風のように

ゆらり 気ままに 過ごすとき
頭の中は妄想がいっぱい
錯覚の中で生きるのが楽しみ

成吉っつぁんの仕事

2020-06-16 02:23:28 | こころ
成吉っつぁんの仕事は桶職人見習い
桶職人とは桶や樽の製造職人だ

木を割り板にする
同じような寸法の板を何枚も作り

その板に緩い丸みをもたせ
何枚も何枚も横並べにして円筒形にするのだ

釘や接着剤を使わずに樽や桶は作られる
その形状を保つのは箍だ

長い竹を鉈や竹割で割り滑らかに削り
円形の箍を編み並べた桶板に咬ます

酒樽
漬物桶
お櫃
風呂桶
手桶
脚濯ぎ
防火用水桶
寿司桶
たらい
醤油樽
肥樽

酒造用の大きなものから
手桶まで大小さまざま形も様々

板も竹も成吉っつぁんの手に掛かれば
箍を編むときなんざ

割った竹が新体操のテープのように
よじれを戻し踊る踊る

ばらばらの緩いカーブの板はゆるみなく
その張力は箍で止められ樽や桶になる

しかし
成吉っつぁんが一人前になったころ

いいえ
戦後その仕事についた頃には桶屋は斜陽産業

さまざまな樽や桶はプラスチック容器へと変わっていった
それでも桶にこだわる漬物屋さんや酒屋さんの

需要にこたえ成吉っつぁんの仕事は桶修理と
近代化した酒蔵や漬物工場から引き取った桶の転売

そのうち大樽は焼肉店の個室になったり
映画製作の時代劇のセットとして

桶そのものの使用目的は本筋から離れて
古いものがまっさらの桶よりも重宝された



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