ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ピーター・セテラ (Peter Cetera)

2007年05月11日 | ミュージシャン
 
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ピーター・セテラ (Peter Cetera)


 ぼくがシカゴの大ファンであることはどこかで書いたけれど、それがピーター・セテラとの出会いでもあるわけです。
 初期のゴリゴリのブラス・ロック時代のピーターは、よく動き回る、ドライヴしたベースを聴かせてくれました。「イントロダクション」や「クエスチョンズ67&68」、「アイム・ア・マン」などでその個性的なベースが聴かれます。ベースを弾いていたぼくは、ピーターのベースがとても好きになり、ベース・ラインをコピーしたりしていたものです。


     
     シカゴのメンバーたち。


 ピーターのもうひとつの顔は「ヴォーカリスト」です。当時のシカゴには、リード・ヴォーカリストが3人いて、それぞれが異なった持ち味を発揮して歌っていました。ピーターはバラード系の曲を歌わせると絶品で、彼の書く曲もそういうタイプが多かったように思います。


 ぼくがピーターをヴォーカリストとして好きになったのは、シングル「愛ある別れ」によってです。この曲は『シカゴⅩ』に収められていて、1976年にはシカゴがデビューして以来初めての全米チャート1位を記録しました。もちろんピーターが書き、歌った曲です。
 アルバムの制作過程において、あと1曲足りないという状況になり、そこで半ば即興的にこの曲の根幹の部分が録音された、という裏話があります。


     


 シカゴ本来のハードなブラス・サウンドはこの曲では影を潜めていて、アコースティック・ギターとストリングスを中心とした、清涼感のあるバラードになっています。なめらかな優しいメロディーもさることながら、ピーターの甘いハイ・トーン・ヴォイスがとても涼やかに迫ってきます。間奏で聴かれるアコースティック・ギター・ソロもちょっぴり切なくて美しい。


 全編に渡ってストリングスが流れています。要所要所でホーン・セクションが出てきますが、かつてのようにパワフルなブラス・サウンドではなく、柔らかなトーンで曲にソフトな味をつけています。
 ちなみに、クリスタル・キング(「大都会」でお馴染みですね)の「セシル」という曲のイントロが、この「愛ある別れ」のイントロによく似ています。


     
     『シカゴⅩ』


 かつては政治的なメッセージを曲に託していたシカゴですが、「愛ある別れ」にはメッセージ色はありません。愛する人が去ってゆくのを引きとめようとする男の気持ちが歌われている失恋ソングです。
 この曲のヒットによってピーターのブラス離れは進みます。そして、のちのギタリストのテリー・キャスの不慮の死や、プロデューサーの解雇などの理由と相まって、この後のシカゴの方向性は、いわゆるAOR路線に定まってゆくのです。


     
     『ピーター・セテラ・ベスト・コレクション』


 1985年、ピーターはシカゴを脱退します。その年、『ベスト・キッド2』の主題歌「グローリー・オブ・ラヴ」で全米№1となります。翌年には、エイミー・グラントとのデュエットでリリースした「ザ・ネクスト・タイム・アイ・フォール」がまたも全米1位となるヒットを記録しました。
 1987年には「ステイ・ウィズ・ミー」が、日本映画『竹取物語』の主題歌となっています。
 その後も元アバのアグネッタや、シェール、チャカ・カーンなどとのデュエット曲を発表、今や屈指のAORシンガーという評価が定着しています。



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コメント (4)
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