ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。

大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。 また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。

100年のスタイル

2025年03月17日 | ハリウッド

 F・スコット・フィッツジェラルドの小説「ザ・グレート・ギャツビー」が1925年の出版から今年で100周年を迎えたと読んで真っ先に思ったのは、「われわれ」は今や100年前の服装をお手本にしているのだな、と。

 何度も書いてきたが、1974年の映画化作品「華麗なるギャツビー」は男性の衣裳をラルフ・ローレンが手掛けている(クレジットなし)。

物語の語り手ニック・キャラウェイと隣人で主人公のギャツビーが初めて出会う夜のニックは、二つボタンのネイビー・ブレザーに右下がりのレジメンタル・ストライプのタイ、白のフランネル・パンツという素敵ないでたちだ。

 

 2013年版の同じ夜のシーン。アップデートされた21世紀のニックは、3つボタンのネイビー・ブレザーに右下がりのレジメンタル・ストライプのボウタイ、白のフランネル・パンツ。

男性の衣裳はすべてブルックス・ブラザーズが提供している。

 

 書いているうちにだんだん高揚してきて、久しぶりに漆黒のメダリオン・シューズを引っ張り出して履いてみたのだが、、これが革のかたまりなので重い重い。

というか、靴が重いと感じたことなどこれまで一度もなかったのに、歳は取りたくないものだ。泣く泣く処分している。僕に110年はないかもしれない。

 

 

 

 (トム・ブキャナン)「ギャツビーの話だ!彼の過去について、ささやかな調査を進めてきたとは言ったよな」

 「で、彼がオックスフォードを出てるってのは分かったでしょう」とジョーダン(・ベイカー)が合いの手を入れた。

 「オックスフォード卒!」彼は信じられないという顔をした。「そんなはずがあるか。ピンクのスーツを着てるんだぞ」

 「でも、オックスフォード卒なのよ」

 「ニュー・メキシコのオックスフォードか」とトムは侮蔑を込めて吐き捨てるように言った。「まあ、そんなようなところだ」

                                    ー「ザ・グレート・ギャツビー」第7章より

 

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ホワイトデイ

2025年03月13日 | なごみ

 

「昨年に続いてオリジナルデザインのパン、可愛いでしょ?

当職の長年のモットーは『お金がないならアイディアで勝負』、です。

みなのリアクションはとても嬉しいものでした。

お金だの空々しいお世辞なんか要らなくて、相手の笑顔や喜びの声が聞きたいだけなのですよね。

材料費高騰の折、お店のご厚意により、お値段据え置きで若干小ぶりになりましたが、昨年より可愛さが増したような気もしています。

自画自賛?

すでに職員の約半数に届けました。

パーッと配って、はなさかじいさん並みですね。

週末にはセンダード市にいる娘にも渡します。

きみには見破られてしまいましたが、たしかにこのパンのデザインは女の子のパパでないと考えつかないでしょう。

キャロライン・ケネディ元駐日大使が父の日に寄せた文章が、当職はとても好きです。

『これまでに女性の役割について、重要で好ましい影響を与えた男性の多くには娘がいるが、それは偶然ではないと思う。』

カワイイと素敵で割り切れる、女性たちが生きやすい時代を作って行きたいですね。」

 

 

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謝辞

2025年03月11日 | 珠玉

「悪いけれどここからは僕一人で行方不明者を探しに行くので、きみは車に戻り、みなを安全なホームまで避難させてほしい。」

大きな余震が続いていた。

そのたびあちこちで悲鳴が上がる。

道は異臭を放つヘドロで汚れ、小さな川に住宅の二階部分が押し寄せていた。引いて行く波に車がさらわれてしまった、と男性が大声で叫んでいる。

ホームの方角を見やると、防砂林がすっぽりときれいになくなり、黒い水平線がすぐ間近に迫っていた。

目を合わせないようにしながら立ち去ろうとして、コートの袖をつかまれた。

「何を言っているのですか、理事長、やめてください。また津波が来たらどうします。」

いや、でも僕には責任があるから、と言いながら振り返ると、相手の頭の上に積もった雪が解けて目じりまで流れていた。

「命からがら逃げてきた利用者様や職員を、生きている方々を、まずは安心させていただけませんか。」

僕は常に無茶で、捨て鉢だった。どうともなれ、と思って過ごしてきた。

けれどもその言葉は、匹夫の勇(ひっぷのゆう)でいきり立っている頭にしみてきて、少しの間はあったものの、そうだね、とうなづくことができた。

 

 あの時止めてくれて、ありがとう。

生き延びたことより、自分が相手の申し出を素直に聞けることを教えてくれて。

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アースキン・コールドウェル

2025年03月07日 | ハリウッド

 貧乏学生だった頃、アルバイトの合間に神田や下北沢の古本屋をふらふらはしごして、英米文学のペーパーバックや文庫本をたくさん買った。
一冊30円だったり、100円だったり。
よく読んだのは、ジョン・フォードが映画化した「タバコ・ロード」の原作者アースキン・コールドウェルの作品だった。
アメリカ南部のプア・ホワイト(貧乏白人)の乱倫で出口なし救いなしの物語が乾いた文体で語られていて、長編も短編も面白かった。
 コールドウェルの小説は計4本、映画化されていて、そのうち日本で公開されたのは「タバコ・ロード」(1941年)のほかに「真昼の欲情」(1958年)の2本。
あとの2本(1本はブリジット・フォッセー主演のフランス映画)は未公開のままだ。
 「真昼の欲情」とはひどい邦題だが、コールドウェルの代表作で大ベストセラーを記録したという「神の小さな土地」の映画化作品だ。
どういうわけか監督がアクション映画の雄アンソニー・マンで、キャスティングもロバート・ライアンにアルド・レイ、ヴィク・モロー(「コンバット!」のサンダース軍曹)と、この顔ぶれなら戦争映画を撮った方がウケたのでは、と首をひねる。
実際、フォードの「タバコ・ロード」は比較にならない出来で、すぐに忘れられてしまっている。

 

「真昼の欲情」

 

「タバコ・ロード」。アメリカの恥部を扱っているとして、1988年まで

(被占領国の)日本では公開されなかった。ジーン・ティアニーが最高にきれい。

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ライナスの毛布(再掲)

2025年03月04日 | 日記

 100円グッズで最も役に立ったモノ。
携帯LEDライトだと思う。
もともとは子供が小学校の野外活動の際に使ったものを、何かの拍子に自車へ積んでいたのだが、そのすぐあとに東日本大震災が発生した。
2週間近く続いた停電の中で、この長さ8・5センチ×直径2・5センチの小さなグッズは本当に重宝した。
再び電気が点いてからも、半年ほどズボンのポケットに入れて片時も離さず携帯していた。
その時のものはすでに壊れたが、現在も同型機種をカバンに入れて持ち歩いているし、自宅の各部屋に一個ずつ配備している。
ひょっとして、ライナスの毛布よりも依存度が高いかもしれない。

 



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