CubとSRと

ただの日記

不動心

2024年05月20日 | 日々の暮らし
 「新しい学校のリーダーズ」RIN(と呼び捨てにすべきか「RINちゃん」と書くべきか悩むけど、既に世界の有名アーティストだ、ここは名前だけで書くべきか)。先日のアメリカのステージで、設置されていた舞台上のスピーカーに足を取られ、仰向けに転倒した。
 倒れたまま数秒動かなかったので大丈夫かとの心配の声も上がったが、ボクシングの井岡尚弥が先日の試合で初ダウンを喫した時、
 「呼吸を整え(ダメージ確認・点検も含む)、以降の新たな計画を立てるため敢えてカウント8まで立ち上がらなかった」
 みたいなことを言っていたのと、同じことをしていたらしいと聞いた。
 動画を見る限りでは確かにそれができる状態だったし、実行していたらしい以降のダンスだった。

 それを見て頭に浮かんだのは勝海舟の話。
 以前そのことを日記に書いていて、再掲したことがある。
 つい慌ててしまって立ち上がろうとしたり、隙を見せぬよう身構えをしたりしようとする気持ちを抑え、冷静に対処しなければと身体ではなく心だけ身構える。

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2010.02/21 (Sun)

 勝海舟が馬から落ちた。
 さほどの勢いでもなかったのだが、海舟は転がったまま、動かない。

 周りの者が慌てて
 「先生!大丈夫ですか!」と駆け寄って抱え起そうと手を伸ばしたら、
 「待て、触らんでいい」と本人の声。
 そして、少し間を置いて、むっくりと起き上がった。
 「大丈夫ですか?」
 「ああ、何ともない」

 安心したと同時に、少々腹も立ったから
 「だったら、どうして、すぐに起きないのですか」
 と聞くと、
 「もし怪我をしていて、慌てて起きようとすると、怪我をもっとひどくするものだ。だから、転がったまま、身体の具合を確かめていたのさ」

 心配して抱え起こそうとした人は、海舟の、この言い草を、「照れ隠し」、「強がり」、ととったようです。
 実際、海舟は強情っぱりで、言い訳としか思えないような強弁を、よくやっています。

 ただ、後に見直すと、海舟は間違ったことは言ってないのです。
 その時には、大ぼらに見える、或いは大袈裟に見える言い草も、実は筋が通っていて、感情のままに思いつきで言ったものはない。
 頭のキレることは幕府随一。

 もう故人となって随分になりますが、澤井健一という武術家がいました。 シナで「国手」とよばれた意拳の王向斎、その日本人ではただ一人の弟子です。日本では「太気至誠拳法(太気拳)」と名乗って、弘流に努めていました。
 この、澤井師範、朝、目が覚めると、絶対に飛び起きたりはしない。
 まず、指を曲げたり伸ばしたり、から始めて、手首、肘、肩という風に、末端から体幹まで時間をかけて異常がないか確かめながら、よく身体をほぐし、それからおもむろに起き上がることを自らに課していたそうです。

 「目の前の問題に拘泥せず、常に目的を念頭に置いて行動する。」
 「緊急時、我を忘れて慌てふためくことなく、冷静に所定の行動を執る。」

 政治も日常生活も同じでしょう。
 海舟の言を強がりと採って海舟を笑うか、
 「なるほど」と採って何かを得るか。

コメント
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