2021年2月15日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」
南米ブラジルでは今年に入って感染が再び拡大し多くの都市でロックダウンが行われているが
その影響で女性の化粧に対する意識に変化が起きている。
最大都市サンパウロで毎年開かれている日系人の美人コンテスト。
ブラジルに200万人いると言われる日系人最大のイベントで
会場にはブラジルの美容関係者が多くかけつける。
メイクに使用されているのは日本製の化粧品。
もともと根強い人気のあった日本製の化粧品だが
コロナ禍のブラジルでは今その人気が多くの人に広がり始めている。
ブラジルでは日本製の化粧品だけを集めたコーナーが多く見られるようになっている。
売れているのは洗顔料や肌のケアに必要な基礎化粧品である。
中でも日本製の商品は人気で
前年比で20%近く売り上げが伸びている。
(店員)
「パンデミック後売り上げが急に伸び
日本の洗顔料などを多くのお客様が買い求めています。」
1人あたりの化粧品消費量が世界4位の美容大国ブラジル。
出かける際は完璧なメイクをするが
これまで保湿などのスキンケアは重視されてこなかった。
新型コロナの拡大がブラジル人の女性の意識を徐々に変化させているのである。
なかには日本の化粧品だけを好んで使用する“JAPANマニア”と呼ばれる人も生まれている。
サンパウロで美容関係の仕事をしているオオタさん。
3年前訪れた東京で日本の化粧品を購入し
そのクオリティの高さを知った。
感染拡大後
クーラーがきいた家にいる時間が増え
肌の乾燥が気になるようになったオオタさん。
肌をきめ細かく整えるには日本製が一番だという。
いまでは30種類以上の日本の化粧品を使い分けている。
(オオタさん)
「日本人が化粧品に対して意識が高いことは知っていました。
日本製は非常に品質が高く
実際に使ってみると良さが分かります。」
意識の変化に一役買っているのがユーチューバーの存在。
ブラジルでは感染拡大以降日本の化粧品を紹介するユーチューバーが増え
数百人にのぼっている。
ユーチューバーのふたりが紹介するのは鼻の汚れを取るシール。
「取れた?」
「いっぱい汚れが取れた。」
「私のもすごくとれたわ。」
ユーチューバーのゴイさんは女性誌の編集者だった。
感染拡大後
出版社をやめオンラインでの発信に専念している。
自分で日本製の化粧品を購入して商品を試し
今ではチャンネル登録者が3万5,000人にのぼる。
(ゴイさん)
「感染拡大で在宅が増えたため
人々の意識が変わり
肌のケアの新しい方法に興味を持ったのです。」
ブラジル人の意識の変化は日本企業の新商品の開発にも影響を与えている。
日本の大手商社 三井物産では
保湿を重視し始めたブラジル人女性の好みを知るために
現地でアンケート調査を始めた。
この日は開発中の化粧品と美容液のさまざまなサンプルを準備した。
どのタイプが最も肌になじむのか試してもらい用紙に記入してもらう。
さらっとするよりも
潤いを維持できるしっとりとした感触の製品のニーズが高まっているという。
「肌が乾燥しないし
べたつかないので気に入りました。」
企業側では日本の化粧品に対する需要を踏まえ
ブラジルの人により好まれる商品の開発を進める予定である。
(ブラジル三井物産)
「日本の製品に対する需要が非常に大きくなっている。
いろんなタイプの肌質の方がいるこの国で成功モデルを作れれば
“Jビューティー”という日本の美容が
ラテンアメリカで有名になることが実現できればと思っている。」
いまだ感染拡大が続く新型コロナウィルス。
ブラジル人女性の意識にも変化をもたらしている。
2021年2月12日 読売新聞「編集手帳」
子供ならではの疑問がある。
5歳児が大人に、
月がきれいだと話して、
こうも言った。
「おつきさんはぜんぶでなんこあるの」。
最近、
「こどもの詩」欄に掲載されていた。
いつか学校で教わるだろう。
月は地球の周りを公転している。
太陽光に照らされて、
地球から見える。
満ち欠けは、
位置関係による。
科学知識を身につけても、
天体に感動するのは変わらないらしい。
国際宇宙ステーションに滞在中の野口聡一さんが、
満月の写真をツイッターに投稿した。
「蒼く見えてますね。
幻想的!」との言葉が添えられていた。
高度約400キロの軌道を飛ぶ宇宙飛行士が、
インターネットで発信できる。
そんな時代になった。
「#きぼうを見よう」というサイトでは、
宇宙ステーションを肉眼で見られる場所と日時が分かる。
天気に恵まれたある日の夕暮れ後、
半信半疑で都心の空を見た。
あった!
光る点が動いている。
思わず手を振る。
どうかお元気で。
今日は旧暦の正月にあたる。
人は昔から、
月や太陽の運行を観察し、
暦を作り、
暮らしに役立ててきた。
法則を探る科学と、
美をめでる心の両方を大切にしたい。
2021年2月12日 NHKBS1「国際報道2021」
1月 初めて女性の副大統領が誕生したアメリカ。
ただ女性の政治参画が進んでいるとは言えないのが現状である。
G7各国の女性議員の割合は
1位 フランス 39.5%
2位 イタリア 35.7%
3位 イギリス 33.9%
4位 ドイツ 31.5%
5位 カナダ 29.6%
6位 アメリカ 27.3%
7位 日本 9.9%
アメリカは2020年秋の連邦議会選挙を経て
23.4%から27.3%に上昇しているが
日本の9.9%に次いで低い水準。
その背景には何があるのか。
女性として初の副大統領に就任したカマラ・ハリス氏。
将来の大統領候補とも言われ
バイデン政権における女性の政治参画の象徴的存在となっている。
しかし大統領選挙と同時に行われた連邦議会選挙では
立候補の段階から女性の割合は男性に比べて低く
民主党と共和党で合わせて
上院で23.9%
下院で29%
にとどまった。
女性の政治参画の研究で知られるラトガーズ大学。
30年前から政治を目指す女性に“選挙トレーニング”など実践的な講座を行なってきた。
しかしいまだ女性議員の割合が思うように増えていない現実に危機感を抱いている。
(ラトガーズ大学 アメリカ女性と政治センター ウォルシュ所長)
「家族や子どもの問題・環境問題などにおいて女性は非常にすぐれた視点を持っています。
もし女性議員がいなければ女性のすぐれた視点は議論に反映されないでしょう。」
なぜ女性の立候補者の数は伸び悩んでいるのか。
その背景には日本とも共通する課題がある。
民主党のストリックランド下院議員。
8年間市長をし務めた経験をアピールして初当選した。
ストリックランドさんが壁と感じてきたのは
女性には家事や育児・介護などとの両立が求められることである。
(民主党 ストリックランド議員)
「男性議員は仕事と家事のバランスについて問われることがありません。
今でも家族の世話の大部分を担っているのは女性だからです。
市長になった時私はまだ独身でしたが
経済面など家族ができてもやっていけるか考えざるを得ませんでした。」
下院議員となった今
女性が政治に参加しやすい社会を実現していきたいと考えている。
(民主党 ストリックランド議員)
「女性にとって良い政策は社会全体の利益です。
さまざまな世代の女性が政治参画できるようにしたい。」
一方 投票する側は女性の候補者をどう受け止めているのか。
日本とアメリカの有権者の投票行動について研究を行なっている
早稲田大学政治経済学術院 小野義邦教授。
コンジョイント実験という方法で1、000人以上に対して調査を行なった。
参加者には
架空の候補者2人の性別・人種・重視する政策といったプロフィールを示し
どちらに投票するか選んでもらう。
これを何パターンも繰り返すことで
投票する際
どんな要素がどの程度影響しているのか推計することができる。
実験の結果
女性の候補者は男性に比べ
アメリカでは平均で1.3ポイント
日本では平均で2.7ポイント
得票しにくいことが分かった。
さらに
女性候補者がどんな政策をアピールするのかも得票に影響する可能性も見えてきた。
女性の場合
環境問題に比べて外交や安全保障をアピールする人の方が不利になる傾向があったというのである。
(早稲田大学 尾野教授)
「女性候補者がステレオタイプの枠から外れると
ネガティブに有権者は評価する傾向がある。
無意識のうちに女性はサブ的なものだというおそらくバイアスがある。
現状としてバイアスがあると認識していると
その辺 変わりやすくなる。」
こうした状況でどう女性候補者を増やしていくか。
ラトガーズ大学では政治家を目指す女性たちに具体的な選挙戦略の立て方を指導している。
1月に始まったオンライン講座にはこれまでにのべ650人余が参加。
(講師 セリンダ・レイク氏)
「選挙戦で重要なのは有能さと好感度の両立です。
これらの要素は女性により多く求められます。」
この日は選挙で評価されやすいポイントとして
“他の政党のメンバーとも協力しあってきた“
“経営者として新たなビジネスや雇用をたくさん生んだ“など
協調性や実務経験をアピールすることを提示した。
大学では女性議員を増やすには
政党が具体的な取り組みを進める必要があると考えている。
(ラトガーズ大学 アメリカ女性と政治センター ウォルシュ所長)
「民主・共和両党は女性候補の擁立に力を注ぎ
選挙で勝てるよう支援していくべきです。」