9月14日 BIZ+SUNDAY
地方を中心に約半数の市区町村で若い女性の人口が激減するとみられていて
子どもの数も大幅に減るため
こうした地域では将来 町が消滅する可能性も指摘されている。
地方経済の再生に欠かせない若い女性を都会から呼び込もうという動きはこれまでもあったが
ちょっとした工夫で成果を上げ始めている現場がある。
山口県宇部市にある山あいの小さな集落。
過疎と高齢化が進むこの地区に移り住んだ女性がいる。
高田夏実さん(24)。
大学まで横浜市ですごし
今年3月 卒業と同時にここで農業を始めた。
地元の農家が手放した耕作放棄地を使って20種類以上の野菜を育てている。
(高田夏実さん)
「全部自分の手でやらないといけないという大変さ 追いつかなさ わずらわしさはあるが
何より自分が作った食べ物がおいしいっていうのがあって。
自分で作る楽しさが感じられる。
田舎はいいなあと思う。」
高田さんは同じように都会から移り住んだ仲間と共同生活をしながら毎日野菜と格闘している。
ずっと田舎暮らしにあこがれていたという彼女たち。
思い切って移住することが出来たのはある経験がきっかけだった。
島根県太田氏の温泉街。
高田さんたちは学生時代 この町の老舗旅館でインターンとして働いていた。
「吉田屋」社長 脇悠子さん(31)。
田舎暮らしにあこがれる若者を地域に呼び込もうと住み込みで働く大学生を受け入れてきた。
8年間で受け入れた学生は千人以上。
北海道から沖縄まで全国各地からやってきた。
学生たちは旅館で働くだけでなく畑仕事にも挑戦する。
初めて経験する野菜や果物の収穫。
田舎暮らしの魅力を体感した学生たちの中には卒業後地方に移住する人たちが現れ始めた。
(「吉田屋」社長 脇悠子さん)
「インターン期間中に色々な場所を体験してもらうことで
いろいろな働き方が出来ることを実体験してもらうことがまずは大事で
その中で得意なことや適性が見えてくる。」
インターンをきっかけに山口県に移住した高田さん。
農業を始めて半年
最近では収穫量も増えてきた。
無農薬で作った野菜は都会の消費者に販売している。
高田さんはより多くの人に田舎暮らしの魅力を知ってもらおうと新たな取り組みも始めている。
畑の近くに作っているのは大きなログハウス。
この中に宿泊施設やレストランを設け田舎にあこがれる都会の若者たちに来てもらう計画である。
移住してきた若者たちがまた別の若者を呼び込む。
人口減少に歯止めをかける新たな循環が生まれようとしている。
(高田夏実さん)
「都会に人が流れていってみんなが都市で生活するのは
ある意味で限界を迎えていると思っているので
『こうした暮らしを私もしたい』と思って一緒に暮らせるような人を増やしたい。」