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日タイ協力で新しい焼き物

2015-06-26 07:15:00 | 報道/ニュース

6月20日 おはよう日本


タイ北部の都市チェンマイ。
多くの旅行客でにぎわう観光地である。
人気の土産物のひとつが伝統の工芸品セラドン焼き。
ヒスイのような緑色と細やかなヒビ。
長く使い込むほどに色合いが変わり丈夫なのが特徴である。
ところが近年 中国やベトナムなどの安い製品に市場が奪われ
倒産に追い込まれるメーカーが相次いでいる。
中堅の陶磁器メーカーもここ数年売り上げが低迷していた。
(カサマ ポッテリー社CEO アーパスラ・クレインさん)
「これまでのセラドン焼に代わる新たな製品を作る必要があったのです。」
ピンチをなんとか打開できないか。
連携したのは佐賀県有田町の窯元馬場久和さんだった。
ちょうどこの時 馬場さんも海外に活路を求めていた。
日本の市場が縮小していたからである。
JETROの紹介をきっかけに商品の共同開発に取り組むことに決めた。
日本とは異なるタイの土と
日本の技術とを組み合わせれば全く新しいものができるのではないか。
タイだけではなく欧米や新興国の市場までも狙える製品を売り出そうというのである。
{真右工門窯 馬場久和さん)
「日本から今まで輸出でき中田国に商品を出していきたい。
 タイで作って第三国に輸出したい。
 そういう思いがあります。」
現地で指導にあたった馬場さんがまず提案したのが
陶磁器を薄く・軽くすることだった。
重厚なセラドン焼とは逆の発想である。
この工場の職人たちはこれまで誰も器の厚みは気にしていなかった。
このため馬場さんの提案に最初は戸惑ったと言う。
さらに生産の効率化を図るため機械を導入。
しかし仕上げだけはこれまで通り手作業で行い
大量生産品にはない手作りの温かみを残した。
そして最も力を入れたのは鮮やかな色を生み出す釉薬(うわぐすり)。
タイ北部をひたすら回りさまざまな色を生み出せるような原料を探した。
(工場長)
「最高品質の材料を探すのはとても大変でした。
 仕上がりを見たら報われた気持ちになりましたけどね。」
1年半にわたる試行錯誤の結果
日本の焼き物でもない
セラドン焼でもない
新しい焼き物が生まれた。
淡い緑が基本だったセラドン焼にはない黄色や赤など多彩な色合い。
細かい無数の決勝が作り出した独特の模様。
タイ北部の方言で“最高の職人”という意味の「サラ」と名付けた。
従来のセラドン焼とサラのカップを比べると
取っ手の部分など器の厚さは目に見えて違うが
実は同じ要領の140mlが入る。
その薄さはタイの業界の常識を覆すものだった。
(馬場久和さん)
「自分たちはこういうものを出来るんだという意識が変わってきているので
 いろいろな市場
 いろいろなお客様に届けられるようにしていきたい。」
馬場さんが帰国した後はタイの職人たちだけで新しい器の開発に取り組んでいる。
しかし高品質な器を安定して大老生産するのは簡単ではない。
「ほんのわずかなミスで結晶が出てこないね。」
工場のスタッフは日本にいる馬場さんと今も頻繁にやり取りをしている。
青と白のグラデーションの間に小さなシミが出ている器。
馬場さんは釉薬が古くなったのではないかと指摘してくれた。
(工場長)
「馬場さんのノウハウと技術で
 私たちの製品はより美しく価値の高いものになりました。
 いつも情熱的に働く馬場さんにはとても刺激を受けます。」
タイと日本の連携で生まれた新たな焼き物「サラ」。
日本の食卓を飾る日も遠くないかもしれない。


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