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カンボジア EUによる経済制裁の可能性は

2020-02-02 07:00:00 | 報道/ニュース

1月16日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


近年 強権的な姿勢を鮮明にしているとして
フン・セン政権に対し国際社会から批判の声が上がるなか
最大の輸出先であるEUヨーロッパ連合は人権状況の悪化を理由に経済制裁を検討している。
制裁が実施されればカンボジア経済にとって大きな打撃になる。

1月15日
カンボジアの首都プノンペンで始まった裁判。
被告は国家反逆の罪に問われているケム・ソカ氏である。
フン・セン政権によって3年前解散を命じられた最大野党の党首を務めていた。
(パイン・へイン弁護士)
「彼への疑いは晴れると思います。
 それこそが正義です。」
野党への締め付けを続けるフン・セン政権に対し国際社会はきびしい目を向けている。
中でも批判を強めているのが人権を重視するEU。
経済制裁としてカンボジアに適用している特恵関税措置の撤廃を検討。
武器以外のすべての製品について輸入関税をなくすという優遇措置を続けるかどうか
来月には判断する見通しである。
適用が始まってから20年近く。
EUへの輸出は後押しされ今では全体の約4割を占めるまでに拡大。
中国向けと比べて5倍近い規模で
年7%前後という高い経済成長率の実現にも貢献した。
措置が撤廃されればカンボジア経済への打撃は避けられない。
ただフン・セン首相は
「制裁をちらつかせて人権の解明を迫るEUのやり方は内政干渉だ」と反発。
(カンボジア フン・セン首相)
「援助や特恵関税を国の主権と取引できるわけがない。」
外国投資全体の約7割を占める中国の投資を背景に
EUに対して強い姿勢をとっている。
しかしEUによる制裁の可能性が高まるなか市民の間では不安が広がっている。
主力の輸出産業である縫製業では
措置が撤廃されれば失業者は数十万にものぼるとされる推計がある。
EU向けの服などを縫製する工場で13年働いてきたコッサルさん。
工場では従業員の代表を任され
月収は日本円で約3万3,000円である。
家族3人の生活費に加え
月に8,000円近くかかる子どもの学費もまかなってきた。
EUが制裁に踏み切れば輸出は減速。
工場の生産も抑えられ
相当数の従業員が解雇されるのではないかと懸念している。
(縫製工場従業員 コッサルさん)
「特恵関税措置が撤廃されれば失業して収入がなくなります。
 そうなれば子どもに勉強を続けさせられません。」
失業した場合に備えコッサルさんは去年11月から薬品販売のアルバイトを始めた。
しかし給与は歩合制。
慣れない仕事のせいもあってまだ収入にはつながっていない。
この日コッサルさんは別の工場の代表たちと自分たちの仕事の将来について話し合った。
「特景関税措置がなくなり工場が閉鎖しても他の仕事はできない。」
「工場が閉鎖したら失業だ。」
どの工場も状況は厳しく
従業員の間で不安が広がっていることが分かった。
コッサルさんは
カンボジア政府とEUには政治的な駆け引きではなく
貧しい人々の暮らしにこそ目を向けてほしいと感じている。
(縫製工場従業員 コッサルさん)
「政治のことはよく分かりませんが
 労働者や市民は不安を感じています。
 特恵関税措置の撤廃で苦しむのは私たちカンボジアの庶民なのです。」


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