6月12日 おはよう日本
公共のハローワークは無料で求人を出せるが
失業対策が中心のため企業の要望に沿えないこともある。
一方 民間の人材紹介会社は企業が求める人材を探し出して売れるが高額な費用がかかる。
そこでインターネットの求人広告のサービスが注目されている。
求人広告はこれまで雑誌などが中心だったが
比較的安く利用できるインターネットが
特に中小企業などで人手不足を解消する切り札になるのではないかと期待されている。
5月 あるベンチャー企業が新しいインターネットの求人サービスを開始した。
最大に売りは無料で使えること。
仕事を探す人だけでなく求人を出す企業からも一切料金を取らない
業界の常識を覆した新サービスである。
月間の利用者を200万人と見込み画面に掲載する広告量で利益を出そうというのである。
(求人サイト運営会社 南壮一郎社長)
「採用できていない一番の理由は56%の企業が採用コストを払えない。
今まで採用が出来ていない企業に新しい課題解決のツールを提供できる。」
この新サービスは採用に苦労している中小企業から早くも注目を集めている。
横浜市のガラスなどの加工や販売を行う会社。
従業員は13人。
景気の回復で売り上げは増えているが人手不足に悩んでいる。
半年前に約10万円の広告費を払って情報誌に求人を出したがほとんど応募はなかったと言う。
(ガラス加工販売会社 山下裕一社長)
「枠が圧倒的に小さいので目立たない。
やはり色がついているところに目がいきやすい。
大きい枠とか。
大きいところはそれなりに金額がかかる。
もっと高くなってしまう。」
そこで無料の新サービスの利用を検討することにした。
営業の担当者に説明を聞いた。
(ガラス加工販売会社 山下裕一社長)
「今期は採用はもういいや。
広告費がないからというところだったが
無料になるということは雇用する側にとっては幅広い人材が中小企業に来てもらえる。」
インターネットならではの機能を使って人材確保につなげると言う求人サービスもある。
このサービスの特徴はフェイスブックなどインターネットのつながりを利用している点である。
このサービスのサイトに求人を出すと興味を示した人とつながりがある知人や友人に情報が伝わる。
そこで興味を示した人がいればさらにその知り合いに。
同じ興味や関心を持った人に求人情報が効率的に伝わる。
さらにこのサイトでは会社の雰囲気などを伝える写真は数多く掲載されているが
通常あるはずの給料などの情報は見当たらない。
社風や仕事のやりがいで会社を選んでもらうために
あえて給料や福利厚生などの情報を載せないことを売りにしているのである。
(求人サイト運営会社 仲暁子社長)
「従来の採用媒体だとまずは給料から検索する人が多いが
給料だけでは満たされないという若者が増えている。
会社は無名でも中の人がすごく優秀だったり輝いていたり情熱がすごい熱いと
その影響力によって人を集められる。」
このサイトの求人を見て転職した高橋慎一さん。
今は従業員55人の大阪のIT企業で働いている。
前の会社では同僚との連携は少なく
プログラマーの1人として与えられた業務をこなすだけだと感じていた。
そんな時フェイスブックを観ていて今の会社の求人を見つけた。
社員旅行でレクリエーションを楽しむ写真に興味を持ったという。
(求人サイトで転職した高橋慎一さん)
「仕事だけでなく人生を楽しんでいる。
居心地の良さというところに尽きる。
それが感じられたのでここにしようと。」
今では重要なプロジェクトを任されるようになった高橋さん。
会社はいい人材を確保できたとインターネットの新しい求人サイトに手ごたえを感じている。
(サイトで求人募集した福田博一副社長)
「大手企業だとネームバリューで求職者を集めることが出来るが
そうではない我々のような会社が正しく会社の中身を伝えることができ
求職者が集まってきてくれるという意味でこのサービスは非常に力になっている。」
企業側が高い期待を寄せるインターネットの求人サービス。
仕事を探す人にとっては思わぬ落とし穴もある。
正規の求人を装った“ニセの求人が増えているというのである。
医療・介護業界のサイトを運営する会社。
サイトに掲載している求人を真似たニセの求人に悩まされている。
この企業が作成した正規の求人とニセの求人サイトに掲載された文章は全く同じ。
悪質な求人サイトが利用者を増やそうと求人を水増しするためにニセの求人を作っているとみられる。
本来 求人を応募するとその情報はその求人を出した事業者に届けられる。
しかしニセの求人の場合情報は届かない。
募集を打ち切った、などと嘘を言われ採用されることはない。
この会社はニセの求人を見つけるとそのサイトの運営会社に連絡し削除させているがイタチごっこだと言う。
(求人サイト運営会社 豊田剛一郎代表取締役)
「求職者はどこで仕事を探せばいいか不信になる。
求人サイト業界全体の信用性も落としてしまうことになる。」
危うさもあるネット上の求人サービス。
何らかの規制が必要だとする専門家もいる。
(中央大学経済学部 阿部正浩教授)
「求人広告は規制がない。
何か問題が起こった時に仕事を探している人が不利益を被らないような
仕組み作りはしていかなければならない。」