ハイ・ソサエティ・カリプソ
(作詞作曲コール・ポーター)
空からの眺めはとっても素敵
オイラはロード・アイランド州ニューポートへと向かってる
オイラこれまで長いこといろんな場所で演奏してきたけどさ
今からニューヨークっ子になろうってわけ
ハイ、ハイソ
ハイソ、上流社会
昔からの親友のために演奏してやりたいんだ
そいつは地元でジャズフェスティバルを開くんだって
名前はデクスター、いいヤツだよ
けどさ、聞くところによると、そいつ何やらブルーらしい
ハイ、ハイソ
ハイソ、上流社会
そいつを悲しませている、前の奥さん
明日から新生活を始めようとしてる
彼女ったら最近新しいロマンスに出会って
あさはかにも堅物と結婚しようとしてるんだって
ハイ、ハイソ
ハイソ、上流社会
堅物とはよく言ったもんだ
ハイ、ハイソ
ハイソ、上流社会
けどさ、親友デクスター、このサッチモを信じてくれ
結婚はご破算、最後は勝利だ
オイラがトランペットを吹いて、愉快にする
彼女がきみの元へと戻ってきたくなるように、楽しくするよ
ハイ、ハイソ
ハイソ、上流社会
サッチモおじさんのお話、わかってくれた?
素敵な上流社会でスイングしてる
歌はおしまい、
物語のはじまりだ
ミュージカル映画「上流社会」(1956年)は、グレイハウンド・バスに乗って物語の舞台へと向かっているルイ・アームストロングの楽しい歌で始まる。
もともとこの作品は1940年に作られた傑作ロマンティック・コメディ「フィラデルフィア物語」のリメイクで、キャサリン・ヘップバーンのためにあて書きされたキャラクターを引退直前のグレース・ケリーが、その年のアカデミー主演男優賞に輝いたジェームズ・スチュアートのキャラクターをフランク・シナトラが、それぞれ演じている。
こう一つ書いただけで非常に不利なのだが、この「上流社会」はなんというか、僕には古過ぎて。
唯一、オープニングでサッチモに物語の背景とこれからの進行を歌わせる趣向だけが面白かった。いや、シナトラの相棒のカメラマンを演じたセレステ・ホルムもいいので、もし機会があれば、注目していただきたい。
「フィラデルフィア物語」(1940年)。手足がひょろひょろ長いスチュアートがとにかくチャーミング。
「上流社会」より、同じシーン。