どこか記憶の片隅にある、母の手は農家の嫁の手でした。
手のひらは硬く厚かったように覚えています。
この夏に、目の手術をし、退院をしたとき手術した目には眼帯姿。
危うくつまづきそうになる母の手を思わず握り締めました。
その昔、子どもの私の手をとって「つまづかないように」
と歩いたのと逆の立場になりました。
その時の母の手は思いのほかに軟らかく暖かで、
「歳を取ったんだね」
と思わず涙ぐんだのです。
父が「お婆ちゃんが変だ!!」と呼ぶ声に居間に駆けつけると
目を閉じたまま座っている母の姿がありました。
朝食は普通に食べ、父がゲートボールに持っていくお茶の準備までしたばかりでした。
寝ているふうでもなく、ただ目を閉じ、呼びかけにもこたえません。
そのうちには口元から涎が垂れてきました。
糖尿の持病があるため、低血糖か?食事後だから違う?
念のため血糖値を測ると235。
脳梗塞の症状によく似ているので救急車を手配し、待つこと数分。
搬送先を決めるまでの間に私の兄弟に連絡を取り、とりあえず病院へ。
救急外来では即CTスキャン。
結果はやはり脳梗塞。
しかも太い血管が詰まったようで、かなり広範囲が白い影となって写っていました。
医師の説明では
「この状態から回復してもかなり高度な障害が残り、
寝たきりになる可能性が強い」
との事でした。
酸素マスクをして、チューブと心電図のコードをつながれた母は、
しきりに右手を動かしていました。
「疲れるからじっとしていなよ」
と言って手をとるとグッと握り返し、
まるで意識が戻ったかのようでした。
しかし、目を開けることは無く、ただ静かに息を続けるだけでした。
母の弟二人も見舞いに訪れ、声をかけても応じることは無く、
同じように手をとると強く握り返し、しばらく手を取ったままでいました。
手のひらは硬く厚かったように覚えています。
この夏に、目の手術をし、退院をしたとき手術した目には眼帯姿。
危うくつまづきそうになる母の手を思わず握り締めました。
その昔、子どもの私の手をとって「つまづかないように」
と歩いたのと逆の立場になりました。
その時の母の手は思いのほかに軟らかく暖かで、
「歳を取ったんだね」
と思わず涙ぐんだのです。
父が「お婆ちゃんが変だ!!」と呼ぶ声に居間に駆けつけると
目を閉じたまま座っている母の姿がありました。
朝食は普通に食べ、父がゲートボールに持っていくお茶の準備までしたばかりでした。
寝ているふうでもなく、ただ目を閉じ、呼びかけにもこたえません。
そのうちには口元から涎が垂れてきました。
糖尿の持病があるため、低血糖か?食事後だから違う?
念のため血糖値を測ると235。
脳梗塞の症状によく似ているので救急車を手配し、待つこと数分。
搬送先を決めるまでの間に私の兄弟に連絡を取り、とりあえず病院へ。
救急外来では即CTスキャン。
結果はやはり脳梗塞。
しかも太い血管が詰まったようで、かなり広範囲が白い影となって写っていました。
医師の説明では
「この状態から回復してもかなり高度な障害が残り、
寝たきりになる可能性が強い」
との事でした。
酸素マスクをして、チューブと心電図のコードをつながれた母は、
しきりに右手を動かしていました。
「疲れるからじっとしていなよ」
と言って手をとるとグッと握り返し、
まるで意識が戻ったかのようでした。
しかし、目を開けることは無く、ただ静かに息を続けるだけでした。
母の弟二人も見舞いに訪れ、声をかけても応じることは無く、
同じように手をとると強く握り返し、しばらく手を取ったままでいました。