このブログでも何回か取り上げていますが、中学校の部活動の地域移行は、課題が山積みです。
たしかに教員(顧問)の「ボランティア勤務」により成り立っていた公立中学校の部活動ですが、公立中学校で保護者の費用負担が少なく、スポーツや文化活動に親しむきっかけを提供してきた側面はたいへん大きなものでした。
全国の津々浦々で、誰でも活動に取り組めるしくみは、ある意味で日本が誇ってもいいものでした。
もしこのまま2023年度から段階的な地域移行が始まれば、その学校の中学生の放課後時間の過ごしかたはどうなるのでしょうか。
家に帰って、SNSにのめり込んだり、スマホゲームに没頭する生徒が増えるかもしれません。
地域への財政措置が行き届く自治体とそうでない自治体で、指導者がいる、いないで、クラブ活動に打ち込める生徒とそうでない生徒の開きが生まれるでしょう。
また、義務教育学校がやる活動でなくなると、保護者の金銭的負担は重くのしかかってきます。活動できる生徒とできない生徒が生まれます。
家庭の経済格差が子どもの活動を左右することも懸念されます。
そういった課題を現場の教職員はわかりながらも、また一方では部活指導の重荷がなくなることに期待しながらも、さらには部活で生徒を熱心に指導したいという教員がいる中で、改革は進んでいこうとしているのです。
いずれにしても、部活の地域移行は子どもへの教育活動や救育環境を大きく揺るがす案件でありながらも、2023年度から3年間で地域に移行させ、その先には平日の活動も地域に完全移行させる方針を文科省、スポーツ庁は掲げています。
それについても、現場の教職員なら思っていることですが、部活を平日と休日に分けて捉えることも難しいのです。
子どもは学校の仲間関係を引きずって休日の活動に参加することになります。
子どもは、学校と地域の連続性の中で生きているのです。
たとえば地域で活動中の友だちとのトラブルや人間関係のもつれは、学校での活動に関係します。
その逆、つまり地域の活動での連帯意識は、学校生活にもいい影響をあたえます。
だから、そう簡単に学校の活動と地域の活動を切り分けることができるものではありません。
指導者が変わるのであり、学校と地域、教員と地域の指導者の連絡調整で、教員の仕事がかえって増えることにもなりかねません。
それほど大きな教育課題であるのに、現場の声は地域移行を進める人たちに、あまり伝わっているとは思えないのです。
https://note.com/nakamuraclinic/n/n48fd53ed1d2d