千曲市倉科の杉山にあるセツブンソウ(節分草)が満開というので、帰省中の息子達と訪れました。セツブンソウはキンポウゲ科セツブンソウ属で、本州の関東地方以西に分布する高さ10センチほどの小さな多年生草本。花の直径は約2センチ。花びらに見えるのは萼です。先が黄色く見えるのが退化して蜜腺になった花びらです。
早春に咲き、2、3ヵ月でその年の生活サイクルを終え消えてしまう植物は、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral、春の妖精、春のはかない命)と呼ばれます。セツブンソウの種は、黄色い蜜と一緒にアリが巣に運んで発芽する虫媒花です。種子から開花まで3年以上かかるわけですから、林床の環境が良い状態で続かないと生育できないわけです。昔は雑木林に入って草刈りをしたので、明るい林床にセツブンソウがたくさん咲いたのだとか。カタクリと同様、人の暮らしと密接な関係にある植物だったのです。ですから、自生地の環境が破壊されると真っ先に消える植物です。(絶滅危惧植物II類)
倉科のセツブンソウは、地元の方が手入れをして増やしたものです。訪れたときもボランティアのおじさんがいて色々話をしてくれました。今年はニホンカモシカ、イノシシが地中の虫を食べるために林床を掘り起こしたりして荒れてしまったそうです。また、下部の方はなぜか花が咲いていませんでした。非常にデリケートな植物のようです。場所は書けませんが、この山域には保護地以外にもセツブンソウの咲く場所が人知れずあります。
帰りには、三滝に立ち寄りました。鏡台山を水源とする三滝(みたき)は、一の滝(上段)・二の滝(中段)・三の滝(下段)で構成され、延長20m。848mの周回遊歩道があります。ファミリー向けとなっていますが、高度差があり転落防止の柵もないので、幼児や老人は要注意です。また、単独や少人数のときは、冬季以外熊鈴必携です。今春は、雪解けの水に多雨も伴って水量が豊富でした。
「三瀧川は倉科村の三瀧山船ケ入に発源し御姫山より発する草山沢を合わせ倉科村を流るること一里三町にして沢山川に合す 三瀧一の瀧二の瀧三の瀧三階瀑布あり又南沢に樽瀧あり」(埴科郡誌)
「三瀧山岩の苔間に住ながら思ひくらせし瀧の水かな」(西行法師)
此歌里俗の口碑にして、確乎たらず。(倉科村誌)
三滝は、厳冬期には氷結します。この冬は氷結しました。その様子は【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】の「三滝氷結ルポ」をご覧下さい。
★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、地衣類、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。