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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

松枯れ病の原因は、本当にマツノマダラカミキリのセンチュウだけなのか!?(妻女山里山通信)

2013-12-14 | アウトドア・ネイチャーフォト
 我が家の山に、長野森林組合の人が三人来て、枯れ始めた赤松を伐採し、農薬を散布してビニールで覆ってくれました。前回やったものは、二、三十年前で、既にビニールも破れ赤松もかなり朽ちています。父によると前回は外国人労働者を使ったらしく、山中にプラスチックの農薬容器が捨てられ、飲食した空き缶やゴミがそのまま捨てられていました。今回出会った三人は、プロフェッショナルという感じで、20本ほどの赤松を伐採し、玉切りし、農薬(紙パック)を散布してビニールで覆って周りを土で留めるという重労働をいとも簡単にやりこなしていました。ただ、完全に立ち枯れた赤松は伐採しなかったようです。やって欲しかったんですけども。伐採に支障が出る木も同時に伐採されていました。山桜やコナラなどです。赤松の枝もそのままなので、これはこの冬の山仕事になりました。結構大変です。

 しかし、ここ数年しょっちゅうこの山に整備や撮影で通っていて、非常に疑問に思っていたことがあるのです。一般的に松枯れ病の原因は、マツノマダラカミキリの持ってくるセンチュウによるものといわれているのですが、そもそもこの山でマツノマダラカミキリを見たことがないのです。発生する6-7月は、ちょうどオオムラサキが羽化する時期なので、私はしょっちゅう山に入るのですが。見られるのは、ミヤマカミキリキマダラカミキリキボシカミキリ、そして稀にルリボシカミキリぐらい。こんなに松枯れ病になるなら、あちこちにいてもいいようなものと赤松に張り付いて観察したこともあるのですが。発見できませんでした。
 今回の伐採と消毒に使われた農薬は、ヤシマNCS(松くい虫くん蒸駆除薬剤)で、特 徴は、人畜毒性が普通物で、魚毒性もA類に相当ということです。長野森林組合は、千曲市や坂城町もエリア内ですから、連携してこういう駆除を進めればいいのではないでしょうか。

 そんな時に、色々ネットで検索していたら、こんなサイトを見つけました。【木のお医者さん/松枯れの原因・対策】。マツノマダラカミキリも原因のひとつですが、それ以上に排気ガスが原因というのです。写真で分かる様に、松枯れ病は高速道路の排気ガスが直接かかる斜面で大発生しています。この高速道路は、一日の通行量が35000台。高速の手前には、一日10000台以上が通る国道もあります。合わせて45000台以上が毎日通過するのです。いくら排気ガスがきれいになったからといって、これではたまりません。確かに松枯れ病は、高速が開通してから酷くなりました。落葉松の立ち枯れも増えました、杉は比較的大丈夫なようです。ヤマザクラや栗もやられています。『松野まだら』の生涯~マツノマダラカミキリの一生~には、北面より南面の方が酷いと書いてあるのですが、この山の反対側の南面には、ほとんど見られないのです。最初の写真の一番右のカットが尾根の長坂峠ですが、北西の斜面よりずっと被害は少ないのです。こちら側には国道も高速もありません。なにか変ですね。マツノマダラカミキリだけに原因を押し付ける恣意的なものを感じます。その上に、ミツバチ、ハナバチ、ハナアブを全滅に追いやる神経毒のネオニコチノイド系農薬の空中散布。放射能同様、因果関係も説明不可の見えない恐怖。背後には、ベトナムの毒ガス兵器、枯れ葉剤を開発し、戦後それを除草剤ラ ウンドアップとして売る極悪多国籍企業モ ンサントや住 友化学などの巨大利権企業。無知な大衆は、何も知らずに利用され病気になり死んで行くばかりなのでしょうか。神経毒の農薬は、グリホサート系もそうですが、100円ショップにまで売られている異常な有り様です。欧州では製造や販売が既に禁止されている国もあります。

 冬の山には、真っ赤な実があちこちに見られます。あちこちに見られるというのは、鳥も虫も食べないということなのですが、ヒヨドリジョウゴの様に猛毒のものもあるので、うかつに口にしないことです。ガマズミやコバノガマズミは、食べられます。高酸化作用があり、果実酒にしても美味しいのですが、なぜか鳥や虫達には不評のようです。強い酸味が嫌われるのでしょうか。森の珊瑚の様なクマノミズキは、信濃柿と並んで、冬の森の生物の大事な食料です。

 冬枯れの森は、全てが枯れてしまうわけではなく、ヤブソテツ、リョウメンシダ、ミツバアケビなどのように青々としたものも多くあるのです。以前ニホンカモシカが冬はなにを食べているのだろうと、追跡したことがあるのですが、上の三つは全て食べていました。他には枯れ葉さえ食べています。ニホンカモシカの場合は、パンダの様に食物を限定せず、色々なものを少しずつ食べる習性を身につけたことで、氷河期から生き抜いて来たのだろうと思います。他には杉や檜の幼木の柔らかい葉を食べますが、杉と檜があった場合は、檜の方を食べるのを確認しています。私はニホンカモシカではありませんが、個人的に檜の方が栄養があって美味しいだろうなと思っています。

 例年より落葉松の落葉が遅い信州ですが、なんと葉がまだ青々したツリバナを見つけました。初めて見ました。ツリバナの赤い実も鳥や虫達はあまり好まないようです。戦国時代の川中島合戦で上杉謙信が七棟の陣城を築いたと伝わる陣場平に行くと、冬枯れのミズヒキが逆光に光っていました。まもなく雪に埋まるでしょう。と書いたのですが、後日よく見ると実が四裂しているので、マユミでした。ツリバナは五裂です。皮もピンクではなく赤。妻女山では、ツリバナはもう少し標高の高い尾根筋に、マユミは北面の斜面に見られます。

 寒波の襲来で、善光寺平は北部と西部の山々が白くなりました。長野盆地のことを地元では善光寺平と言います。川中島というのは、千曲川と犀川に挟まれた地域のことです。同じ長野盆地でも千曲川と犀川を境に天候が異なることがよくあります。この写真でも、虫倉山は白く、手前の茶臼山も北面は白くなっていますが、撮影地の妻女山は全く積雪がありません。それぐらい違います。信州に出かける時には、怪しいツイッターにアップされた写真より、長野国道事務所千曲川河川事務所のライブカメラで確認することです。チェーン規制などは、ドラぷらで。積雪があると、アニマル・トラッキングの季節が始まります。

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★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。

■『国分寺・国立70Sグラフィティ』77年の3月、羽田空港からロンドンへ、空中分解しそうなアエロフロートで飛んだ。村上春樹さんの国分寺「ピーター・キャット」の想い出。
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