荒々しく、豪快なパフォーマンスで聴衆を圧倒し続けるバンド、ザ・フー。
その魅力をたっぷり詰め込んだアルバムが、「ライヴ・アット・リーズ」です。
このアルバムに収められているのは、1970年2月にリーズ大学で行われたライヴの模様です。全6曲、凄まじいエネルギーをほとばしらせながら畳み掛けるように演奏しています。
なお、2001年に発表されたデラックス・エディションには33曲が収録されています。
とにかく、フーのライヴ・パフォーマンスは破壊力満点というか、爆発的な躍動感にあふれているというか、奔放なパワーがみなぎっています。フーはこのアルバムで『世界最高のライヴ・バンド』という称号を不動のものにしました。
フーの荒々しいサウンドはロック魂丸出しって感じですね。
手数が多く、並外れてパワフルなキース・ムーンのドラムス。
変幻自在に動き回るジョン・エントウィッスルの爆音ベース。
この強力なリズム・セクションふたりに後押しされるように、ピート・タウンゼントが激しくギターをかき鳴らし、カリスマ性あふれるロジャー・ダルトリーが存分に咆哮しています。
とにかく四人とも異常にテンションが高いんです。
ギターを折り、アンプを叩き壊し、ドラム・セットをひっくり返す暴力的なステージでも有名なフーですが、だからといって演奏そのものが粗っぽいわけでも、パワーとギミックだけに頼っているわけでもありません。
演奏技術は確かだし、四人それぞれが奔放に暴れていながら、バンド・サウンドはとてもまとまっています。とくにベースとドラムスの生み出すビートはゆるぎなく、生き生きとうねっています。
彼らのとどまるところを知らないエネルギーは、「サマータイム・ブルース」や「シェイキン・オール・オーヴァー」といったオールディーズにも新たな生命を吹き込み、とびきりパワフルなハード・ロックに仕立てあげています。
もちろん「恋のピンチ・ヒッター」や「マイ・ジェネレーション」などのお馴染みのナンバーでのはじけっぷりもお見事ですね。
フーは1969年のウッドストックや、1970年のワイト島フェスティヴァルでも圧倒的なパフォーマンスを見せつけ、英米では絶対的な評価を得ました。それにもかかわらず、ビートルズやローリング・ストーンズなどに比べて、日本では人気が今ひとつなのはとっても不思議です。
フーは2004年になってようやく初来日していますが、その時にはキースもジョンも鬼籍に入っていました。
もし、この1970年頃に来日していたら、彼らの日本での評価はもっと違ったものになっていただろうと思います。
とにかく、このアルバムには、ロックのカッコよさと楽しさがいっぱい詰まっているのです。
◆ライヴ・アット・リーズ(熱狂のステージ)/Live At Leeds
■歌・演奏
フー/The Who
■リリース
1970年5月16日
■プロデュース
ジョン・アストリー、キット・ランバート、ザ・フー/Jon Astley, Kit Lambert, The Who
■収録曲
[side 1]
① ヤング・マン・ブルース/Young Man Blues (Mose Allison)
② 恋のピンチ・ヒッター/Substitute (Pete Townshend)
③ サマータイム・ブルース/Summertime Blues (Jerry Capehart, Eddie Cochran) ☆アメリカ27位、イギリス38位
④ シェイキン・オール・オーヴァー/Shakin' All Over (Johnny Kidd)
[side 2]
⑤ マイ・ジェネレイション/My Generation (Pete Townshend)
⑥ マジック・バス/Magic Bus (Pete Townshend)
☆=シングル・カット
■録音メンバー
[The Who]
ロジャー・ダルトリー/Roger Daltrey (lead-vocals, harmonica)
ピート・タウンゼント/Pete Townshend (guitar, backing-vocals, lead-vocals)
ジョン・エントウィッスル/John Entwistle (bass, backing-vocals, lead-vocals)
キース・ムーン/Keith Moon (drums, backing-vocals)
■チャート最高位
1970年週間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)4位、イギリス3位
1970年年間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)42位