聞き上手の人には、人が集まってくるのでないか。
私は、そう思います。
ある営業マンが言うには、
「お客様にどれだけ話してもらえるかで、セールスがうまくいくか、いかないかが決まってくる。
どれだけ営業側が熱心に、巧みに話したとしても、お客様はお金を払ってくれるのではない。
お客様側が本当に関心があるのなら、みずから質問してきます。
質問してこないお客様は、その営業マンを望んでいない。
セールスで大切なのは、お客さんに質問してもらうようにすることである」
そのためには、おそらく相手の話を聞くことに徹するのが秘訣のようです。
聞き上手の人に対しては、相手は自由にものが言えるので話しやすい雰囲気ができるのかもしれません。
だから、人が集まってくる。
これは、生徒と先生のコミュニケーションにもあてはまるのでないかと、私は考えます。
一方的に、教師が自分の言い分を言い、生徒は聞かされるだけなら、生徒はもう二度と話をしたくない感じます。
でも、先生が私の話を聞いてくれた。自分の思いや考えを言うことができた。
そのような教師にはたくさんの生徒が集まってきます。
私は、大阪大学のもと総長であった鷲尾清一先生の講演を聞いたことがあります。
「聴くことは受動的な行為のように思えるが、決してそうではない。
聴くことは能動的な行為で、これにより人は支えられるのです」
このことばが印象に残っています。
ただし、聞くのは相手の言いなりになることではないと私は思います。
聞く人が主体性をもち、耳を傾けるという態度がいります。
聞いたうえで、自分でよく考え、自分の責任で行動する。「聞く」のはそのためです。
聞いてもらえるだけで十分、聞いてくれただけで気持ちが楽になった。
このように、教育相談や生活相談などでよく人は言いますが、行動が伴わないただの「聞く人」では、相談者は、真剣に話そうとは思わないのではないかと、私は思います。