普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

上辺だけの政府の「事故調査・検証委員会」の報告

2011-12-22 11:41:38 | 電力、原発

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 読売新聞から東京電力福島第一原子力発電所事故に関する政府の「事故調査・検証委員会」の中間報告の概要が報道されています。
[判かりきった上辺だけの報告]骨子
・ 官邸で意思決定を行っていた5階と地下の危機管理センターとのコミュニケーションが不十分だった。
・その結果放射性物質拡散予測システム「SPEEDI」のデータの公表が遅れたため住民の適切な批難ができなかった。
・政府の情報提供では、重要情報の公表が遅れや説明不足があった。
・1号機と3号機の炉心冷却を巡り、機器の作動に対する誤認などで対策が遅れた
  1号機の緊急冷却装置の非常用復水器の仕組みを本店、現場とも理解しておらず稼働を前提に対策を取っていた。
  3号機代替え注水の準備が整っていないのに、当直員が独断で緊急冷却装置の「高圧系注水系」を停止した。
・東電の津波や過酷事故への対策が不十分だったことは「自主保安」の限界を示している
 この全てのことは私のような普通のおっさんでも知っている周知の事実です。
 これだけのことを事故調査・検証委員会が7月8日の第2回の会合からスタートして5カ月も掛かっています。
[国会の事故調査委員会へ]
・その間に各所の原発の多くは最稼働出来ず、さらには定期修理のために相次いでストップしており電力不足のために節電を強いられています。
・一方国内の情勢は原発設備の縮小の全体の動きは判りますが、脱原発依存や原発の即時廃止の動きが広まっています。
 今の日本は地方自治体の許可なしには原発のスタートができず、その決定には世論の動向が大きく作用しています。
 そしてその世論形成には、一部の反原発派の動きが大きく作用しています。
・その一方では開発途上国や中国や韓国の原発建設があります。
・野田さんは原発輸出の容認に批判が集まっています。 (私は後記のように原発輸出賛成です。)
今日本が考えねばならないのは
*原発を含むエネルギーをいかに組み合わせるか、
*当面の電力不足にいかに対応するか、
*化石燃料の高騰→電力料金の値上げ→企業の海外流出の流れをいかに食いとめるか、
*厳しい経済環境のなかでいかに経済を成長させて行くか
 そして一番緊急なのは上記の条件を考慮の上に、今止まっている原発をどうしようかと言う問題です。
 その為には故障後の対策より、同じ自然災害のなかで女川、福島第二が無事停止したのに、何故福島第一だけに災害が発生したかと言うことです。
 私は前々から書くように、原発故障の災害大きさの一事は万事で総ての原発に通じるが、福島第一の故障の理由の一事は女川や同じ東電の福島第二のように万事ではなくて一事、詰まり福島第一固有のものかも知れないと言う事です。
 もしそうであれば、一事が万事である原発の災害を防ぐために、少なくとも経済沈滞の今こそ、安全な原発を動かすべきだと思います。
 そのために委員会は先ず何故福島第一だけが故障したかを調べるべきでした。
 これも周知の事実ですが、
・福島第一は原発技術が確立していない時代の古い装置だった
・女川は福島第一より高地にあった、外部電源が第一と違って複数系統あった
・福島第一は緊急電源装置がタービン建屋にあったのと違って第二では防水性の高い原子炉建屋内にあった
などが知られています。
 その他では設備保全に関係していた私の感ですが、原子炉と言う超危険物を扱って要る現場の人達の提案が、とかく利益重視に成りやすい本店の人達との間のコミュニケーションが上手くいたかと言う疑問が残ります。
 そのほか東電の原発に目立つ故障の多さと、その故障の隠蔽体質など福島第一の事故の原因の一つかも知れません。
 私は政府の委員会の人選のなかに現場の運転や保全のことを全く知らないか関心のなさのうな人ばかりで占められているのを見て、どうせ今回のような上辺だけの調査に終わりはしないかと心配していました。
 国会の人選では少しは増しなような気がしますが、それでも総花式の人選であるのは似て居ます。
 国会の事故調査委員会はどうぞ政府の委員会の二の舞にならないように、皆が知っている以外の事故発生の直接原因と、現場と本店の意思疎通の問題を取り上げて貰って欲しいと思います。
 そのために前にも書きましたが現場の実情に詳しい人達を投入することをお勧めします。
 脱原発依存派の人達は忘れているか、無視しているのか判りませんが、きめ細かい運転保全をする日本と違って、もし中国や韓国の原発の災害が発生すれば、西風に乗って来る放射性物質が日本中に拡散して来ますので、その被害の程度と範囲は福島第一どころではありません。
 そのためにも事故を起こさない原発とその技術の輸出は、今回の報告のような事故を起こした後の対策のノウハウの輸出とともに、日本の安全にとっても見落としできないことだと思います。

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