箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

受験生とはいえ特別扱いはよくない

2016年11月15日 16時43分33秒 | 教育・子育てあれこれ


3年生は受験生。たしかにたいへんな状況に置かれています。

その中でも、三中の3年生はよく学習に取り組んでおり、全体的には高学力傾向にあります。そのことは、全国学力学習状況調査や大阪府チャレンジテストの結果からも、伺えます。

多くの生徒にとっては、初めての受験です。勉強しなければ、自分の進路を開いていけません。

子どもにとっては大きな試練と言えます。

しかし、もしご家庭で、「あなたは、勉強さえしていればいいよ」と親御さんが言っておられるなら、私はちょっとちがうと思います。

勉強しなければならないから、勉強のほかは何もできない子になってしまうかもしれません。

もっと気がかりなのは、ほんとうは大切な勉強もできていないこともあります。

私は、以前にもブログや学校だよりに書きましたが、家族の一員として当然するべきことが、子どもにはあります。

これから子どもが出ていく社会には、さまざまな困難が待ち構えています。それは受験以上に厳しいものかもしれません。

「いまは、勉強だけしていればいい」と思い、他者に貢献することをなおざりにすれば、社会に出たとき、たちまち壁にぶつかり、意欲は失せ、勇気を喪失します。

人が社会で生きていくうえで直面する困難は、他者と協力し、他者と力を合わせることによって、はじめて乗り越えたり、解決できるたりするのです。



そうかもしれない。でも、いま3年生は勉強するとき。受験が終わったら、もとの生活にもどしたらいいじゃない。

このような考えもあるでしょう。受験生にとって、もちろん勉強はしなければならないものです。

しかし、私の考えは、家庭の中に受験生がいるからと、特別扱いされるのではなく、兄姉弟妹と仲良く過ごし、親子関係もうまくいき、受験生が家族の一員として、ふつうに家の仕事も手伝うことで、勉強もかえってはかどるのでないかということです。

自分が周りの人に役立つことができていると感じる子は力強いものです。

なぜなら、その子は自分のことが好きです。自信をもつので、受験をはじめとした自分が対峙する課題に前向きに取り組み、解決する自信を高めるからです。

ですから、受験生には自信を高めてほしいのですが、受験生にとって大人がかける言葉にはていねいな気配りがいります。

私の教職経験上、教師や親の不用意な言葉が、子どものヤル気を削ぎ、くじけさせることも少なくありません。

子どもにどのような声かけをすればいいか、教師ならば懸命に考えます。ときとして失敗して、ご迷惑をおかけすることもあるかもしれません。

だから、教師も一生懸命に考え、言葉を選びますので、ご家庭でもお子さんへの声かけについて学ばれることは、勉強の環境を整えるのと同じくらい、いや、それ以上に必要だと思います。

思春期の子にとって、教師や親のサポートはやはり必要です。でも、そのサポートが有効にはたらくためには、子どもがサポートを受け入れるだけのよい人間関係が求められるのです。