このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
「あまり大きな声では言えないけれど、僕は食べっぷりの良い女性に惹かれてきた。自分自身は体の割に小食なのにね。
目の前にいる僕に遠慮もよけいな気づかいもせず、大きくあいた口に次々美味しいものを運ばれると、気を許してくれているのかな、と思ってしまう。まあ、透明人間扱いなのだろうけど。
大学生のころ、女友達に誘われて新しくオープンした博多ラーメンの店に行った。渋る僕に、大丈夫、無理だったら私が二つ食べるから、と彼女は言った。
席について注文すると、まもなくどんぶりが運ばれてきた。
チャ―シューが食べられないのね、はいはい、私が食べて進ぜます、と箸で持って行く。恥ずかしくて僕は思わずあたりを見回したが、繁盛中の店内では誰も見ていない。
ねえ、井浦くん、私、替え玉って食べてみたいんだよね。
当時の東京には替え玉なんて言葉もなくて、物珍しかったのだ。
もちろん、いいよ、待ってるから。
お椀に入った替え玉はすぐに運ばれてきたのだが、あろうことか、店員さんはてっきり大男の僕が食べるのだろうと、そのままどぼんと僕のどんぶりに入れて去って行ってしまった。
ああ、ゴメン、と言いかけると、彼女は平気平気、と笑いながら、どんぶりをカチンと正面から合わせて箸で替え玉を一気にすくい上げ、何事もなかったかのようにまた食べ出した。
帰り道、僕はほとんど無言だった。どうやら替え玉と一緒にハートまで箸でつまんで持って行かれたようだった。」