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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

宮彫りの名工・北村喜代松の木彫を求めて行脚の旅=その1(妻女山里山通信)

2020-08-02 | 歴史・地理・雑学
 北村喜代松(三代正信)は、天保元(1830)~明治39(1906)越後市振村(現糸魚川市)の宮大工建部家に生まれました。北信から上越中越、富山の朝日町や宇奈月などに多くの作品が現存します。有名なところでは、真田信之の御霊屋がある松代の長国寺、鬼無里の祭り屋台と神楽など。
参考文献:宮彫りの名工 北村喜代松 著者 倉若昭一 写真・文 ; ふるさと草子刊行会 編; 出版社 ふるさと草子刊行会

 6時30分過ぎに出発。最初の目的地が富山県なので長野インターから上信越自動車道で信濃町まで。新潟へ入って給油。63号から国道8号に入り、再び名立谷浜インターから北陸道へ。親不知で降りて朝日町のヒスイ海岸へ。今回、オリンパスのフラッグシップモデルの一眼レフカメラを買ったので、その試写も兼ねています。標準レンズはライカパナ。いいレンズですが、まだまだ使いこなせていません。次回は、ZUIKOのマクロも使って昆虫を撮影していますが、これがなかなか難しい。まあぼちぼちやります。

 朝日町宮崎の鹿嶋神社。凛とした佇まいに圧倒されます。

 龍二頭が向かい合う向拝の虹梁の上には、スサノオノミコト(素戔嗚命)の八岐大蛇退治の木彫が。喜代松50歳の円熟期の作。欅一本彫りの非常に奥行きのある精緻な木彫です。これを制作するために住んでいた長野善光寺門前町から家族でこの地に移り住んだそうです。

(左)懸魚(げぎょ)の下には、鬼門除けの力神像。(右)木鼻の唐獅子と貘(ばく)。

 味のある阿吽の狛犬。

(左)神社御由緒。(右)そこから新潟方面へ戻り、境川を遡り、糸魚川市の山姥の里といわれる上路(あげろ)の十二社へ。とんでもない山奥で、本当にこの先に集落があるのだろうかと。やっと着くと上から軽トラのおじさんが。不審な表情で見られました。十二社へ行きたいんですがと尋ねると、やっと顔がほころんでここをまっすぐ登ると鳥居が見えるよ。車も止められるよと。深い杉の社叢(しゃそう)に囲まれた十二社に着きました。親不知の南に位置し、親不知の下路に対して上路といわれたそうです。境川から青海川へ超える大平峠が古道の跡でしょうか。限界集落なのでしょうけど、非常に味わいのある村でした。

 向拝正面には、雲龍。宝珠を追う親子龍の木彫。口中などに丹塗の紅が見られますが、完成当時はどんなだったのでしょう。

 木鼻の獅子と貘。心配なのは、拝殿はプラスチックの波板で覆われていて通気性が悪いためか苔生していることです。苔を落として防腐剤を塗り換気ができるようにした方がいいですね。

 手狭には、黒松に若鷹、飛ぶ雀を発見し、襲う様が表現されています。欅の内部をくり抜く籠彫の見事な技法が施されています。

 糸魚川市指定文化財。

(左)朝日町に戻りドライブインきんかいでタラ汁定食。ここのはゴボウの味が効いています。この手前の煮タラコがのったドライブイン金森のも美味です。(右)ヒスイ海岸へ。思わず翡翠を探し始めましたが、いやいやこんなことしてる場合じゃないと、鹿嶋神社近くの明光寺へ。

 しかし、観たい天人(天の羽衣を纏った天女)の木彫は内部の欄間にあるため見られず。木鼻の木彫も喜代松のそれかは不明。

(左)次いで朝日町上横尾の長願寺へ。地図で場所は分かりましたが入り口が分からない。グーグルマップは幅2mの道路とかは載らないのです。やっと狭い道を見つけてとんでもない坂道を登るとありました。檀家の方が草刈りをして帰るところでした。(右)木鼻の貘。

 中央の親子龍の両脇には、波濤の中に激しい形相の蓑亀(みのがめ)。亀は長寿の印で瑞祥(めでたいことが起こるという前兆)を呼ぶとされます。ただこれも喜代松の作にしては造形が甘い。私は彼自身の作ではないと思います。そこから南下して宇奈月町へ。下立(おりたて)にあるらしい下立神社を目指しましたが無い。地元の方に聞きましたが、無いよと。愛本姫神社は小さいし木彫もなし。不思議でした。参考本の作者は、編集、著述、撮影、校正に関しては素人なので、いささか怪しいところがあるのも否めません。

 ここまで来たなら前回入らなかったとちの湯へ入って帰ろうと宇奈月温泉へ。宇奈月ダム。排砂放流が行われていました。

 向こうの建物と比較するとその規模が分かると思います。もの凄い轟音と振動で、ダム上部の通路の手摺がガタガタと震えていました。大迫力です。

(左)とちの湯へ行く途中にある欧州の城塞の様な新柳河原発電所。向こうにトロッコ列車の線路。(右)とちの湯。ひとりだったので露天風呂を撮影。あとから糸魚川市の男性が。色々話すと、以前廃村の戸土(とど)の諏訪社にしか残っていないという薙鎌神事(なぎがましんじ)のことを話すと、生家のある土壁の土壁神社に薙鎌神事がありますよと、貴重な情報をいただきました。ゆっくりしてマリンドリーム能生へ向かいます。

 親不知の愛乃像のある展望台から光る海。

 マリンドリーム能生の夕焼け。

 夕食は名立食堂へ。天ぷら蕎麦とミニ甘海老丼のセット。そこからの夕焼け。イカ釣り船が出ていきます。

 イカ釣り船の漁火。明日は上越市の東本願寺新井別院と沼の原湿原と戸隠自然植物園へ向かいます。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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