散歩の途中に、ツタの絡まった空き家が周囲を新しい住宅に囲まれながら建っていた。わが家の団地にも「貸します」「売ります」とかかれた不動産屋の広告が張られた空き家が目立ち、数えてみると5戸ほどもあった。
わが家の団地は1973年オイルショックの年に造成された。完成を待つ間もなく、当時、働き盛りの現役の方々が競って購入し家を新築された。だが、40年近くも過ぎるとその時の住人も年をとってしまい、今は老人ともいわれる程の団地に変わってきた。亡くなられた方も沢山おられる。
高齢者が自活するには沢山の問題を抱えている。孤独死もたびたび新聞等のニュースとなる。後を継ぐ子どもたちの多くは都会へ出て行き団地には帰ってこない。自活できないと家を捨てこどもたちと暮らすか、老人ホームなど介護施設に入居するかの厳しい選択が待っている。その結果がたくさんの空き家を作り出す。
「空き家対策特別措置法」が26日から完全施行される。
この法の目的に「適切な管理が行われていない空き家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、合わせて空き家等の活用を促進しようするもの」とある。
全国の空き家の総数は約260万戸、そのうち個人住宅が約270万戸を占めているという。適切な管理が行われていない住宅や、ほったらかしの空き家が増税されたり、強制撤去されることとなるかもしれない。
最近「終活」が話題になる。「終活」で真剣に考えなければならないのは、遺産相続もあろうが、遺産の少ない庶民にとっては葬儀の費用をどう確保するか。さらにこれからは住宅の撤去費用など多額の出費も重要な課題となることだろう。子どもたちに頼ることはできない。
厳しい世の中になってきたものだ。