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コメにチャンスあり 企業が参入

2015-06-15 07:15:00 | 報道/ニュース

6月11日 おはよう日本


宮城県栗原。
水田の上を飛ぶ無線操縦のヘリコプター。
種もみをまいている。
じかまきと言われるこの方法。
苗を育てる工程などを省くことで生産コストを1割減らすことが出来るとして
国が普及を目指している。
しかし種もみが浮いてしまうとうまく根付かない。
ここに新たなビジネスチャンスを見出したのが大手鉄鋼メーカーのJFEスチールである。
使うのは鉄粉。
歯車などの自動車部品の材料となる。
鉄粉を焼き固めることで様々な形状の部品になる。
新たに開発した鉄粉を種もみにつけておもりにして使おうというのである。
鉄粉の直径は50ミクロン。
より微細にすることで種もみの表面に隙間なく埋まり
はがれにくいということである。
メーカーではこの鉄粉を“粉美人”と名付けて専用の商品とした。
この鉄粉をつけたほとんどの種もみは水田に沈んだ。
現在じかまきで生産されているコメの際うつけ面積は1%余。
このメーカーではじかまきの技術開発が進めば今後需要が増えると見込んでいて
コメ専用の鉄粉の生産を新たなビジネスに育てたいとしている。
(JFEスチール 園部秋夫部長)
「我々の培ってきた鉄粉に対する取り組み・技術が生かせるのではないか。
 その可能性をちょっとかけてみたい。」
農家と二人三脚でコメビジネスに乗り出した企業もある。
富山県の水田。
田植えの様子を視察しているのは大手化学メーカー 住友化学の社員。
肥料や農薬の製造・販売も手掛けてきたこのメーカー。
農家の協力を取り付け
コメの生産から販売まで一貫して手掛けようというビジネスを今年から始めた。
メーカーはあらかじめコメの売り先を確保する。
そのうえで地域の農協を介するなどして
農家に売り先に合わせたコメの生産を委託する。
収穫したコメはメーカーが買い取り
確保した売り先に販売する仕組みである。
このメーカーがコメの売り先とするのはコンビニや外食チェーンである。
業務用の米は比較的需要が安定し
取引の規模も大きいことが魅力だと考えている。
業務用にはどのような品種の米がふさわしいのか。
安定して収穫量を確保するのが1つの条件だと考えた。
このメーカーはまずベンチャー企業から新しい品種を買い取った。
新しい品種は同じ面積でも収穫量が2割増えると言う。
収穫量を増やす方法としては肥料を多く与えることがある。
しかし穂だけでなく茎も長く成長してしまい倒れやすくなると言う。
新しい品種は穂が成長しても茎はあまり成長しないので倒れにくく
収穫量が安定するとメーカー側では説明している。
新しい品種を生産するための指導も行っている。
農家に対し最も効率的に収穫できる方法をアドバイスしている。
このメーカーの新たなビジネス。
農業経営の選択肢が増えたと受け止める農家もいる。
(農家 柴藤康二さん)
「まず売り先が決まってkら作るというところが理想。
 収量・品質もきちんとしたものをとれば買っていただけるところが一番いい。」
このメーカーは各地の農協を訪ねて
自分たちのコメを生産してくれる農家を紹介してもらおうとしている。
一定の収益を上げるには今の10倍以上の作付面積が必要となるからである。
ビジネスとして成り立たせるには農家などの協力をどこまで広げられるかが大きな課題となる。
(住友化学 貫和之執行役員)
「需要家と生産者の間をもっと短くしてもっと緊密にして
 非常に売りやすいコメの生産と販売といったモデルを追及していく。」



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楽しそうに濡れゆくものを若者と言う

2015-06-14 17:56:34 | 編集手帳

6月9日 編集手帳

 

小林多喜二は若き日の恋文に書いている。
〈「闇があるから光がある」
  そして闇から出てきた人こそ、
  一番ほんとうに光の有難ありがたさが分わかる んだ…〉
 荻野富士夫編『小林多喜二の手紙』、
 岩波文庫)

悲惨な境遇にある恋人、
田口瀧子を励ました1925年(大正14年)3月2日付の手紙である。
人づきあいに傷ついたり、
あるいは仕事でつまずいたり、
失意のなかにいる人にとっては時を超えて胸に響く言葉だろう。

時候も、
ちょっとそれに似ている。
ほの暗い雨の季節をくぐり抜けて迎えるからこそ、
夏の陽光がひときわまぶしく映る。

きのう、
関東甲信地方が梅雨入りしたという。
地震があり、
噴火があり、
憂 いの種につき合うのは地の底だけで手いっぱい、
というのが多くの人の心境だろう。
いくら後につづく“光の季節”を引き立ててくれるといっても、
豪雨が災害をもたらす「荒あら梅雨」や「暴れ梅雨」にならないことを祈るばかりである。

〈濡ぬれながら若者は行く楽しそうに濡れゆくものを若者と言う〉(永田和宏)。
もはや哀れっぽくしか濡れることのできぬ身は、
一首に漂う羨望の匂いがよく分かる。

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海千山千の国々との外交

2015-06-13 19:00:00 | 編集手帳

6月8日 編集手帳

 

中世ウクライナで栄えた「キエフ・ルーシ公国」は君主の娘をフラン ス、ノルウェー、ハンガリーの王に嫁がせ、
欧州の大国として君臨した。

『物語 ウクライナの歴史』(中公新書)に詳しい。
相当の外交力があったのだろう。

今もロシアに脅かされながら、
プーチン大統領と反目するジョージア前大統領を州知事に起用したり、
ロシアへの債務返済停止をちらつかせたりと、
あの手この手で抵抗している。

そのウクライナを安倍首相が訪問した。
北方領土を占拠され、
別の隣国の威圧も受ける国として「力による現状変更は許さない」と内外に訴え、
併せて「日本はプーチンに甘い」といぶかる米国の疑念払拭をもくろむ。
プーチン氏はおもしろくあるまい。だが、
「対日関係の悪化は避けたいはず。
黙認せざるを得ない」と読む。
したたかな外交を試みたか。

ウクライナ人を父に持つのが、
元横綱の大鵬だ。
かつて「横綱は、
相手によってどんな相撲でも取れなければならない。
どんな不利な体勢になっても、
対応できないといけない」と小紙で語っていた。

海千山千の国々がひしめく国際社会での外交にも通じる。

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トレイルランニング 高まる人気に課題も

2015-06-12 07:15:00 | 報道/ニュース

6月11日 おはよう日本


トレイルランニングとは山道をマラソンのように走ってタイムを競うもので
競技人口は20万人とも言われている。
昨年度全国の国立公園で開かれた大会の数はこの10年で3倍余りに増えた。

トレイルランニングは数10キロから100キロを超えるようなコースを駆け抜ける。
自然の中を思い切り走る爽快感が魅力である。
5月に東京青梅市で開かれた大会にも600人余が参加した。
(参加者)
「楽しい。
 子どものころに戻ったよう。
 野山をかけ無グル感じが。」
「景色が開けた瞬間はすごい感動。」
このスポーツは人気が出たのはここ10年ほどで
全国的な統一ルールは無い。
急激に競技人口が増えるなか課題も明らかになってきている。
その1つがランナーの安全性をどう守るかである。
横浜市の桑原真季子さん(29)は今年4月に青梅市で開かれた大会で足を骨折する大けがをした。
大会に出るのは2回目だった桑原さん。
レース終盤の25キロ付近で下り坂を走っていた時に転倒した。
初めての完走を前に体の疲れに気付けなかったと振り返る。
(桑原真季子さん)
「道路だと転んでもけがはたかが知れている。
 転んだ先に何があるかわからないし山道だと。
 うまく回復できずにそのままこけてしまった感じ。」
長年大会を運営してきた関係者は
人気の高まりとともに山の経験が少ないランナーが増えけがをする人も多くなってきたと感じている。
(長年大会を主催する大西喜代一さん)
「山を知らない人が突然来たら
 練習もせず山になれていないので危険。」
そしてもう1つの課題が一般の登山客とのトラブルである。
一般の登山道で行われるトレイルランニング。
すれ違ったり追い抜いたりする際
驚かせて転倒させたり接触したりするケースがある。
(登山客)
「一方的に追い越される。」
「スピードが出ているから
 そういうところがやっぱり危険。」
こうしたなかトレイルランニングを規制しようという動きも出てきた。
神奈川県鎌倉市では去年
登山者の団体がトレイルランニングの禁止を求める陳情書を市議会に提出。
賛成多数で採択された。
具体的な規制には至らなかったが関係者に衝撃が走った。
これを受けて地元の愛好家たちは自主的に動画を作成。
登山者やハイカーに出会った時のマナーを守るよう呼びかけている。
「鎌倉トレイル協議会」作成のビデオ
ハイカーや観光客と出会ったら走るのをやめ歩いてすれ違いましょう
より厳格なルールで行われる大会も増えてきた。
5月に東京青梅市で開かれた大会では
スタート前にスタッフがけが人を搬送する方法を確認。
ランナーにもマナーを守るよう呼びかけた。
またコースの10か所以上に緊急時に対応するスタッフを配置。
この日は40代の男性が転倒して切り株であごをけがしたが
スムーズに下山させ病院に送ることが出来た。
(長年大会を主催する大西喜代一さん)
「手間はかかるがルールは必要。
 ここまで人気が出たらルールがないとめちゃくちゃになる。」
今年4月にはプロのトレイルランナーを中心に統一ルールを作るための協会も結成された。
新たなスポーツとして普及させていくための取り組みが始まっている。
(プロトレイルランナー 鏑木毅さん)
「大会はこうあるべきとガイドラインを我々愛好者のほうから作っていく。
 それを大会主催者がみんなで守る。
 より質の高い大会になるような流れを作らなければならない。」

環境省や東京都は今年
トレイルランニングの大会運営や守るべきマナーについて指針をまとめ
呼びかけを始めている。

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疲弊するウクライナの経済

2015-06-11 07:15:00 | 報道/ニュース

6月10日 キャッチ!


ウクライナのポロシェンコ大統領が就任して6月7日で1年となった。
大統領選挙ではEUヨーロッパ連合への加盟を掲げ50%以上の票を得て当選した。
しかし就任から1年経った今
最新の調査では
大統領の仕事を評価すると答えた人は全体の2割にも届かない17%にまで落ち込んでいる。

6日にウクライナの首都キエフで行われたポロシェンコ大統領の退陣を求めるデモ。
ここ最近 悪化する経済に歯止めがかからに状況に
デモや集会がたびたび起きている。
(デモ参加者)
「生活は厳しくなるばかりだ。」
去年の就任式で
分離独立の動きを強める東部の一部の地域との対話を進める考えを示していたポロシェンコ大統領。
(ウクライナ ポロシェンコ大統領)
「国民は平和を願っている。
 平和と統一のためにも戦争や復讐は望まない。」
しかし就任から1年がたった今も
東部では政府軍と親ロシア派の戦闘が続いている。
6月3日には中心都市ドネツク近郊の政府軍のいる町で激しい砲撃戦が起きて
市民を含む合わせて20人以上が死亡。
国連によると今年2月の停戦合意後だけでも400人以上が犠牲になっている。
長引く戦闘はウクライナの経済にも打撃を与えている。
今年のGDP国内総生産の成長率は-9%と3年連続マイナス成長と予測。
対外債務は300億ドル(約3兆7千億円)。
国際社会の支援は不可欠である。
これに対し国際社会は支援の条件として公共料金の値上げなどの改革を要求。
路線バスや地下鉄などの料金は約2倍になった。
また通貨フリブナはこの1年でドルに対して半分に急落。
輸入品を中心に物価は上昇し
今年のインフレ率は46%に達するという予測もある。
輸入品の値上がりはGDPの10%を占める主要産業の農業を直撃している。
トラクターを動かす燃料は1年で2倍に値上り。
農薬や肥料なども輸入に頼っているため経営を圧迫している。
農家の倉庫には去年収穫したトウモロコシや大豆などの穀物が積み上げられている。
売った後で通貨がさらに下落すると利益が大きく目減りするため売るに売れない。
このため長期的な経営計画を立てることもできない。
(農場経営者)
「為替変動で損をしないよう次の収穫まで穀物を保管しています。
 現金が必要な時だけ売りに出すようにしています。」
経済的な苦境で特に暮らしが圧迫されているのが親ロシア派地域から逃れてきた人たちである。
ロシアによるクリミアの併合以来130万人以上にのぼる。
ユリア・セルジュークさんは去年6月に親ロシア派が支配する地域から
14歳になる息子ドミトリー君を連れてキエフ郊外に避難した。
最も気がかりなのが故郷に残った親族。
弟に毎日電話をかけて安否を確かめる。
(ユリア・セルジュークさん)
「この1年 父や兄弟と会えていません。
 ひどい状況です。」
セルジュークさん親子は政府から提供された保養所の1室を借りて暮らしている。
今年3月からはこれまで無料だった公共料金や住宅費用が毎月4000円以上徴収されるようになった。
安定した収入がなく食べるだけがやっとの親子にとって大きな負担である。
(ユリヤ・セルジュークさん)
「先のことを考えるのはやめました。
 1日1日を生きるだけです。
 先の見通しなんて立ちません。」

 

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欧米の日本研究者らが歴史認識に関する声明

2015-06-10 07:15:00 | 報道/ニュース

6月5日 おはよう日本


国際的の関心が高まっている日本の歴史認識。
それに関する1つの声明文が注目を集めている。
5月 欧米の日本研究者や歴史家が連名で発表したもので
いわゆる従軍慰安婦などの問題に関して偏見のない清算を呼びかけている。
この声明に賛同する研究者は発表した当初187人だったが
徐々に増え
457人にまで広がりを見せている。
「JAPAN AS NO.1」のエズラ・ボーゲル氏や
ピュリツァー賞を受賞した「敗北を抱きしめて」の著者ジョン・ダワー氏など
知日派の中でも著名な研究者も名前を連ねている。
彼らの声明は私たちに何を問いかけているのか。

タイトルは「日本の歴史家を支持する声明」。
戦後70年の日本の歩みが世界の祝福を受けるには
いわゆる従軍慰安婦などの歴史認識問題が妨げになっている指摘。
そのうえ
この(慰安婦)問題は日本だけでなく
韓国と中国の民族主義的な暴言によってもあまりにゆがめられてきました
元「慰安婦」の被害者としての苦しみが
その国の民族主義的な目的のために利用されるとすれば
それは問題の国際的解決をより難しくするのみならず
被害者自身の尊厳をさらに侮辱することにもなります
しかし同時に
彼女たちの身に起こったことを否定したり
過小なこととして無視したりすることも
また受け入れることはできません
過去の過ちについて可能な限り全体的ででき得る限り偏見なき清算を
この時代の成果として共に残そうではありませんか
この声明の呼びかけ人の1人 アメリカ コネティカット大学のアレクシス・ダデン教授。
歴史認識を巡る政治的な対立が歴史の検証を妨げているのではないかと
懸念を抱いたことがきっかけだと言う。
(コネティカット大学 アレクシス・ダデン教授)
「私たちが歴史問題と向き合っているのは将来のためだと信じています。
 私たちは20世紀の歴史を正確に記録に残す必要があります。
 21世紀に過去の暴力を繰り返さないためです。」
この声明の作成にかかわった1人 ハーバード大学 アンドルー・ゴードン教授。
アメリカでの日本史研究の第1人者で去年9月から日本に滞在し研究や講義を行っている。
(ハーバード大学 アンドルー・ゴードン教授)
「私たちが重要だと考えたのは
 歴史評価における偏狭なナショナリズムや言論に対する制限が
 日本だけの問題ではないということです。
 そのことを声明の中に適切な形で盛り込むことが重要だと思いました。
 その点もしっかり声明に盛り込まれたと考えています。」
声明に賛同した研究者たちの間には
いま日中韓の3カ国で
異なる立場の意見を認めない雰囲気が広がっているという危惧がある。
例えば日本ではヘイトスピーチなど在日韓国朝鮮人に対する差別的な言動。
韓国では
“20万人の少女が日本軍に強制連行されたという認識は実態と異なる”
と主張した大学教授が大きな反発を受け
裁判所が本の出版を差し止める決定を下した。
(ハーバード大学 アンドルー・ゴードン教授)
「攻撃されることなく自由な発言ができるかという点で
 今の雰囲気は過去に比べて制限されていると感じます。
 こうした現実を指摘することによって
 歴史家同士が自由な気持ちで議論できる土俵を作りたいと思いました。」
長年ゴードン教授と親交がある研究者 五百旗頭真さん。
防衛大学校の前の校長で今回の声明を評価している。
(五百旗頭真さん)
「戦争の過去についての自己批判・反省をして
 今の普遍的価値を持って処すべきという議論ですね。」
(ハーバード大学 ゴードン教授)
「そう聞くときわめてうれしいですね。
 私たちも声明を人に読んでほしいし
 反発よりは考えていただきたかった。」
今回の声明に賛同できないという研究者もいる。
その1人 現代史家の秦郁彦さん。
慰安婦について
“日本の官憲による組織的な強制連行はなかった”という立場である。
秦さんは声明が
“慰安婦の数について永久に正確な数字が確定されることはない”
などと表現していることに違和感がある。
(現代史家 秦郁彦さん)
「誰も慰安婦の数を計算しようとする人もいない。
 ここまで言えるとかそういうことをやってみようというのではなくて
 数が永久に分らないと放り出してしまうのはどうかと思う。
 歴史家はあくまでも事実を忠実に再現していく。」
さらに秦さんは声明には政治的な思惑もあるのではないかと推測している。
(現代史家 秦郁彦さん)
「憶測すれば阿部首相が8月に談話を出すと言われている。
 それを意識しての呼びかけなのでは。
 歴史家としての任務を放置してそういう政治的策動に巻き込まれるのは避けるべきだと思う。」
ゴードン教授は今回の声明が歴史と向き合うきっかけになってくれればいいと考えている。
(ハーバード大学 ゴードン教授)
「私の希望は
 多くの日本人の学者や歴史研究家・市民に話し合ってもらうことです。
 我々の役割は一部にすぎません。
 日本政府などの当事国同士が何らかの声明を出すことで
 未来志向でありながら
 過去を率直に見つめ
 東アジアの可能性が実るような道を見出すことを願っています。」

ゴードン教授は
“自分たちアメリカ人も歴史を完全に振り返っていない。
 過去の歴史問題に向き合うことはどの国にとっても難しいことだ。”
と話している。

 

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寝台特急あけぼのに新たな使命

2015-06-09 07:30:00 | 報道/ニュース

6月4日 おはよう日本

去年3月に引退した寝台特急「あけぼの」。
「あけぼの」は東京・上野と青森を結ぶ寝台列車として長年愛された。
秋田県小坂町では鉄道のテーマパークに引退した「あけぼの」の車両を導入した。

小坂鉄道レールパーク。
レールパークは6年前に廃止された小坂鉄道の駅舎や線路をそのまま生かしている。
街がそこにディーゼル機関車の運転など鉄道好きにはたまらない体験コーナーを盛り込み
全国から人を呼び込む新たな観光スポットに生まれ変わらせた。
しかし今度はそれが新たな悩みを生んでいた。
「東京から来ました。
 きのうは大館市の大滝温泉に泊まりました。」
「青森に泊まって帰ります。」
レールパークがある町の中心部には宿泊施設は1つだけ。
せっかく来た観光客が町にとどまってくれないのである。
そこで町が目をつけたのが引退した「あけぼの」だった。
昼間は展示の1つとしてディーゼル機関車でけん引してお客様に乗ってもらう。
そして夜は宿泊施設に。
ホテルほど広くはないが鉄道好きなら喜んで泊まってくれると考えたのである。
(小坂町観光産業課 近藤肇課長)
「これからの子どもたちは乗ることもない。
 ここであけぼのを活用していくことは未来の子どもたちにつなげる夢でもある。
 小坂町で簡単に宿泊できる施設ができるのは観光の面で非常に大きなメリットがある。」
町は「あけぼの」の寝台車3両と電源車1両を約260万円でJRから購入。
約140キロ離れた秋田市からの移送は片道9時間の長丁場となった。
レールパークに到着した車両。
まずは台車の部分が線路に戻る。
続いてボディがその上に。
綿密に練られた計画に沿って作業はゆっくりと慎重に進んだ。
小坂町にやってきた「あけぼの」は
かつての姿を取り戻し再びお客さんを迎える。
B寝台は1つのボックスに2段ベッドが2つ。
たとえ見知らぬ人同士でも同じ時をゆったりと過ごせる。
B個室寝台の2階は夜空を仰ぎながら寝られるのが魅力である。
そして最高級のA個室寝台。
秋田と東京の間の長い旅路を贅沢なものにしてくれた。
レールパークには早くもその雄姿を観ようという人が訪れていた。
(訪れた人)
「懐かしいという感じで感無量。
 ぜひとも泊まりたいですね。」
「乗ってみたいです。」
町では車体の修繕や車内の整備などを経て今年10月の利用開始を目指している。
(小坂町観光産業課 近藤肇課長)
「ここにこういう大きな魅力がプラスになるということは
 町にとっては本当に賑わいの創出の大きな核となると思っているので期待しています。」
ブルートレインに揺られる楽しさと
泊まる場所としての便利さを提供しようと
小坂町が満を持して導入した箱もの。
再び多くの人の夢を乗せて動こうとしている。




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世界遺産候補の軍艦島 人気の廃墟どう保存?

2015-06-08 07:30:00 | 報道/ニュース

6月4日 おはよう日本


世界遺産に登録するのがふさわしいと勧告された明治日本の産業革命遺産。
ユネスコの諮問機関イコモスは長崎県の軍艦島について早急な保存の必要があると指摘している。

かつて炭鉱の島として栄えた軍艦島。
世界遺産候補として注目される中
まずまず人気を呼んでいるのがそびえたつ廃墟の景観である。
「廃墟の感じがすごいと思いました。」
「これだけ建物が残っていること自体がびっくり。」
軍艦島は海底の炭鉱として開発され明治から昭和にかけて栄えた。
遺産としての価値は
質の良い石炭を供給し日本の近代化を支えた歴史に由来する。
このため世界遺産に登録されるとしても
石炭の生産施設と島を囲む護岸の部分に限られ
人気を集める居住区域の廃墟は含まれない。
島の独特のシルエットを形作る居住区域をどう残すか。
その方法が課題となる。
軍艦島を調査している長崎大学大学院の松田浩教授。
インフラの整備や建物の構造が専門で軍艦島の建物の状態を5年前から記録している。
そのデータを基に去年4月 立体画像を制作した。
建物の劣化の状況を様々な角度から見ることが出来る。
昭和33年建設の小中学校は
この時点で鉄筋の柱が屋根を支えられなくなってきていた。
(長崎大学大学院 松田浩教授)
「棒が無くなってしまったらもう落ちてしまうんじゃないかと。
 すごく危ないですね。」
松田教授が危惧していたとうり
去年の夏 柱は折れ屋根は崩れ落ちた。
さらに全体が崩壊の危機に直面している建物がある。
約100年前に建てられた30号棟。
日本最古の鉄筋コンクリート造のアパートである。
その外壁を平成22年2月と10月に撮影し
それぞれ白と緑に加工し重ね合わせた画像を見ると
8か月間で外壁が崩れてなくなってしまった部分があることがわかる。
(松田教授)
「8か月で剥落してしまっていることがわかる。
 劣化の進行をつぶさに把握できる。」
長年 潮風や雨にさらされもろくなったコンクリートの建造物。
劣化は今も早いペースで進行していると言う。
イコモスの勧告から1週間がたった5月11日。
東京で専門家による協議会が開かれ
保存計画の詰めの議論が行われた。
居住施設をどこまで保存するのかが注目されるなか
この日 計画がまとまった。
アパートや学校などの居住施設については
保存の可能性を探りつつ劣化の進行を抑制することになった。
一方 建設から100年が経過している30号棟。
様々な角度から保存の可能性が検討されたが
技術的に保存は困難だとして特別な措置は見送ることになった。
(国士舘大学 岡田保良教授)
「いかに今の状態を長持ちさせるか
 あきらめて目の前で崩れていくのを観察するか
 まさに廃墟のままでも価値がある。
 さらにこれから朽ち果てていくプロセスにも価値がある。
今までなかった価値観が端島で初めて出てきたと言える。」
廃墟の保存というほとんど前例のないことに取り組むことになった長崎市。
具体的な保存方法の検討とともに
保存にかかる費用をどのようにねん出するのか
これからが正念場となる。
(長崎市世界遺産推進室 田中洋一室長)
「巨額の費用・技術・安全を考えると今まで通りの保存は難しい。
 世界遺産としてきちんと将来にわたって保全されていくことが大前提。
 そのために何をすべきか
 今できること・しないといけないことはやっていく。」
刻々と姿を変える軍艦島。
世界遺産として
そして多くの人を魅了する廃墟の島として
どのような姿を未来に残していけるのか
問われている。

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神戸の復興をスイーツで表現

2015-06-07 16:58:17 | 報道/ニュース

5月30日 おはよう日本


スイーツの街として知られる神戸市で
20年前の阪神淡路大震災から復興した人や街の姿を
スイーツで表現するコンテストが開かれた。

神戸の夜景をイメージしたブルーベリーのケーキ。
街に流れるジャズの音色を形にしたクッキー。
レンガをイメージしたチョコレートなど
美しい街並みも味わえるスイーツである。
観光シーズンを迎えた初夏の神戸。
色鮮やかなスイーツが街にあふれる季節である。
「ちょっとセレブな感じ。」
「街並みがより楽しくなるような感じがします。」
毎年開かれている洋菓子のコンテスト。
県内の職人たちがつくった約80点の作品が集まった。
阪神淡路愛震災から20年の今年は“震災からの復興”がテーマである。
それぞれが思い描く復興した街の姿を表現した。
地震が起きた5時46分で止まったままの時計。
アメ細工の大輪の花火。
震災後今年から再開した神戸港の花火大会の風景である。
ポートタワーの上で結婚式を挙げる幸せなカップル。
再び取り戻した日常が描かれている。
その中に多くの客が足を留めるケーキがあった。
「えーっ?」
「これすごいな。」
「これはすごいな。」
客が見ていたのはケーキの真ん中についた小さなアルバムである。
何気ない人々の生活を切り取った写真がチョコレートで細かく描かれていた。
ケーキを作ったパティシエの石床真弓さん(25)。
6年前から神戸市内の洋菓子店で働いている。
香川県の出身で震災当時の記憶はほとんどないが
今回のコンテストがきっかけで改めて震災のことを知りたいと考えた。
(石床真弓さん)
「やっぱり当時のことを思い返すと
 どれだけ大変なことをしてきた人たちがいるんだろうと
 改めて考えるきっかけになった。」
当たり前だと思ってきた神戸の風景は
震災前からこの街で暮らす人たちの力があったからこそだと考えた石床さん。
その人たちの存在を記憶にとどめたいとアルバムに描いた。
そして街の未来を
咲き誇るヒマワリと親子が空に向かって紙飛行機を飛ばす姿で現した。
(石床真弓さん)
「やっぱり神戸の街は大好きで
 今からももっともっといい街に自分たちの力でなっていくはずなので
 自分でできることで
 おいしいお菓子を作って神戸を盛り上げたい。」
スイーツと重なる神戸の風景。
甘くやわらかな味わいで
これからも人々を魅了する。

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地域の安定を脅かす独善的な「長城」

2015-06-06 19:07:10 | 編集手帳

6月1日 編集手帳

 

中国は昔から、
途方もないものを造ってきた。
その代表である「万里の長城」はかつて、
「宇宙から肉眼で見える」と言われた。
科学的には否定されたようだが、
さもありなんと思わせる壮大な歴史遺産だ。

中国は今また、
恐るべき規模の土木工事を進めている。
場所は南シナ海。
ベトナムやフィリピンも領有権を主張する岩礁を次々に埋め立てている。
みるみる広がる「陸地」は、
「砂の長城」と呼ばれるようになった。

各国の人工衛星や航空機が、
上空から、
建設中の港や滑走路の姿をとらえた。
中国政府は工事について、
「救難活動や環境保護、
 航行の安全などでの国際的責務を果たすため」と説明する。
だが、
周囲を圧する力を背景に、
恒久的な軍民の活動拠点を設けて、
海の支配強化を図る動きにしか見えない。

地域の安定を脅かす独善的な「長城」には、
巨額の資金が投じられるだろう。
格差の是正や教育の充実など、
有用な使途は他にいくらでもあろうに。

万里の長城を築いた歴代王朝は、
内憂外患の窮地に陥った末、
消えていった。
地上には、
長城が残った。
そんな歴史の記憶さえ、
ふと頭をよぎる。

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世界が注目 航空アイデア

2015-06-05 07:30:00 | 報道/ニュース

5月30日 おはよう日本


世界中で利用が拡大する航空機。
空の旅をより安全に快適にするための斬新なアイデアを競うコンテストがドイツのハンブルグで開かれた。
2年に1度開催されるフライ・ユア・アイデアである。
滑走路から充電するシステムや
機内のごみ処理を劇的に早めるアイデア。
500超のチームが競い合った。
今回は日本勢として初めて東京大学のチームが決勝まで勝ち進んだ。

コンテストは
ヨーロッパの航空会社が若い人たちに航空業界に関心を持ってもらおうと6年前から始めた。
世界各地から500超のチームが参加したが
決勝に残ったのはわずか5チーム。
通過率1%未満という狭き門である。
日本チームが今回目指したのは
鳥の群れが航空機に衝突するバードストライクの防止である。
6年前にニューヨークのハドソン川に旅客機が不時着したのもバードストライクが原因とみられているが
それを防ぐ具体的な方法はまだ確立されていない。
そこで東大チームはあるものに注目した。
チームが注目したのは小型の無人機ドローン。
ドローンにある役割をさせることでバードストライクを防ぐことが出来ると考えた。
それは羊を追いかける牧羊犬。
空港近くを飛ぶ鳥の群れをドローンを使って囲い込む。
そのまま空港から離れた営巣地まで追い立てようというのである。
メンバーは航空工学などを学ぶ学生たち5人。
リーダーの宮谷聡さん。
羽田空港だけでも年間200件を超えるバードストライクを解決しようと
去年チームを起ち上げた。
(宮谷聡さん)
「ドローンで誘導することで
 人間にも鳥にも住みよい空を作ろうというのが目的。」
ところがいきなり課題にぶつかった。
コンピューターでシミレーションを重ねたところ
何度やっても鳥はドローンの列の上下から逃げて行ってしまうのである。
どうすればうまく誘導できるのか。
数か月かけて1つの方法にたどり着いた。
センサーを着けた30機のドローンが連携して飛び
群れ全体を囲い込むようにすれば
100羽の鳥を逃がさず誘導できるとシミレーションした。
(宮谷聡さん)
「ドローンで鳥を誘導するということは世界のどの研究者もやっていないと思う。
 予想通りにはいかないことばかり。
 試行錯誤を重ねてここまでたどり着いた。」
ドイツでの本番前日。
チームは最終チェックを行っていた。
発表はすべて英語。
繰り返し練習を行う。
さらにバードストライクの問題を少しでも身近に感じてもらおうと細かい演出も考えた。
(宮谷聡さん)
「明日のプレゼンテーションのためにやるべきことは全部やったと思う。
 ここまで来たからには絶対優勝したい。」
5月27日 コンテスト本番。
各チームの発表時間は20分間。
注目されると大手航空機メーカーから直接声がかかり
アイデアが具体化するチャンスも広がる。
(オランダの大学チーム)
機体の振動を防ぐことはできません。
でもそれを活用することはできます。
ライバルのオランダチームは飛行機の翼が揺れる現象に注目。
この振動を生かして飛行中に発電するシステムを発表した。
中国のチームはセンサー技術を応用することで
空港で飛行機をより安全に誘導できる仕組みを発表した。
日本チームの出番になった。
整備士は私に尋ねました。
“バードストライクについて知っているかい”
宮谷さんはバードストライクについて教えてくれた整備士を演じながら発表する。
ドローンの配置を改良し
ラグビーボールのような形で連携して飛ばす方法を提案した。
私たちには解決策があります。
これでバードうトライクは起きません。
「コンテストの優勝チームは・・・オランダです。」
優勝は逃したが日本勢として初めての入賞である。
(宮谷聡さん)
「どのチームが1位になってもおかしくないと思っていた。
 結果に納得している。
 良いチームメートを持てて良かった。」
主催側は日本チームのアイデアを高く評価している。
(主催したメーカー幹部)
「バードストライクは航空会社にとって大きな負担です。
 日本チームの解決策は斬新で素晴らしいものでした。」
未来の航空業界を担う学生たちの夢の舞台。
ここから未来の飛行機の技術が生まれていく。

 

 

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郵便局はいま ②新サービスで収益を上げろ

2015-06-04 07:30:00 | 経済フロントライン

5月30日 経済フロントライン


ユニバーサルサービスを維持するためにも日本郵便は新しいサービスを打ち出し収益を伸ばそうとしている。
埼玉県川口市にあるペットショップ。
金魚や爬虫類とそのエサなどを販売している。
この店が今年導入したのが日本郵便が新たに始めたサービスである。
これまでこの店では客からネットで注文を受けると商品の梱包や発送などを自分たちでしていた。
こうした作業を一手に引き受けるサービスを日本郵便が始めたのである。
ペットショップの商品約3,000点が保管されているのは郵便局。
以前郵便物を仕分けしていた場所を倉庫に変えた。
注文を受けるとスタッフが商品を取り出し
梱包してゆうパックで客に届ける。
(アクアペット 國井初己社長)
「梱包してもらって在庫を置いてもらって
 それを間違えないようにお客様にお届けしてくれるのが一番。」
在庫の管理までしてしまうこのサービスで収益を拡大したい。
日本郵便は今月行われたITビジネスの展示会で売り込みを図った。
(日本郵便 ソリューション企画部 五味儀裕課長)
「非常に大きな可能性のある市場。
 通販に関連した市場の売り上げも伸ばしていくことで収益源の多角化も図っていきたい。」
さらに高齢者向けの新たなサービスも一部で始めている。
愛媛県に住む松浦さん夫婦。
年をとり車で買い物に行けなくなったため日本郵便の買い物支援サービスを利用している。
提携するスーパーのカタログに載った1,200点の中から商品を選ぶ。
まず商品と数を注文書に記入しそれを自宅の郵便受けに入れる。
すると郵便局の配達員がスーパーに注文書を届け
集められた商品が自宅に届く仕組みである。
費用は190円(4,000円以上の購入)。
他の荷物と一緒に配送するため料金を安く抑えることが出来るという。
日本郵便では将来このサービスを全国に広げていきたいとしている。
(松浦陽子さん)
「こういうシステムができたことは本当にありがたい。」

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郵便局はいま ①苦戦する郵便局

2015-06-03 07:30:00 | 経済フロントライン

5月30日 経済フロントライン

長野県平谷村。
人口500人の過疎の町である。
村にある唯一の郵便局 平谷郵便局。
誰でも等しくサービスを受けられるユニバーサルサービスに取り組んでいる。
まず郵便配達。
山道を走り20キロ離れた家まで届ける。
一人暮らしのお年寄りにとっては心の支えになっている。
「郵便屋さんが来るくらいで人は来ない。
 人が来てくれると本当心が和みます。」
郵便局は村で唯一の金融機関でもある。
高齢化が進むなか郵便局に来られない人が増えているため代わりに郵便局員が出向いている。
住民の暮らしを支えようとしているが負担は年々増している。
ユニバーサルサービスを維持していく中で郵便局の経営はますます厳しさを増している。
(平谷郵便局 石川聡局長)
「赤字でもやっぱり郵便局は住民の皆さんになくてはならない存在。
 赤字でもユニバーサルサービスということで村の方に便利に役立ってもらえればと思います。」
ユニバーサルサービスを維持するためにどう収益を上げていけばいいのか。
電子メールの普及によってはがきなど郵便物の取扱量は減り続けている。
そこで力を入れているのが荷物の宅配サービスゆうパックである。
しかし宅配サービスは大手2社が8割のシェアを抑えているため苦戦が続いている。
「ヤマトとか佐川が 
 どっちかですね。」
「郵便局を使うことがなくなっちゃった。」
なんとかシェア拡大を目指そうとしているが今ドライバー不足に直面している。
時給を上げて募集しているが人材の奪い合いが激しくなかなか確保できずにいる。
結局日本郵便は今年8月ゆうパックの料金を23年ぶりに値上げすることにした。
(日本郵便 鶴田信夫執行役員)
「値上げを今回やむを得ない判断でさせていただいた。
 効率化だけで利益を出していければいいんですけど
 なかなかそこだけでは限界がある。」


 

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土俵の砂つけ 男をみがき 錦を飾りて 母待つくにへ

2015-06-02 07:30:00 | 編集手帳

5月22日 編集手帳

 

ウイルス。
あくび。
恐怖心。
伝染するものは幾つかある。
良からぬものばかりとは限らない。

英国の作家チャールズ・ディケンズは『クリスマス・キャロル』 に書いている。
〈笑いと上機嫌もまた世の中でこの上なしの伝染力を振るうものである〉(村岡花子訳)。
お説の通りだろう。
大相撲夏場所10日目、
横綱日馬富士戦で初の金星を手にした平幕臥牙丸(ががまる)関(28)の歓喜爆発ぶりを思い出しては、
この何日か、
誰かの喜びが伝染する喜びを味わっている。

「ボク勝ったの?
 信じられない。
 金星は一生残るし、
 めっちゃうれしい。
 神様、
 ありがとう」。
インタビューで神様にお礼を述べた人をあまり知らない。

「これだけ喜ばれたら(負けた)日馬富士も本望だろうね」。
北の富士勝昭さんの名解説に尽きていよう。
故郷ジョージア(グルジア)で病気療養を続ける一人暮らしの母に毎日の電話連絡を欠かさないと聞く。
相撲の魅力は勝敗に感情をあらわにしない“抑制の 美学”だが、
きょうはそう堅いことを言うまい。

<土俵の砂つけ/男をみがき/錦を飾りて/母待つくにへ…>。
相撲甚句のひと節が胸をよぎる。

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敗者のリアリズム

2015-06-01 07:30:00 | 編集手帳

5月19日 編集手帳

 

喜劇王チャップリンは日本訪問の折、
歌舞伎を見物した。
剣士は距離をおいて斬る真似(まね)をする。
現実味の乏しい所作が印象に残ったらしい。
〈ところが、
 ひとたび死の場面になると、
 俳優たちは急にリアリズムに切り替わるのだ〉
(新潮文庫『チャッ プリン自伝』)

その人の記者会見を聞きながら、
喜劇王の感想を思い浮かべた。
これまでのケレン味あふれる挑発調は鳴りをひそめ、
反省と感謝を口にする姿に敗者のリアリズムを感じた方は多かろう。

大阪市長の橋下徹氏である。
唱えてきた「大阪都構想」が住民投票で否決され、
政界からの引退を表明した。

神話や物語のトリックスター(スサノオ、孫悟空など)を思わせる人気と暴れん坊ぶりに好き嫌いはあれ、
その発信力は誰もが認めるところであったろう。

チャップリンには、
自身の最高傑作を問われて「ネクスト・ワン」(次の作品だ)と答えたという出典不明の名言が伝わっている。
せっかく苦い敗北でリアリズムを習得した橋下氏に、
政治家としてのネクスト・ワンはないらしい。
潔さを感じる前に、
肩すかしをくらったような物足りなさも残る。

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