冠着山(姨捨山)の次は、その観月の名所、姨捨から見た浮世絵、安藤(歌川)広重が江戸時代後期に描いた『信濃 更科田毎月 鏡台山』の鏡台山(1269m)へ登りました。といっても麓から登ったわけではなく、坂城方面への用事のついで。普通なら国道18号線を南下すればいいのですが、時間に余裕があったので、千曲市のあんずの里・森の沢山川沿いに林道更埴坂城線を登り、沢山峠(笹平)で駐車。そこからピストンで鏡台山へ登りました。こんなことができるのも信州ならでは。田毎月は、実際にはこう見えることはありません。月はひとつだけです。この絵は時間軸を描いているのです。それが天才広重の技。
峠から山頂までは、45分から60分ぐらいでしょう。真冬の晴天時には35分で登ったことがあります。鏡台山へは最も短いコースになります。山頂から西方を見た景色。雲がなければ北アルプスのスカイラインが綺麗に見えます。槍の穂先も。
ナンテンハギ(南天萩)が満開でした。岐阜地方ではあずきな(小豆菜)といって若葉を食用にするそうです。花も食べられるようですね。山頂は、以前に比べると周囲の灌木が成長し見晴らしが悪くなりました。以前この山頂でツキノワグマに遭遇しているので、熊鈴とホイッスルは必須です。山頂にはズミ(コリンゴ)の木が数本あります。富士山が見えるという看板がありますが、まず見られません。どこに見えるのかも書いてないので、見えていても難しいですね。見えるときはこんな風に見えます。
その山頂に咲き乱れていたのは、ハンゴンソウ。若葉は山菜になりますが、あまり美味しくはないかな。例年ならば、数えきれないほどの蝶が何種類も乱舞しているのですが、ミドリシジミとキアゲハ、カラスアゲハが少しいただけ。ゼフィルスは皆無でした。千曲市による松枯れ病のネオニコチノイド系農薬の空中散布の影響でしょう。ベトナム戦争の枯葉剤と、ほぼ同成分の神経毒の農薬(農毒)を撒くなど狂気の沙汰としか思えません。先日荒砥城跡で出会った管理の人も、全く効果が無いと言っていました。
麓では既に枯れ始めたツリフネソウ(釣舟草)が満開。いつ見ても妖艶な花です。花言葉が「私に触らないで!」というのもなんだか意味深。ホウセンカの仲間なので、触ると種がはじけ飛ぶという特徴があることに由来するのでしょう。右はノコンギク(野紺菊)。花言葉は「忘れられない想い、長寿と幸福」。ずいぶん違います。鏡台山のノコンギクは、花が薄紫のものもあり、大きくなるものは2mぐらいになります。
アザミ。ノハラアザミ(野原薊)です。花の下の総苞が粘るので、春から夏に咲くノアザミ(野薊)と区別ができます。この粘る総苞に、よく森の掃除屋のザトウムシ(座頭虫)の脚がちぎれてくっついているのを見かけます。小さな虫を食べに来て、ミイラ取りがミイラになるというあれですね。最後は、ツリガネニンジン(釣鐘人参)。花言葉は「詩的な愛」。亡き父がよく「山で美味いはオケラにトトキ」と言っていましたが、春の若芽がそのトトキなんです。残念ながらまだ食したことはありません。
ヨツバヒヨドリは、既に咲き終わり種になっていました。けれども日陰に一輪咲いていました。海を渡ってきたアサギマダラがよく吸蜜に訪れる花です。
帰路は同じコースを駆け下ります。登山道脇のリョウブが大きくなり、以前よりコース全体が暗くなりました。この辺りでも前方を熊が横切ったことがありました。
イグチ科のアミタケが群生していました。食菌ですが、私は食べるとお腹を壊すので採りません。次はベニタケ科のツチカブリでしょうか。傷つけると白い液がでるのですが、辛くてとても食べられません。ベニタケ科は猛毒でなくても、そういうキノコが多いです。キノコは、他にはドクベニタケ、アイタケ(食菌)、ザラエノハラタケなどがありました。ミズナラの葉が逆光で光って透けて綺麗です。
帰りは、和平高原経由で村上義清の坂城に下りました。坂城町も空中散布をしています。大合併するまで大林山は、上田市の最高峰でした。地味な山ですが、ほぼ360度の展望があるいい山です。岩井堂山は自在山ともいいますが、秋はマツタケ山になり入れません。坂城神社から葛尾城跡に登り、五里ヶ峯へ。今回の登山口の沢山峠経由で鏡台山へのコースもおすすめです。里山は、通年続けて登り続けると、その本当の魅力や危機が分かります。
★鏡台山へのトレッキングルポは、MORIMORIKIDSに四季折々のものがたくさんあるので、興味の有る方はご覧ください。十分注意が必要ですが、積雪期も魅力的です。
必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ:グリホサート剤)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。
★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。
★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。