。
そのまま下落傾向が続き7月には全体の9割を超えた。
首都北京市内の一等地に建てられたマンション。
上場企業の幹部の需要を当て込んで1戸当たり300㎡余で最低価格は7億円以上。
北京では新築住宅の価格がこの2年で25%も急騰したが
マンション販売の担当者は需要は旺盛だとアピールしている。
(マンション販売員)
「8億円ぐらいまでは一括で払ってくれますよ。」
(愛知大学 高橋五郎教授)
「市民にはお金がたくさんある。
それが今までは住宅に回っていたがどうも変調をきたしている。」
この2年間 国内の大都市の中で唯一新築住宅価格の上昇傾向が続いていた北京も
今年7月ついに前月から下落に転じた。
一般の住宅価格が平均年収の19倍ともいわれるまで高くなり
さすがの北京市民の間にも今後どこまで大きく値崩れするのかという警戒感が広まっている。
その影響は住宅見学ツアーにあらわれている。
あるツアー会社では最近
都心のマンションではなく比較的安い郊外の物件を積極的に案内している。
それでも消費者の間には
もう少し値下がりするのを待ちたいという様子見の動きがみられ
客足が鈍っていると担当者は分析している。
(不動産業者)
「ことし4月以降 参加者が明らかに減って今では3分の1ぐらいになりました。
中国の住宅価格が転換点を迎えたとみんな思い込んでいます。」
不動産市況の先行きへの警戒感は地方の中核都市ではより鮮明である。
東北部の中心都市 ハルビン。
ハルビンは全国でも比較的早く今年1月に住宅価格の下落傾向が見え始め
住宅の販売面積は今年は去年より2割以上減っている。
それでも市内ではいたる所で新しい物件の建設ラッシュが止まらず供給過剰が懸念されている。
(マンション販売員)
「価格は落ち着いてきました。
開発業者は早く資金を回収しようと利益を度外視しています。
稼げなくなったので全体的に不動産市場は活気がありません。」
規模がさらに小さい地方都市では販売戦略を見直す動きも出ていた。
人口600万人の河南省新郷市で開発中のマンション。
市内でも最大級のプロジェクトは高層マンションの周辺に有名ホテルや大型商業施設を誘致する計画で
第1期の1300戸は完売。
100㎡以上の部屋に人気が集中したと言う。
ところが現在売出し中の第2期の分譲であらたに前面に押し出したのは50㎡前後の部屋だった。
1戸当たりの価格の安さをうたい
個人事業者や一人暮らし用の需要を取り込むことで一刻も早く物件を売りさばこうとしているようである。
(愛知大学 高橋五郎教授)
「問題はやはり値段を聞くとあまり上がっていない。
開発したところは値段が上がることで新たな投資を呼び込む。
その点で不安だ。」
バブルとも言われる中国の不動産の今後に懸念はないのか。
(不動産開発会社 社員)
「地方政府はむやみやたらと土地を売り
売れていない物件が積みあがっています。」
(資産管理会社 社員)
「一部の都市では不動産の販売がうまくいっておらず地方政府の財政にも悪影響を及ぼしています。」
中国の不動産価格はこの先どこまで下がるのか。
住宅販売の最前線では需要を支えてきた消費者と強気一辺倒だった開発業者の双方に疑心暗鬼が広がっている。