6月11日 おはよう日本
宮城県栗原。
水田の上を飛ぶ無線操縦のヘリコプター。
種もみをまいている。
じかまきと言われるこの方法。
苗を育てる工程などを省くことで生産コストを1割減らすことが出来るとして
国が普及を目指している。
しかし種もみが浮いてしまうとうまく根付かない。
ここに新たなビジネスチャンスを見出したのが大手鉄鋼メーカーのJFEスチールである。
使うのは鉄粉。
歯車などの自動車部品の材料となる。
鉄粉を焼き固めることで様々な形状の部品になる。
新たに開発した鉄粉を種もみにつけておもりにして使おうというのである。
鉄粉の直径は50ミクロン。
より微細にすることで種もみの表面に隙間なく埋まり
はがれにくいということである。
メーカーではこの鉄粉を“粉美人”と名付けて専用の商品とした。
この鉄粉をつけたほとんどの種もみは水田に沈んだ。
現在じかまきで生産されているコメの際うつけ面積は1%余。
このメーカーではじかまきの技術開発が進めば今後需要が増えると見込んでいて
コメ専用の鉄粉の生産を新たなビジネスに育てたいとしている。
(JFEスチール 園部秋夫部長)
「我々の培ってきた鉄粉に対する取り組み・技術が生かせるのではないか。
その可能性をちょっとかけてみたい。」
農家と二人三脚でコメビジネスに乗り出した企業もある。
富山県の水田。
田植えの様子を視察しているのは大手化学メーカー 住友化学の社員。
肥料や農薬の製造・販売も手掛けてきたこのメーカー。
農家の協力を取り付け
コメの生産から販売まで一貫して手掛けようというビジネスを今年から始めた。
メーカーはあらかじめコメの売り先を確保する。
そのうえで地域の農協を介するなどして
農家に売り先に合わせたコメの生産を委託する。
収穫したコメはメーカーが買い取り
確保した売り先に販売する仕組みである。
このメーカーがコメの売り先とするのはコンビニや外食チェーンである。
業務用の米は比較的需要が安定し
取引の規模も大きいことが魅力だと考えている。
業務用にはどのような品種の米がふさわしいのか。
安定して収穫量を確保するのが1つの条件だと考えた。
このメーカーはまずベンチャー企業から新しい品種を買い取った。
新しい品種は同じ面積でも収穫量が2割増えると言う。
収穫量を増やす方法としては肥料を多く与えることがある。
しかし穂だけでなく茎も長く成長してしまい倒れやすくなると言う。
新しい品種は穂が成長しても茎はあまり成長しないので倒れにくく
収穫量が安定するとメーカー側では説明している。
新しい品種を生産するための指導も行っている。
農家に対し最も効率的に収穫できる方法をアドバイスしている。
このメーカーの新たなビジネス。
農業経営の選択肢が増えたと受け止める農家もいる。
(農家 柴藤康二さん)
「まず売り先が決まってkら作るというところが理想。
収量・品質もきちんとしたものをとれば買っていただけるところが一番いい。」
このメーカーは各地の農協を訪ねて
自分たちのコメを生産してくれる農家を紹介してもらおうとしている。
一定の収益を上げるには今の10倍以上の作付面積が必要となるからである。
ビジネスとして成り立たせるには農家などの協力をどこまで広げられるかが大きな課題となる。
(住友化学 貫和之執行役員)
「需要家と生産者の間をもっと短くしてもっと緊密にして
非常に売りやすいコメの生産と販売といったモデルを追及していく。」