ぼくがよく遊びにお邪魔するブログ、bugaluさんの「These Are Soulful Days」に、数日前、山口百恵さんの「ロックンロール・ウィドウ」についての記事が書かれていました。それに影響されて、今、山口百恵さんのベスト・アルバムを聴いてます(^^)。
「ロックンロール・ウィドウ」は、数ある山口百恵さんの曲の中で、ぼくが最も好きなもののひとつです。
ハードなギター・リフをバックに歌う百恵さん、思いっ切りロックしてます。「秋桜」や「いい日旅立ち」と同じ人が歌っているとは思えません。こういう歌も歌えるんですね。というより、ロックを歌うのもとても似合っています。表現者としての幅広さにも「ヤラレタ」って感じです。
百恵さんの30枚目のシングルとしてリリースされた「ロックンロール・ウィドウ」は、阿木燿子+宇崎竜童夫妻の作品です。このふたりのコンビが作る曲は、比較的ロック色が濃いんですが、この曲はまさにそれが極まった感があります。
編成はギター、ピアノ、ベース、ドラムスにマウス・ハープのシンプルなもの。ヘタにストリングスを加えてないところが、歌謡曲っぽさが薄まっているひとつの理由だと思います。いや、薄まっているというより、正当派のハード・ロック・サウンドではありませんか。良い意味でのバタ臭さが漂っています。
いきなりギターが火を噴く攻撃的なイントロは、ローリング・ストーンズの「サティスファクション」を彷彿とさせます。
とにかくこの曲でほとばしるギターのエネルギーは、まさに活火山級。
イントロしかり、百恵嬢の歌と絡むサビしかり、間奏のソロしかり。
縦横無尽に弾きまくっているのは、名手矢島賢さん。
ぼくはアリスの往年の名曲「遠くで汽笛を聞きながら」のギター・ソロが大好きなのですが、そのソロを弾いているのがこの矢島さん。
1970年代以降の日本ポピュラー音楽シーンに君臨した素晴らしいギタリストです。
ちなみにドラムスは渡嘉敷祐一さん、ベースは長岡道夫さん。
一騎当千の強者ぞろいなのです。
そしてこの曲を歌う百恵さんのヴォーカルのふてぶてしいこと。
どっしりとした威圧感やドスの効いた歌声は、「見事」の一言に尽きるでしょう。
単なる歌謡曲じゃありません、この曲。それに、そんじょそこらのアイドル・タレントが歌いこなせるようなハードルの低い曲でもないのに、まだ21歳の百恵さんの貫禄充分なパフォーマンスには、聴いてるこちらは興奮させられっぱなし。
カッコつけで外見だけの「お調子者ロッカー」を痛烈に皮肉った阿木燿子さんの歌詞がとてもリアルに感じられて、痛快です。とくに『もしも誰かに聞かれたら/夫はとうに亡くなりましたいい人でした/かっこ~かっこつけて泣きたいわ』、このエスプリの効いた一節にはニヤリとさせられます。
阿木燿子+宇崎竜童コンビの歌には好きなものが多いんですが、「ロックンロール・ウィドウ」はその中でも筆頭格です。
最近出たトリビュート・アルバムでは藤井フミヤさんがカヴァーしているみたいですね。
[歌 詞]
■ロックンロール・ウィドウ (Rock'n'Roll Widow)
■リリース
1980年5月21日
■作 詞
阿木燿子
■作 曲
宇崎竜童
■編 曲
萩田光雄
■歌
山口百恵
■録音メンバー
矢島賢(guitar)
長岡道夫(bass)
渡嘉敷祐一(drums) ほか
■収録アルバム
メビウス・ゲーム
■チャート最高位
1980年度週間チャート オリコン3位
1980年度年間チャート オリコン40位
山口百恵『ロックンロール・ウィドウ』