ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

リヴォルヴァー (Revolver)

2007年05月03日 | 名盤
 
♪自分的名盤名曲139


リヴォルヴァー (Revolver)
■1966年
■ビートルズ (Beatles)
 ☆ポール・マッカートニー(vo,b,g,keyb)
 ☆ジョン・レノン(vo,g)
 ☆ジョージ・ハリスン(vo,g,sitar)
 ☆リンゴ・スター(vo,drs)
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 ★ジョージ・マーティン(keyb)
 ★アラン・シヴィル(french horn)
 ★イアン・ハマー、エディー・ソーントン、レス・コンドン(tp)
 ★ピーター・コー、アラン・ブランスコム(ts)


 いっさいのライヴ活動を断ったビートルズが約10週間の日時を費やして完成させたのが、彼らの7枚目のアルバム「リヴォルヴァー」です。
 『レコード・コレクター』誌の企画、「60年代のロック・アルバムベスト100」では8位にランクされています(ちなみにビートルズの最高位はサージェント・ペパーズの7位)。
 「リヴォルヴァー」というタイトルは、ビートルズが来日した時に、警備を務めていた警官の腰に吊るされたピストルを見たポールの思いつきなんだそうですね。


 初めて充分な制作期間をかけて作られたのが、前作「ラバー・ソウル」でしたが、「リヴォルヴァー」の制作には「ラバー・ソウル」の倍以上の時間がかけられています。
 当然、思いつく限りのいろいろな音楽的な実験を試みていて、テープ操作やサウンド・エフェクトの多用といったサウンドの電気的処理、弦楽八重奏やブラスの導入、インド音楽への傾倒などなど、種々の音響効果を取り入れ、従来のロック・ミュージックに対する概念を変えるほどの革命的サウンドを作り出すことに成功しました。


     


 このアルバムは、ライヴ・バンドからレコーディグ・バンドへ、あるいはアイドル・バンドからアーティストへと、ビートルズの音楽が変貌してゆく過渡期の作品だと言われています。
 アルバム制作に対する自覚が芽ばえた彼らは、よりいっそうスタジオ・ワークに時間をかけ、多様なアイデアをほとんど実験してみた結果、ビートルズはロックの持つ可能性をさらに広げた、と言っていいと思います。


 全14曲すべてが3分以内で作られていますが、物足りないどころか、短くとも内容の濃い凝縮ぶりがこのアルバムを飽きさせないものにしています。
 全曲がオリジナルで、曲順の配列にも注意を払うことでアルバムに統一感を持たせています。そしてそれによって、単なる曲の寄せ集めに終わらせず、ひとつのカラーを持ったアルバムに仕上がっています。


     


 ポールの作曲能力にいっそう磨きがかかったアルバムでもあります。弦楽八重奏を導入した「エリナー・リグビー」、美しいバラードの「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」「フォー・ノー・ワン」、マーチ風の「イエロー・サブマリン」、オールド・ファッションな「グッド・デイ・サンシャイン」、ブラス・ロックの「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」など、相変わらずとてもバラエティに富んだ作風です。
 ジョンの作品にはサイケの香りが漂っています。「トゥモロウ・ネヴァー・ノウズ」などは一聴して驚きましたね。曲を聴くだけでトリップできそうです。「シー・セッド、シー・セッド」などもドラッグ・ソングとして知られています。


 ヒット曲を連発するバンドはえてして売れ線の曲を作ったりしますが、ビートルズは旺盛な実験精神を発揮し、やりたいようにやりながらも高い評価を得続けたのは、やはり驚異的なことだと思います。
 ビ-トルズが、アーティストとしての才能と凄みを決定的なものにしたのが、この「リヴォルヴァー」だと言えるかもしれません。



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コメント (2)
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