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韓国 大統領選挙まで1年 若者が求めるリーダーは?

2021-03-30 07:17:25 | 報道/ニュース

2021年3月9日 NHKBS1「国際報道2021」


(韓国 KBS 2021年1月6日放送)
「KOSPI(総合株価指数)が初めて3,000を超えました。」
今年 一時最高値を記録するなど堅調な韓国の株式市場。
株価を押し上げたとされるのが20代や30代の若者による投資である。
背景には将来への不安があるという。
去年の夏から新たな収入源を求めて投資を始めたイさん(31)。
塾で講師をしているが
不動産価格が高騰するなか
今の収入ではマイホームを手に入れることは難しいと感じ
将来への希望を失いつつある。
(イさん)
「今は自分がいくら頑張っても家を買えないのではないかと感じています。
 革新系(与党)が政権を握ったら若者の生活が改善されると思ったが
 何も変わらなかった。」
パク・クネ前大統領を罷免に追いやり
ムン・ジェイン政権の誕生を後押ししたのが若者たちだった。
就任当時 若者の雇用の確保を掲げたムン大統領。
執務室には大型モニターを設置し
状況の改善をアピールする計画だった。
(2017年5月 韓国 ムン・ジェイン大統領)
「雇用率がOECDの平均値より10%近く低いため
 若者の失業がとても深刻な状況だ。」
しかしムン政権下の4年間で失業率はほとんど改善していない。
安定した収入が見込めないなか
結婚や出産
マイホームなどをあきらめる若者も増えている。
(淑明女子大学 ユン教授)
「若者層の支持率低下は
 経済的な危機による就職への不安や
 格差による不平等への反発が反映されたものだとみています。」
不満を募らせる若者たちが次期大統領として期待を寄せるのは誰なのか。
世論調査で高い支持を得ているのが
ソウル近郊のキョンギ道の知事を務める 与党のイ・ジェミョン氏(56)である。
格差の解消など左派的な姿勢を打ち出し
韓国の“サンダース”とも評されている。
一定額を無条件で支給し最低限の所得を補償するベーシック・インカムの導入を掲げ
すでに2年前からキョンギ道内で24歳の若者に給付金を支給している。
(韓国 キョンギ道 イ・ジェミョン知事)
「ベーシック・インカムは最も深刻な社会問題である経済的格差を緩和できるだろう。
 財源を国民に支給し
 消費を促せば
 経済が潤うはずだ。」
イ・ジェミョン知事を支持するウさん(20)。
3月に大学生活をスタートさせたが
厳しい競争の中で将来の不安は尽きない。
若者のための政策を実現してくれるのではないかと期待を寄せている。
(ウさん)
「若者の不満に耳を傾け
 解決法を見出してくれるのが他の政治家との大きな違いです。」
SNSを積極的に活用するイ・ジェミョン知事は若者にとってアクセスしやすい存在だという。
(ウさん)
「イ・ジェミョン知事が今後も若者の苦しみを少しでも減らす政策を打ち出してくれれば
 私たちも将来に向けて頑張れる気がします。」
一方の野党側は現段階では有力な候補を見い出せていない。
パク・クネ前大統領の逮捕などについて謝罪し
過去の失敗と向き合う姿勢を強調することで有権者の理解を得ようとしている。
その野党内で期待が高まっているのが
辞任したユン・ソギョル前検事総長である。
ムン大統領の祖金だったチョ・グク元法相の親族をめぐる疑惑を追及し辞任に追い込むなど
政権側と対峙してきた。
ユン・ソギョル氏が立候補すれば
社会の公正さを求める若者たちの不満をすくい取ることが出来るのではないかとみられている。
(韓国 ユン・ソギョル前検事総長)
「今後どんな立場にあっても
 自由民主主義と国民を守るために全力を尽くす。」
専門家は
今後 若者などの支持を得るためには
格差の拡大や不平等をいかに解消するかがカギになると分析している。
(淑明女子大学 ユン教授)
「いまの若者たちは公正さに敏感だ。
 誰が最も平等な社旗を実現するのか
 それができる候補に支持が集まるだろう。」

3月9日の韓国の新聞では
1年後に迫った大統領選挙について3人を大きく伝えている。
3月初めに発表された世論調査機関リアルメーターの調査によると
イ・ジェミョン知事に期待する人が最も多く23,6%となっている。
大統領選挙への立候補に向けて野党の代表を辞任したイ・ナギョン氏が15,5%
ムン政権下で約2年7か月にわたって首相を務めた。
また同じ15,5%となっているのがユン・ソギョル氏前検事総長である。
まだ立候補するかどうか明らかにしていないが
保守・中道層の支持が伸びていて
世論調査によっては最も多く支持を集めているものもある。
イ・ジェミョン知事は一般の有権者からは支持を集めているが
与党内でムン・ジェイン大統領に近いとは言えず
今後 与党の公認候補に選ばれるかもまだ見通せない。
4月7日には大統領選挙の前哨戦と位置づけられている
首都ソウルと第二の都市プサンの市長選挙が控えており
大統領選挙を目指す人たちがどのような存在感を示すかも今後に影響を及ぼしそうである。
最悪と言われる日韓関係については
今の与党が勝利すれば大きな方向性ではムン政権を引き継ぐ形になるとみられ
逆に野党が勝てばより大きな変化が生じることが予想される。
ただひと言 与党と言っても
イ・ジェミョン知事は日本への厳しい発言が目立つ一方
イ・ナギョン氏はかつて日本に駐在した経験もある知日派とされるなど幅がある。
今後それぞれがどのような外交面でのビジョンを打ち出すのかが注目される。
大統領の交代で日韓の間の懸案が直ちに解消されるわけではないが
日韓関係が変わるひとつのきっかけとはなり得る。
隣国 韓国の人たちがどのようなリーダーを選ぶことになるのか
注視していきたい。
 


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