宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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彗星への着陸は、第1候補のJ地点に決定! 探査機“ロゼッタ”

2014年10月20日 | 彗星探査 ロゼッタ/フィラエ
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を探査中のヨーロッパ宇宙機関の探査機“ロゼッタ”。
その“ロゼッタ”に搭載されている着陸機“フィラエ”が、
“ロゼッタ”とチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の2ショットをとらえました。

長さ14メートルの太陽電池パネルの向こう側16キロ先には、
くびれた部分から、チリとガスのジェットを噴き出す彗星が見えるんですねー
10月7日に“フィラエ”が撮影した
“ロゼッタ”の太陽電池パネルとチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(上)。


10月14日には、“フィラエ”の彗星着陸について詳細が決定。
着陸地点は、第1候補として挙げられていたJ地点に確定しました。

11月12日に“フィラエ”が分離され、
13日に彗星の地表に着陸。

着陸成功の知らせは28分20秒後に届く予定です。

ただ着陸地点名は、
選抜時に付けられたアルファベット…
なので味気がないんですねー


っということで、ヨーロッパ宇宙機関では、
J地点に親しみやすい名前を募集し、11月3日に決定した名前を発表。

名前の採用者は、ドイツ・ダルムシュタットの管制センターに招待され、
史上初の彗星着陸の瞬間に立ち会えるそうですよ。

10月20日は、サイディング・スプリング彗星が火星とニアミスしますよ。

2014年10月19日 | 流星群/彗星を見よう
日本時間の20日の午前3時半ごろ、サイディング・スプリング彗星が、
火星のそばを、わずか14万キロで接近通過します。

14万キロというのは、
月から地球までの距離の半分以下という超大接近になります。

なので何が起こるのか…
火星の探査機による観測のほか、地上の望遠鏡でも追ってみたいイベントなんですねー


太陽系の果ての“オールトの雲”からやってくる彗星が、
太陽系中心部を訪れるのは、今回が最初で最後とみられています。

こうした“オールトの雲”由来の彗星は、
周期彗星のように何年も前から準備して、探査機を送り込むことはできません。

なので、間近でとらえるチャンスは、ひじょうにまれな事に…
彗星観測に適しているわけではない火星探査機たちも、
その観測性能を最大限に活かして、彗星のコマや尾を調べることになっています。
火星探査車“キュリオシティ”の、着陸地点から見た彗星の接近通過。

当初は、彗星から放出されたチリが、
火星に大流星雨をもたらすかもしれないと期待されていました。

でも、彗星軌道の精度が上がるにつれて、
チリは、ほぼ火星大気に届かない可能性が高くなってきたんですねー

それでも火星上空を周回する探査機たちは、
念のため、チリ衝突の危険性が最も高くなる時間帯に、
火星の陰に位置するような軌道をとることになります。

ただ、火星には薄いながらも大気があるので、
地表にいる探査車たちに、チリがぶつかる心配はないようです。
10月から11月初めまでの、火星とサイディング・スプリング彗星の動き。

サイディング・スプリング彗星は、
現在、日没後の南西の空で火星に刻々と近づいていますよ。

水星からも観測されていた10月8日の皆既月食

2014年10月18日 | 水星の探査
10月8日に見られた皆既月食は、
地上だけでなく、1億キロ以上彼方の水星からも観測されていたんですねー
“メッセンジャー”がとらえた月食。
画面中央の地球と並んで見えていた月(画像右)が、
地球の影に隠れて消えていく。

画像は、部分食が始まる頃から、
皆既月食が始まる頃まで、
水星を周回するNASAの探査機“メッセンジャー”が、2分おきに撮影した画像をつなげたもの。

この画像から、月が地球の影に入り、
かき消されたように見えなくなるようすが分かります。

“メッセンジャー”は2011年3月に史上初めて水星の周回軌道に入り、
3000周以上の周回を重ねながら、
地図作成や元素組成の調査などを行っていました。


すでに予定されていた観測ミッションは終了していて、
あと5か月で燃料を使い果たして水星の地表に落下、運用を終了することになります。
10月8日の月食中の、各天体の位置関係。


火星移住では68日しか生きられない?

2014年10月17日 | 火星の探査
火星への移住を計画している人に、
「待った」がかかるような研究報告書が発表されました。



報告書によると、
現状では火星への移住後68日以内に、
移住者たちの死が始まる可能性があるとしています。

これは、火星のコロニーでは、
開始から約2か月後に、酸素レベルに問題が発生するからで、永住のためには、新たな技術が必要になるそうです。

今回の研究で用いられたのは、2024年から予定されている、
非営利企業“マーズ・ワン”の火星移住計画を進めるためのデータです。

最初の移住計画に参加するメンバー24人は、
応募者20万人から選抜した約1000人の候補者の中から選ばれるんですねー

でも、火星の諸条件と人類の技術では、
少なくとも現時点での火星移住は難しいのかもしれません。

移住に必要となる酸素、食糧、技術について解析した35ページの報告書には、
開始から68日あたりで、最初のグループから死者が出ると書かれています。

コストの面では交換部品輸送が大きな課題となり、
移住計画では、少なくとも約4兆8000億円の費用が必要になると推定されています。

“マーズ・ワン”でも、この輸送をめぐる問題を認めているのですが、
今回の研究では不完全なデータが使用されていて、
「火星に行く技術が、まだ準備できていない」というのには同意できないようです。

他のロケットとは少し違う、“デルタIVヘビー”の打ち上げ準備

2014年10月16日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
12月4日予定されているNASAの新型宇宙船オリオン。

このオリオンの試験機を打ち上げるロケット“デルタIVヘビー”が、
10月1日に発射台に立てられました。

これから、ロケットへの推進剤の充填や打ち上げの予行、
続いてオリオン宇宙船試験機の搭載や試験などが行われる予定です。

ロケットは9月30日の夜に組立棟を出発し、
水平に倒された状態で発射台まで運ばれています。

そして10月1日にロケットを立て、モバイル・サービス・タワーの中に収められました。

H-IIAやアリアン5、スユーズなど、
他の多くのロケットは、
まず組立棟の中でロケットを完成させ、それを発射台へ運ぶという運用になります。

でも“デルタIVヘビー”は、未完成の状態でロケットを発射台に立て、そこに可動式の整備塔モバイル・サービス・タワーを持ってきて、その中で衛星の搭載など、最後の組み立てや試験が行われます。

そして発射前には、
モバイル・サービス・タワーを発射台から移動させるんですねー


現在世界中で運用されているロケットの中で、
もっとも大きな打ち上げ能力を持つのが“デルタIVヘビー”です。

地球低軌道に約20トン、静止トランスファー軌道へは約13トンのペイロードを運ぶことができます。

その外見は、デルタIVの第1段を両脇に装備するというもの。

計3基の第1段が並んで飛ぶという、
見るからにパワーアップしたことが分かる壮観なもの。

2004年12月にデビューして以来、現在までに7機が打ち上げられています。


今回のミッションで“デルタIVヘビー”が運ぶのは、
NASAの新型宇宙船オリオンの無人試験機。

このミッションはEFT-1と呼ばれていて、
オリオン試験機を、高度約5800キロにまで到達する楕円軌道まで打ち上げます。

そしてオリオンは、そこから秒速約9キロで大気圏に突入し、太平洋上に着水することになるんですねー

この試験により、オリオンの電子機器や耐熱システム、パラシュートなどが、
設計通りに機能するかの確認をするそうですよ。