1月24日 NHK「おはよう日本」
津市の三重大学。
この大学の大学院でいま国内で唯一の研究が進められている。
大学院生が読んでいるのは江戸時代の古文書。
この授業は“忍者・忍術学”の専攻過程で
忍者の実像や発展過程を解明することを目指している。
(大学院生)
「どういうふうに生活して
どういう呼吸とか忍び方をして潜入して
非常におもしろい。」
「忍者の沼にはまってしまっている感じ。」
(中国からの留学生)
「忍者のスキルはとってもかっこいい。」
忍者の起源は14世紀の南北朝の時代にさかのぼるとされている。
敵の城に潜入し放火や暗殺など
影の仕事を担った忍者。
特に伊賀地方の忍者は
戦国時代 徳川家康に取り立てられたことなどから
全国に知られている。
その後
歌舞伎や小説
最近ではアニメにも取り上げられたことから
黒装束を着た日本の忍者は世界でも人気を集めている。
しかし本当の忍者の姿がどういうものだったか
本格的な研究はこれまでほとんど行われていない。
山田教授は忍者に関する“埋もれた資料”を探している。
この夏 向かったのはアメリカだった。
終戦後にGHQが持ち帰った古文書の中に
忍者に関する資料が埋もれているのではないかと考えたのである。
ワシントンにあるアメリカ議会図書館。
図書館の奥で保管されていた貴重な資料の撮影が許され
山田教授は持ち帰って時間をかけて分析することにした。
その後 持ち帰った資料を読みこむうち
山田教授は
江戸時代の兵法書の中に当時の忍者の姿をうかがわせる記述を見つけた。
忍者が追っ手から逃れる際に使ったとされる
まきびしを投げる武士の姿である。
現在 黒装束などで描かれることが多い忍者。
それは後世の創作で
実はこれこそが当時の忍者の本当の姿に近いと山田教授は考えている。
(三重大学人文学部 山田雄司教授)
「当時納通の武士の人の衣装。
こういう形で活動していたのが“忍び”と言われる人だと思う。
自分の名前を残してはいけないし
いろいろな書いた物も残してはいけない。
だけれどもやることは非常に大きなことを成し遂げて
毎日コツコツといろんなことをやっている。
そういう忍者の像を示してさらには
世界の人にもっと忍者に対して関心を持ってもらえたら。」
山田教授が講義をする中で強く印象に残った出来事があった。
「ぱっと見には何も見えない。」
教授が出した課題にある学生が提出したリポート。
はじめ白紙で出されたリポートは実は
あぶると文字が浮かび上がる“あぶり出し”だったのである。
「字がはっきり見えてすごいなと思った。」
リポートを提出した人文学部1年の芳羽賀さん。
多くの学生がパソコンでリポートを作成するなか
羽賀さんは忍術を使ったリポートを思いついた。
大豆をミキサーで細かく砕き絞った液を作り
筆でリポートを完成させたのである。
(羽賀さん)
「せっかく“忍者学”ぼリポートだったので
忍者の術を使えたら面白いと思った。
きれいにできるとすごくきれいにふわっと炙り出されてくるので
それがすごくうれしくて。」
世界の人々を魅了してやまない忍者。
その新たな世界が切り開かれている。