高校時代の旧友との登山の三回目は、錦秋の虫倉山。太田の水車前に車を置いて、さるすべりコースから不動滝コースのループ。この8月に息子と登った時は湿度100パーセントの汗だく登山でしたが、今回は日本晴れのピーカンの下、色付いた錦秋の森を愛でながらの快適登山となりました。頂上では望んでいた通り北アルプスの大パノラマが堪能できました。
それでも、温かい日が続いたせいでしょうか、紅葉の輝きはもうひとつ。寒さが足りなかったためか赤い色が少なく黄色が目立ちました。本来なら真っ赤に紅葉するはずのハウチワカエデも黄色がほとんどです。例年ならもう落ちているはずのアケビの実がいくつもぶら下がっていました。登り始めに畑仕事をしていたお爺さんに話を聞くと、たわわに実った柿を食べに熊が出没しているとのこと。さるずべりコースのやせ尾根で熊に遭遇したら逃げ場がないので、各自熊鈴を確認した次第です。猪も頻繁に出没し、野菜を作っても(特に根菜類)食べられてしまうので困ると言っていました。妻女山の麓もそうですが、山沿いや山間部の農業は大変厳しい状況になっています。
さるすべりコースは、虫倉神社(総社)から登り、奥社の右横の崖の鎖場から本格的な山登りが始まります。その後も頂上まで断続的に鎖場が続き、なかなか厳しいコースですが、ほぼ尾根を直登なので時間はそれほどかかりません。登る時は集中しないといけませんが、鎖場の合間に振り返ると樹間から壮大な北アルプスが望めます。もっとも夏場は木の葉で展望はありませんが。
狭い頂上からの展望は特筆すべきものです。北アルプスは白馬三山から鹿島槍ヶ岳、燕岳の向こうに槍ヶ岳、左に常念岳と、美しいスカイラインがすべて見えました。すでに10人ぐらいの人がおり、さらに次々に登ってきましたが、お目当てはやはりこの大パノラマでしょう。山頂には大きな望遠鏡があるのですが、前回は雲が厚く見ませんでした。今回覗いてみたのですが、なかなかピントが合いません。壊れているのかなと友人に託すと、いじっているうちにピントが合いました。まず鹿島槍ヶ岳の山頂、続いて槍ヶ岳。登っている人が見えそうなほどドアップで見えます。
南西には手前に茶臼山。川中島を挟んで妻女山が霞み、そのずっと奥には根子岳と四阿山が重なり、右手には鳥居峠を挟んで浅間山の勇姿が見えます。南は雲が多く展望はもうひとつでしたが、蓼科山、赤岳と八ヶ岳連峰の山塊がよく見えました。展望を楽しみながら缶ビールを開けてのんびりと昼食。至福のひと時でした。一時間あまりの滞在の後、後ろ髪を引かれつつ下山。帰路は夏と同じく不動滝コースをとりました。個人的には柏鉢城跡に寄って太田に下りるコースも魅力的に思えたのですが、次回の楽しみにとっておくことにしました。
太田に下って虫倉山を振り返ると、尾根の中腹に大きな洞窟が見えます。虫倉神社の元社は元穴といい洞窟だったそうです。よく見るとこの山腹にはいくつもの洞窟があるようです。おそらくそこへ至る道は崩壊してしまったところも多いのではないかと思いますが、中にはたくさんの仏像が安置されているかもしれません。クライマーの協力を得て、きちんと調査されると面白いと思うのですが。
無事に下山後、車で小川村の「星と緑のロマン館」へ。途中「薬師洞窟」に立寄りました。立ち寄るといっても、虫倉山への薬師尾根コースを10分ほど登らなくてはならないのですが。直下に北アルプスと小川村を見渡せる展望台があります。「薬師洞窟」は、江戸時代に木食山居(もくじきさんきょ)が万体仏を彫った修行の地です。その後「星と緑のロマン館」で入浴。鉱泉の沸かし湯ですが、掛け流しで体が芯から暖まる非常にいい湯です。そしてなにより窓から見える北アルプスの全景が素晴しい。お風呂には私達の他に地元のおじいさんがいました。話をうかがうと、虫倉山の落葉松林は昔は大きなブナがある森だったそうで、とても良かったのだがということでした。
浴後は、前の駐車場の縁から北アルプスに沈む夕日を鑑賞しました。そして「高山寺」へ。 「高山寺」は、戸隠道と呼ばれた街道沿いにある信濃三十三観音霊場第三十三番札所で満願の寺です。源頼朝が建久六年(1195)創建、江戸時代に木食山居が再建したという三重塔があります。今回は願い事を込めて鐘楼の鐘をひとつ打ってきました。アルプスのシルエットを借景として、暮れなずむ山里に低い鐘の音がいつまでも鳴り響いていました。
★このトレッキングは、フォトドキュメントの手法で綴るトレッキング・フォトレポート【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】の「虫倉山さるすべりコース」を御覧ください。北アルプスの大パノラマや山座同定も。
★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。アルプスのパノラマ、キノコ、変形菌(粘菌)の写真はこちらで。
それでも、温かい日が続いたせいでしょうか、紅葉の輝きはもうひとつ。寒さが足りなかったためか赤い色が少なく黄色が目立ちました。本来なら真っ赤に紅葉するはずのハウチワカエデも黄色がほとんどです。例年ならもう落ちているはずのアケビの実がいくつもぶら下がっていました。登り始めに畑仕事をしていたお爺さんに話を聞くと、たわわに実った柿を食べに熊が出没しているとのこと。さるずべりコースのやせ尾根で熊に遭遇したら逃げ場がないので、各自熊鈴を確認した次第です。猪も頻繁に出没し、野菜を作っても(特に根菜類)食べられてしまうので困ると言っていました。妻女山の麓もそうですが、山沿いや山間部の農業は大変厳しい状況になっています。
さるすべりコースは、虫倉神社(総社)から登り、奥社の右横の崖の鎖場から本格的な山登りが始まります。その後も頂上まで断続的に鎖場が続き、なかなか厳しいコースですが、ほぼ尾根を直登なので時間はそれほどかかりません。登る時は集中しないといけませんが、鎖場の合間に振り返ると樹間から壮大な北アルプスが望めます。もっとも夏場は木の葉で展望はありませんが。
狭い頂上からの展望は特筆すべきものです。北アルプスは白馬三山から鹿島槍ヶ岳、燕岳の向こうに槍ヶ岳、左に常念岳と、美しいスカイラインがすべて見えました。すでに10人ぐらいの人がおり、さらに次々に登ってきましたが、お目当てはやはりこの大パノラマでしょう。山頂には大きな望遠鏡があるのですが、前回は雲が厚く見ませんでした。今回覗いてみたのですが、なかなかピントが合いません。壊れているのかなと友人に託すと、いじっているうちにピントが合いました。まず鹿島槍ヶ岳の山頂、続いて槍ヶ岳。登っている人が見えそうなほどドアップで見えます。
南西には手前に茶臼山。川中島を挟んで妻女山が霞み、そのずっと奥には根子岳と四阿山が重なり、右手には鳥居峠を挟んで浅間山の勇姿が見えます。南は雲が多く展望はもうひとつでしたが、蓼科山、赤岳と八ヶ岳連峰の山塊がよく見えました。展望を楽しみながら缶ビールを開けてのんびりと昼食。至福のひと時でした。一時間あまりの滞在の後、後ろ髪を引かれつつ下山。帰路は夏と同じく不動滝コースをとりました。個人的には柏鉢城跡に寄って太田に下りるコースも魅力的に思えたのですが、次回の楽しみにとっておくことにしました。
太田に下って虫倉山を振り返ると、尾根の中腹に大きな洞窟が見えます。虫倉神社の元社は元穴といい洞窟だったそうです。よく見るとこの山腹にはいくつもの洞窟があるようです。おそらくそこへ至る道は崩壊してしまったところも多いのではないかと思いますが、中にはたくさんの仏像が安置されているかもしれません。クライマーの協力を得て、きちんと調査されると面白いと思うのですが。
無事に下山後、車で小川村の「星と緑のロマン館」へ。途中「薬師洞窟」に立寄りました。立ち寄るといっても、虫倉山への薬師尾根コースを10分ほど登らなくてはならないのですが。直下に北アルプスと小川村を見渡せる展望台があります。「薬師洞窟」は、江戸時代に木食山居(もくじきさんきょ)が万体仏を彫った修行の地です。その後「星と緑のロマン館」で入浴。鉱泉の沸かし湯ですが、掛け流しで体が芯から暖まる非常にいい湯です。そしてなにより窓から見える北アルプスの全景が素晴しい。お風呂には私達の他に地元のおじいさんがいました。話をうかがうと、虫倉山の落葉松林は昔は大きなブナがある森だったそうで、とても良かったのだがということでした。
浴後は、前の駐車場の縁から北アルプスに沈む夕日を鑑賞しました。そして「高山寺」へ。 「高山寺」は、戸隠道と呼ばれた街道沿いにある信濃三十三観音霊場第三十三番札所で満願の寺です。源頼朝が建久六年(1195)創建、江戸時代に木食山居が再建したという三重塔があります。今回は願い事を込めて鐘楼の鐘をひとつ打ってきました。アルプスのシルエットを借景として、暮れなずむ山里に低い鐘の音がいつまでも鳴り響いていました。
★このトレッキングは、フォトドキュメントの手法で綴るトレッキング・フォトレポート【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】の「虫倉山さるすべりコース」を御覧ください。北アルプスの大パノラマや山座同定も。
★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。アルプスのパノラマ、キノコ、変形菌(粘菌)の写真はこちらで。