6月10日 キャッチ!
ウクライナのポロシェンコ大統領が就任して6月7日で1年となった。
大統領選挙ではEUヨーロッパ連合への加盟を掲げ50%以上の票を得て当選した。
しかし就任から1年経った今
最新の調査では
大統領の仕事を評価すると答えた人は全体の2割にも届かない17%にまで落ち込んでいる。
6日にウクライナの首都キエフで行われたポロシェンコ大統領の退陣を求めるデモ。
ここ最近 悪化する経済に歯止めがかからに状況に
デモや集会がたびたび起きている。
(デモ参加者)
「生活は厳しくなるばかりだ。」
去年の就任式で
分離独立の動きを強める東部の一部の地域との対話を進める考えを示していたポロシェンコ大統領。
(ウクライナ ポロシェンコ大統領)
「国民は平和を願っている。
平和と統一のためにも戦争や復讐は望まない。」
しかし就任から1年がたった今も
東部では政府軍と親ロシア派の戦闘が続いている。
6月3日には中心都市ドネツク近郊の政府軍のいる町で激しい砲撃戦が起きて
市民を含む合わせて20人以上が死亡。
国連によると今年2月の停戦合意後だけでも400人以上が犠牲になっている。
長引く戦闘はウクライナの経済にも打撃を与えている。
今年のGDP国内総生産の成長率は-9%と3年連続マイナス成長と予測。
対外債務は300億ドル(約3兆7千億円)。
国際社会の支援は不可欠である。
これに対し国際社会は支援の条件として公共料金の値上げなどの改革を要求。
路線バスや地下鉄などの料金は約2倍になった。
また通貨フリブナはこの1年でドルに対して半分に急落。
輸入品を中心に物価は上昇し
今年のインフレ率は46%に達するという予測もある。
輸入品の値上がりはGDPの10%を占める主要産業の農業を直撃している。
トラクターを動かす燃料は1年で2倍に値上り。
農薬や肥料なども輸入に頼っているため経営を圧迫している。
農家の倉庫には去年収穫したトウモロコシや大豆などの穀物が積み上げられている。
売った後で通貨がさらに下落すると利益が大きく目減りするため売るに売れない。
このため長期的な経営計画を立てることもできない。
(農場経営者)
「為替変動で損をしないよう次の収穫まで穀物を保管しています。
現金が必要な時だけ売りに出すようにしています。」
経済的な苦境で特に暮らしが圧迫されているのが親ロシア派地域から逃れてきた人たちである。
ロシアによるクリミアの併合以来130万人以上にのぼる。
ユリア・セルジュークさんは去年6月に親ロシア派が支配する地域から
14歳になる息子ドミトリー君を連れてキエフ郊外に避難した。
最も気がかりなのが故郷に残った親族。
弟に毎日電話をかけて安否を確かめる。
(ユリア・セルジュークさん)
「この1年 父や兄弟と会えていません。
ひどい状況です。」
セルジュークさん親子は政府から提供された保養所の1室を借りて暮らしている。
今年3月からはこれまで無料だった公共料金や住宅費用が毎月4000円以上徴収されるようになった。
安定した収入がなく食べるだけがやっとの親子にとって大きな負担である。
(ユリヤ・セルジュークさん)
「先のことを考えるのはやめました。
1日1日を生きるだけです。
先の見通しなんて立ちません。」