このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
今もあるかどうか、新宿西口の靴屋の地下は大きい靴専門のフロアだった。
就職した会社は初め仮の本社がJR新宿南口にあり、そのあと四谷に移転したのだが、給料日には少し気が大きくなって、そこへ新しい靴を買いに行ったものだ。
その日も給料日だったと思う、仕事が終わってから階段を下りて行くと、先客がいた。
オーダーしていた靴を受け取りに来たらしい。
店員さんがカウンターの上に置かれた大きな箱のふたを開け、パラフィン紙を開いて取り出したのは、楕円形のオードブル皿かと思うほど巨大なオペラパンプスだった。
大男の僕からするとまったく普通の背丈の客は嬉しそうにそれを試し履きしたのだが、さらに驚いたのは、大きな箱に一足(片方)だけ入っていて、もう片方が別の箱から取り出されたことだった。
箱の入った紙袋を両腕に一つずつ下げて去って行く客の後姿を見て、上には上がいるな、とあきれながらも少し気が楽になった。
その後タキシードを着る機会があって僕もオペラパンプスを買った。
幸いにも、外国製ではあったものの既製品で済んだ。
それが今や僕は老境に入り、もう処分してしまってもいいような気もするけれど、再度探すとなるとどれだけ大変なのかもわかっており、結局そのままになっている。