このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
「金星音楽祭」という一風変わったネーミングのコンサートに出かけた。
以前、NPO法人なごやかのイベントに出演したボサノヴァ・デュオも出ると聞き、今回のコンサートの出資者の一人でもあるなごやか理事長にチケットをいただいてのことだった。
開演前のロビーで、理事長はなにか難しそうな表情で男性と立ち話をしていたのだが、私の顔を見るなり、やあ来たね、少し早いけど席に着こうか、と話を打ち切ってホールに入った。
「まとまりそうにない話をするのが僕はとにかく嫌なんだ。時間と労力の無駄じゃない。うんざりしていたところだったので助かったよ。」
彼にはこういうドライな面がある。
K市民会館の客席は意外なほど埋まっていた。
それを満足げに見渡していた理事長の視線が止まった。
おや、あそこに「アルファヴィル」のオーナーがいるね。
ステージ近くまで階段を下りて行くと、やはりそうだった。
鮮やかな水色のカーディガンを羽織った理事長行きつけの喫茶店のオーナーは、声を掛けると笑顔を浮かべながら立ち上がり、よろしければ一緒にいかがですか、と空席を柔らかく指し示した。
それはありがとう、と理事長はオーナーから一つ離れた席に座り、私を彼女の隣りにした。
「よく私だとわかりましたね?」
オーナーは私の肩越しに言った。
「あなたは姿勢が綺麗だから、いつどこでお会いしてもすぐに見つけることができますよ。」
私の肩越しに理事長は答えた。
イライザ・ドゥーリトルとヘンリー・ヒギンズ教授に挟まれたような、居心地の悪さをコンサートの間中感じながら、今度はこの二人で来てくれるよう私が取り持とう、と思った。