箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

偉大な詩人

2024年12月19日 07時48分00秒 | 教育・子育てあれこれ

現代日本を代表する詩人、谷川俊太郎さんが11月13にお亡くなりになりました。


谷川俊太郎さんの詩は、わたしもよく中学生に紹介しました。


谷川さんの詩は抽象的な表現を避け、誰が読んでもわかる言葉しか使いません。


しかもセンテンスのシンタックス(統語規則)を壊さないのです。


シンタックスとは、文によってある考えを伝えるとき、一定の規則にしたがって語をつなぐことです。


たとえば、「母はきのう実家を出発し、わが家に帰ってきた。」は統語規則をまもっているので意味がわかります。


でも、「わが家は出発し帰ってきたきのう母は実家を」は意味が伝わりません。


また谷川さんの詩の最大の特徴は、書き手と詩の一体性です。


谷川さんは、自分は依頼を受けた時に詩を書く、仕事として詩を書いてきたと明言していた通り、いくつもの「私」が作品のなかで生きていました。



生きる
谷川俊太郎

生きているということ
いま生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみすること
あなたと手をつなぐこと

生きているということ
いま生きているということ
それはミニスカート
それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス
それはピカソ
それはアルプス
すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと

生きているということ
いま生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ   (以下略)


ご本人は亡くなっても、彼の詩は残り、深く味わうことができます。