(読者の声1)
「宮崎さんの新刊『二度、天皇になった女性』を拝読しました。現下の日本の議論は前々からおかしいとは思ってきました。皇統に関して、不思議な議論が横行しています。なぜいま、「愛子天皇」が議論されるのですか? フランクフルト学派の二段階革命理論にいきつくと思います。
過日、「有識者会議」の報告を踏まえての各党が意見を出そろいました。
「皇族女子の結婚後の皇族身分保持」(女性宮家の創設)と、「養子縁組による旧皇族男系男子の皇籍復帰」のふたつが争点となっています。
しかし立太子と親王殿下がおられるからには、いみじくも岸田首相が一月の所信表明で「立太子、悠仁親王は揺るがない」としているわけで、愛子天皇論はその議論自体がおかしいのです。
御新作で宮崎さんは孝謙天皇は天武系百年の伝統を継いだけれども後継の光仁天皇は天智系だったこと。「安部内親王」(孝謙天皇)が初の女性皇太子となって反対論が多かったこと、また聖武天皇は「仏教に淫し」、あまつさえ恭仁京、紫香楽宮、難波京と遷都症候群。大仏建造の意味などを別の視点から分析しています。
弓削道鏡は孝謙・称徳天皇のカウンセリングを担当したセラピスト兼思想家(宿曜秘法で治療)だったうえ、道鏡は皇統を狙ったことはなく、宇佐神宮の神託は陰謀だったこと。
真相は藤原一族による道鏡の排除、仏教政治の是正にあったとされ、なるほどそうなんだ、長年の疑問が一気にはれる思いでした。
称徳天皇と道鏡の性愛説は300年後のでっち上げであり、道鏡の巨根説は450年後のフェイクだったことも目から鱗でした。素晴らしい御本でした。
(SN子、静岡県)
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024)5月17日(金曜日)
通巻第8256号 より