(ヴァース)
あたしはパレス・ボールルームで働いてる
でもさ、そこは安物のパレス
寒々とした自分の部屋に戻っても
あたしは疲れ過ぎてて眠れないの
あたしは女性コーチの1人
きれいなホステスなのよね
そのテのパレスが売りにしてる
たった10セントで踊ってあげる
一回10セント
それがあたしに払う額
ああ、みんなどれだけあたしをうんざりさせるの!
一回10セント
軟弱な男や無骨な男、
あたしのドレスをやぶいてしまう乱暴者!
7時から真夜中まで
ドラムの音やらサキソフォンの騒々しい響き
トランペットであたしの鼓膜は破れそう
客がつま先を踏みつける
時々あたしは思うの
あたしのヒーローを見つけたかもって
でもそれは風変わりなロマンス
ともあれ、それにはチケットが必要よ
いらっしゃい、あなた、一回10セントよ!
落ち目の兄弟ピアノ・デュオ、ザ・ファビュラス・ベイカー・ボーイズがオーディションにひょっこり現れた無名の歌手スージー・ダイアモンド(ミシェル・ファイファー)を加えたことで思いがけず再び人気を博して行く、というストーリーの「恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」(1989年)。
この中で取り上げられていた「テン・センツ・ア・ダンス」は、(やはり劇中使われている)「マイ・ファニー・バレンタイン」などで知られるブロードウエイ・ミュージカルの名ソングライターチーム、ロジャーズ&ハートの作品だ。
ベイカー兄弟をボー・ブリッジスとジェフ・ブリッジスの名優兄弟が演じているのが楽しい。ジェフ・ブリッジスはもともと二枚目俳優だが、「アイアンマン」ではスキンヘッドの悪役を演じていて驚いた。悪役よければ映画よし。あの映画の中でもピアノを弾いていた。
ドリス・デイが実在のトーチソング歌手を演じた「情欲の悪魔」(1955年)より。
TEN CENTS A DANCE
I work at the Palace Ballroom
But gee, that Palace is cheap
When I get back to my chilly hall room
I'm much too tired to sleep
I'm one of those lady teachers,
A beautiful hostess, you know,
That kind the Palace features
For only a dime a throw
Ten cents a dance
That's what they pay for me
Gosh, how they weigh me down!
Ten cents a dance
Pansies and rough guys
Tough guys who tear my gown!
Seven to midnight, I hear drums
Loudly the saxophone blows
Trumpets are tearing my eardrums
Customers crush my toes
Sometimes I think
I've found my hero,
But it's a queer romance
All that you need is a ticket
Come on, big boy, ten cents a dance!