我が家の小さな庭に8つ並んだバラの植木鉢。暖かくなって一斉に花開いた。賑やかなことだ。
“うちの奥さま”バラの花が大好き。でも花を咲かせるまではなかなか大変だという。虫がついたり、病気がでたり、毎日の水やりも大変だ。
奥さま、先日、近くのバラやさんで「アンネのバラ」を買ってきた。これも今、小さな庭で美しい花を咲かせ、毎日が日曜日の老人夫婦を楽しませてくれている。
「アンネのバラ」は愛と平和のシンボル。その名の由来が知りたくなった。いつもは見ない百科事典を開いてみた。
1955年ベルギーで数多くの品種を作り出した育種家ヒッポリテが新しい交配種を作り出した。1959年ヒッポリテはスイス旅行中に「アンネの日記」著者アンネの父親、オットーと出会う。「アンネの日記」に感銘を受けていたヒッポリテが自分が作り出した交配種の名から最も美しいバラをアンネの形見としてささげることを計画し、オットーの庭で育てることを提案した。1960年にバラは(アンネ・フランクの形見)として品種登録された。
1971年4月4日、イスラエルを訪問公演していた日本の合唱団と、レストランに居合わせたオットー夫妻が出会い交流が始まった。1972年12月25日オットーから贈られたバラの苗10本が日本に着いた。苗はバラ愛好家や専門家に分けて育ててもらうが9本が枯死、生き残った1株が京都の嵯峨野で開花し、全国へ広がった。
アンネのバラは、自然を愛し、とりわけバラが好きだったアンネ・フランクの未来永劫に存在する「形見」として捧げられたバラであり、愛と平和のシンボルとなっている。
由来を知って、奥さま、ますます「アンネのバラ」が好きになったようだ。楽しそうにせっせと水をやっている。