学校の先生は、しばしば「いのちの授業」などで、生きていることは奇跡であると、生徒たちに話します。
生まれてきたことそのものが「奇跡」だとも言います。
でも、人がこの世に命を受け、生きていくことを「人生」とするならば、人生は「奇跡」ではないのかもしれません。
人は齢(よわい)を重ねると、人生は「軌跡」であると言えるのではないかと思います。
その人が、どのような信条をもち、何を大切にして、何にこだわって生きてきたかという、生きてきた道すじです。
そして、もし歩くところが前人未踏の地ならば、歩いた後に道がつきます。後ろを振り返れば、道ができている。
この理(ことわり)は魯迅の言葉、「人の前に道はない。人の後に道はできる」に通じるのです。