成吉っつぁんが戦地から戻ってみると
父は死んでいた
家は従姉家族が住まい
成吉っつぁんの姿を幽霊を見るかの如く眺めた
戦地で踏んだ地雷の破片の幾つかは取り出せないまま
時々成吉っつぁんを苦しめた
義眼の片目はよく見ないと
義眼だとは気づかないほど手術は成功していた
痩せこけてはいるが五体満足に帰って来た
父に会いたいと戻ってきた
父の最後の一部始終を聞いて
成吉っつぁんは従姉夫婦に頭を下げた
従姉が田畑の一部と農作業小屋を成吉っつぁんに
戻したいというのを固辞して
数日ののち住み込みの職人見習いの仕事を見つけて
先祖の位牌を包んでもらい家を出た
戦地で死の淵を彷徨い生きた
ほとんどの戦友を亡くし成吉っつぁんは生きた
それこそ罪だった
帰ってきた罰だと家を出た
位牌は懐にある
墓地に行けば埋葬された先祖の墓があった
まだ盛り上がり木の墓標の建つ父の墓
その隣に母の墓
祖父母の墓の間に幼く死んだ叔父たちの墓
幾つもの墓に感謝と別れを告げた
先祖の幾つもの墓のひとつひとつを
愛おしく撫ぜて回った
なるようになると故郷を出た
ケセラセラという気分だったに違いない
父は死んでいた
家は従姉家族が住まい
成吉っつぁんの姿を幽霊を見るかの如く眺めた
戦地で踏んだ地雷の破片の幾つかは取り出せないまま
時々成吉っつぁんを苦しめた
義眼の片目はよく見ないと
義眼だとは気づかないほど手術は成功していた
痩せこけてはいるが五体満足に帰って来た
父に会いたいと戻ってきた
父の最後の一部始終を聞いて
成吉っつぁんは従姉夫婦に頭を下げた
従姉が田畑の一部と農作業小屋を成吉っつぁんに
戻したいというのを固辞して
数日ののち住み込みの職人見習いの仕事を見つけて
先祖の位牌を包んでもらい家を出た
戦地で死の淵を彷徨い生きた
ほとんどの戦友を亡くし成吉っつぁんは生きた
それこそ罪だった
帰ってきた罰だと家を出た
位牌は懐にある
墓地に行けば埋葬された先祖の墓があった
まだ盛り上がり木の墓標の建つ父の墓
その隣に母の墓
祖父母の墓の間に幼く死んだ叔父たちの墓
幾つもの墓に感謝と別れを告げた
先祖の幾つもの墓のひとつひとつを
愛おしく撫ぜて回った
なるようになると故郷を出た
ケセラセラという気分だったに違いない
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