風のように

ゆらり 気ままに 過ごすとき
頭の中は妄想がいっぱい
錯覚の中で生きるのが楽しみ

桶屋の成吉っつぁん

2020-06-14 00:45:38 | こころ
成吉っつぁんはかつての戦争で地雷を踏み片眼を失い
飛び散った破片の幾つかを体に残したまま

戦後随分経ってから傷痍軍人として日本に戻って来た
しかし、彼の父は南方に出征していた息子は戦死したものと思い

家屋敷田畑一切を姪夫婦に譲り息子の顔を見ることもなく
終戦後まもなく死んだ

幼い頃に母を亡くした成吉っつぁんは4歳上の姉を母と慕い育った
姉が遠くに嫁いだ後、飲んだくれの父ひとりを残して出征したのだった

嫁いだ姉は姉で夫を戦地へ送り戦後夫の生還の喜びも束の間
罹っていたマラリアによって亡くした

夫を亡くした時
実家の父はすでに亡くなっていて従姉がその家を継いでいた

しばらく夫の母と暮らしたがその家督は夫の兄弟が継ぐこととなり
子供のいなかった姉は戻る家もなく行き場をなくした

成吉っつぁんも片目を失いながらもようやく癒えた身体で
日本に戻って来れば帰る家も親も失っていた

成吉っつぁんは
桶屋の見習いとして住み込みの仕事を見つけた

嫁ぎ先での働きぶりを見込まれ姉は世話をする人があり
3人の子持ちの男の後妻として農家に嫁いだ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 風のように | トップ | 成吉っつぁんの仕事 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

こころ」カテゴリの最新記事