2月20日(月)
11時半から歯の治療ということで、それを中心に一日が動く。
散歩から帰って、すぐ朝食の支度を始め、11時20分に歯科医院。
予想通り、削った(歯の)虫歯に接していたもう一本の悲劇の歯は、同じく虫歯になっていた。「腐ったミカンの隣」、だ。
表面がかなり広範囲にわたって浅く虫歯になっている。エナメル質が溶け、象牙質の部分も場所によっては深く虫歯になっているらしいが、神経にまでは届いていないらしい。だから「麻酔は使わない方が却って痛くないだろうから、そうします」。
「・・・だろう」ということだから、「神経の付近まで虫歯になっていたら痛いかもしれない」ということで、もし、その万一が実現すれば、それこそ阿鼻叫喚の地獄絵が展開されることになる。
しかし、こっちは口を開けたままだから返答は出来ず、言われるままになるしかない。
頭蓋骨を揺らす切削ドリルの振動の中で、ひやひやしながら「もしも」の神経直撃がないことを祈る。
麻酔が効いてたって、脳天衝き抜けるようなズキッとする痛みは小さくなっているだけで、痛いことは痛いんだから。
それを麻酔を打たないでドリルを使う・・・。
怪物が飛び出してくる(かもしれないだけの)怪奇映画を見ているような精神状態。ショックが薄壁一枚隔てて脅かしてやろうと手ぐすね引いて待っている。
削った跡と修復(?)後の歯を、ビフォーアフターみたいに並べて映した写真を見せられた。ドリルの衝撃から想像していた以上に削られていた。
その大穴をパテみたいなので埋め、着色してある。いつもながら感心する。今日のこれは前座。でも、本来はこれだけで一幕芝居。
これをやらなければ、例の「斜面の切り株」状態だった犬歯の処置ができない。
さて、本題。
いよいよ例の「斜面の切り株」状態だった歯の治療にかかる。
「切り株」の中心に穴をあける。
そこに柱を立てる。
立てた柱に作った「歯」を被せる。
「中心に穴をあけ、柱を立てる」までが今回。
前座にかかった時間に比べ、こちらはかなり短い時間で作業が終わった。
舌で触った感じでは、何だか頼りない細い柱が立っているような・・・。
でも、この時までは歯は削られて、「なかった」「存在しなかった」わけで。今は確かに乳歯みたいだけど歯は「ある」。
家に帰って鏡で見た。驚いた。銀色の牙が一本生えている。
でも、「牙」というには少々以上に頼りない風情。
治療後「まだ固まってないから、強く嚙まないでください。曲がってしまうから」と言われたのは、そういうことか。