私がちょうど2000年ごろ人権教育の教員研修で、府内の中学校が「朝の読書」を1限前に始めたという実践報告を聞きました。
その後、勤務校でも朝の読書を始めました。
時間になると、登校してきた生徒はおもむろに本を取り出し、10分間ほどは全員が黙々と読書をします。
教室には朝読用の本が数十冊は置いてありますが、多くの生徒は自分が用意してきた思い思いの本を読むのです。
全体が読書を始めると静かでしっとりとした雰囲気が教室を包み、学級担任は10分たつと、「はい、本を片付けてください」と言って、ホームルームを始め、今日一日の連絡を伝え、その後1時間目が始まります。
それから20年以上が経ちましたが、現在では1か月の平均読書冊数は学校での朝の読書が高校生で1.6冊、中学生で4.7冊、小学生では13.2冊という調査結果が出ています。
じつは、1980年代・1990年代には子どもの読書離れが進んでいました。1990年代後半には平均読書冊数は最も少なくなりました、また、1か月に1冊も読まないという子どもがもっとも多くなったのでした。
その後、朝の読書が全国の小中学校で行われるようになり、子どもの読書時間は回復したのでした。
これは、学校での朝読が広く行われるようになったことによるものであり、家庭での読書量はあまり大きな変化がないか、むしろ減っているのかもしれません。
今年の実施率は小学校、中学校でも8割を越え、高校では4割越えとなっています。
ただ、今では雑誌は読まない子が増えており、雑誌平均読書冊数はずっと減少が続いています。
いまは、雑誌が売れない時代なのです。
その背景には、おそらくスマホの普及があるのでしょう。いままで雑誌をパラパラめくりページを眺めていたのが、いまではスマホで写真や動画をみることにとってかわったものと思われます。
おそらく雑誌以外の読書は、読解力をあげることにつながるのでしょうが、専門的には本人の興味関心に応じて、内発的動機づけで本を読むという条件や自由読書、読み聞かせが読解力向上には効果的であるといわれています。